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「……最後の手段だということですから」 03

 家族に渡す本の候補を数冊もらってきた。アオキはさっそく、吟味を始める。

 アンダーラインをひいて渡す、という話をしていたので、ライン引きしたものを面談前日の昼までに事務局に提出しておくように指示されていた。

 一冊、ハードカバーがあった。ごつい作りなのがちょうどいい。

 あとは二冊ほど、ペーパーバックみたいな本を選んだ。

 赤鉛筆を握り、久々に、真剣に本に向き合った。

「夜までお勉強ですか」脇から明るい声がして、ひゃっと跳び上がった。

「すみません、驚かせちゃいましたか?」

 なんと珍しい。アサダが夜、起きている。朝のアサダが。

「いや……こちらこそすみません、いつも夜早く寝ていらっしゃるんで」

 まだドキドキしている。本当に油断していた。

「いやね、いつもすぐ眠くなるんですが」

 アサダは心底不思議そうだった。

「何だか、今夜に限って全然眠くならないんですよ、弱ったな」

 すみませんね、勉強のおじゃましちゃって、と言いながらもしょっちゅう話しかけてくるので、集中できないことおびただしい。

「私こそすみません、明るくしてるからいけないんでしょうね。すぐ消しますね」

「そんな……申し訳ありません。明るいのが原因じゃあないと思いますよ」

 それでも、今夜はもう店じまいとする。

 確かに、彼が言うとおり、消灯後も隣のアサダはゴロゴロと寝返りをうち続け、そのうちにアオキの方が先に眠ってしまった。


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