「お出かけですか?」レレレのレ! 01
幹部はほとんど自室近辺で見つかり、次々と任意同行を求められていた。
一人だけ、姿が見えなかった。
サンライズは、日の傾いた草地を歩いていった。
施設南東、富士山に向かってだらだらと上った側、敷地の境に教団の庭園予定地があった。
そして、墓地も。以前見たイメージ通りの場所だった。
私道どん詰まりの目立たない木陰に黒いユーノスを停め、オダは墓地の隅のほうで穴を掘り返していた。
彼が近づいたのにも全然気がついていない。ベルサーチの上下で、墓掘りか。
先に車に近づいてみる。
スーツケースが2つ、助手席にあった。旅立ちのご様子だ。
キーがついたままなのを取って、ポケットにしまう。
それから、影がささないように気をつけて近づいていった。
オダは、土の中から何かを探していた。証拠になりそうな物でも拾おうとしているらしかった。
しばらく眺めていたが、全然気がつく様子がない。
「♪暮れ~なずぅむ街のぉ」
急にひくく聴こえてきた歌声に、オダは、持っていたスコップを取り落とす。
逆光でよく見えないのか、目を細めて手をかざし、穴の縁を見上げた。
「あ、」
急に気がついて、顔色が変わった。
「アオキ……」完全に、恐慌をきたしている。
「オマエ、どうしてここに? 何?」
「オダさん、でしたよね」
サンライズはオダの歌うような口調を真似した。
「アオキ、です」ポケットからキーを出してみせる。
「お出かけですか?」
「ち、ちち」オダはごくりと唾をのむ。
「ちょっとばかり、仕事がののの残っていて」
「穴掘り、ですか」少し首をかしげる。「お召しモノが汚れますよ」
「何しに来た!」
やや、顔色が戻ってきたようだ。
「オマエ、どうやって……畜生。あん時殺しておけば」




