「彼は約束は守る」 03
「リーダー二名、フジノミヤ警察に保護されました。五班は資料入手」
連絡が入った瞬間、歓声がわいた。「撤収せよ」
車列が急に、息をふきかえしたように動き出した。
ルディーは迷彩服のまま、まっすぐ彼らの元へ走った。
「オマエ……」
言葉につまるジャカードと、かたく抱き合う。
「リーダー、お帰りなさい」
「ただいま、ゼブちゃん」
何だそれは? 本名か? 頭を押さえて脇に伏しているサンライズにも、しかし二人の喜びようがひしひしと伝わってくる。
ルディーは照れたように笑い、今度は寝転んだままのサンライズに
「お帰りなさい。ありがとうございます、サンライズ・リーダー」
きちんと敬礼した。
「予定よりかかってしまったが……どうにか済んだ」
気も緩んで、激しい頭痛に襲われているので大きな声も出ない。
それでも、二人の喜ぶ様子が本当にうれしかった。
「噂は聞いたことがあったが、本当だったよ」
ジャカードがしみじみと言った。
「彼は、約束したら必ず守る、ってね」
ルディーもうなずいている。
「だからめったに、約束はしない」
サンライズは頭を抑えたまま、朦朧とした口調で答えた。
「え? どうして?」
「だってカアチャンにすぐ怒られるから」
警察署内の鍵のかかっていない留置所に、明るい笑い声がひびいた。




