「任務は何だ? サンライズ」 02
今から近いコースを取ったのでは、もしかしたら教団の追手に先回りされてしまうかも知れない。
やはり、セオリー通りに遠回りをすべきだろうか。
耳に触れてみた。この発信器は、ちゃんと作動しているのだろうか、それも心配だ。
空を見上げてみる。ほぼ真上に満月がかかっていた。
「私道を北東に行こう。月も明るいし、施設から離れたほうがいいかもしれない」
「そうだな」
肩を貸してくれ、少し歩く、とジャカードが数歩進んだが、まだおぼつかない感じがして、すぐ倒れてしまった。
「しばらくは、車に乗せてやるよ」
サンライズはそう言って、軽々と彼をかつぎあげ、また歩き出した。
少し進むとまたけもの道があった。
「それをたどってくれ」「了解」
細い小路は、歩きやすかった。が、歩き出して数分もしないうちに気がついた。
どこか左手、少し離れた方からエンジンの音が聞こえてくる。
サンライズはいったん立ち止まり、耳を澄ませてからまた、早足で歩き始めた。
エンジン音は、更に増えてきたような気がする。施設の方が妙に明るくなった。全照明をつけたのだろうか。空に明るく不気味なドームを描いている。
「ちょっと、揺れるぞ」
「了解」
ジャカードが、彼の首を締めないように気をつけて腕を巻きなおす。
ようやく、私道へ入った。
今までの道とあまり変わりないようにも見えるが、ここには確かに車のわだちが見えた。
サンライズは追いつめられた獣のように左右の音をじっと聴いていたが、迷ったのはごく一瞬、すぐに右手に進路をとった。
「走るぞ」
「わかった」
道は少しずつ、上りになっていた。
サンライズはぜいぜいとあえぎ始めた。頭痛がまたぶり返してきている。肩に食い込む相方のひじが痛い。と、
「もういい、オレをここで下ろしてくれ」
ぐい、と背中を引っ張る力でよろめいた。




