「守れるだけは守ろう、と」 01
1週間後。
サンライズ・リーダーはルディーと共に、富士山麓昇浄センターの敷地内にいた。
今朝から始まった、警察の一斉捜査に立ち会うためだった。
彼は、本棟1階、自分のいた宿舎へと入っていった。
何人か、信者の中でもなじみの顔が見えたが、彼は敢えて前だけみて歩いた。
彼らは通り過ぎるサンライズを、みたような顔だなあという表情で見送っているようだった、数人は気がついて「あ」と声を上げていたようだ。
部屋には、意外というか当然というか、アサダの姿があった。
すぐ隣に、ジョウガシマが座っている。どちらも私服だった。すでにシャバの人間に変わっていた。
浅田は、相変わらず落ちつかなげに爪を噛んでいたが、彼の姿をみると
「アオキさん」
すぐ立ち上がって傍に来た。
「どこに行ってたんですか? ご存知でしたか、ここが閉鎖されるって」
「あ、浅田くん、」城ヶ島が急に思いついたように言った。
「オレ書類を取りに行ってなかったわ。オマエもまだだよね、ゴメン、2枚もらってきてくれるかな?」
「はい」
手を振りふり、浅田がどこかに出ていくと城ヶ島がサンライズに向き直った。
「キミの仕業らしいね」
肯定も否定もせず、サンライズは笑った。
城ヶ島は掃き出しの窓を開ける。
円形の中庭が広がり、白樺の枝が蒼い空にくっきりと映えている。
「浅田さんは、いかがですか?」
「彼……たぶんだいじょうぶだと思うよ」城ヶ島は空を見ていた。
「親戚の方ですか? 家族とか?」
城ヶ島は空を見たまま答える。
「仕事の後輩だ、あれでもね……いちおう元は刑事なんだよ」




