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「アナタのようなホネのある方は好きです」

「スコープの範囲に入った」

 退避所の奥、カモフラージュネットの下に隠された車両の中で、シヴァが落ち着きはらって、数値を読み始める。

「ポイント4205506とポイント67199842、西北西に移動中。道からはそれていない」

「飛び込んでくるぞ」

 脇のスタッフが、そっとルディーに位置を連絡した。

「五班六班、ゴーグルをつけて徒歩で南下、敵も近い、気をつけろ」

 ばらばらと人々が散った。

「警察の車両も近くで待機中」

「何分で来られる?」

「十分以内」

「全部消すように言ってくれ」

「もうだいじょうぶです」

 いよいよ迎えに来ましたよ、リーダー。

 迷彩色に塗られたルディーの目だけが蒼く、光っていた。


 こっちだ、という声がすぐ近くの森から聴こえ、彼らは完全に固まった。

「伏せろ」

 背中のジャカードがささやいたのとほぼ同時に、ホイッスルが闇を切り裂いた。

 完全に、見つかってしまった。

「動くな」

 木々を踏みしだく靴音が思いのほか多く聞こえ、あっという間に彼ら二人は光の輪に捕えられた。

「二名発見」無線連絡がとぶ。「捕まえました」

 六人の男たちに囲まれ、サンライズは手を上げて立ち止まった。一瞬はやくジャカードは背中から滑り降り、わずかにできた影の中、足元の落ち葉の中にリュックを埋めて、同じく手を上げた。

 走り寄った男たちは、さすがに服を動きやすいものに替えていたようだ、見た目、宗教の関係者にはみえない。

 目の中には漠然とした敵意と、見つけたという歓喜が燃えていた。

 あっという間に縛りあげられ、三人ずつに担がれた。

 ラクチンらくちん、よくシヴァが言う声が耳によみがえった。

「近くにいる幹部は?」無線で連絡をとる声がする。

「分かった、後は施設に戻ってよし」

 私道を下っていく。少しして、更に左、県道に平行に走る私道に入った。

 前方に車が二台、入ってきたのが見えた。

 彼らは、停車した車の前に投げ出された。

「またお会い出来ましたね」

 後ろの車から降りてきたのは、ミツヨカワだった。

「アナタとは、深い御縁があるようで……幹部の中ではワタシが一番乗りでしたよ」

「おかしいな、オレはオマエと縁をきったはずなのに」

 サンライズはしれっとして言った。

 ミツヨカワが笑う。

「アナタのようなホネのある方は好きです」

 後ろに転がるジャカードを指した。

「アナタも、好きですよ。ホネのある方。時々様子は聞きましたがね、看守から。弱ってきてはいるが、正気は保っている、と。お清め一周年記念にはパーティーを予定しておりましたのに」

「光栄です、デカウンコ様」ジャカードも澄まして答えた。


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