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「刑務所じゃねえの?(同感だね)」 02

 まず、外部との直接接触はできない。面談はガラス越しの面談室があり、必ずそこを利用すること。常に他二名の職員立会のもとで行います。

「それじゃ、刑務所じゃねえの」

 真ん中の一人が立ちあがった。

 軽い口調だが、よく通る声だった。おっ、オレのセリフを取られたぞ。

 案の定、丸メガネに「めっ」されたが彼は構わず続ける。

「どうしてうちの女房と、ガラス越しに会わなきゃならないの?」

「ワタナベさん、でしたね」

 スギヤマメガネは、手元にある資料を確認もせずに名前を呼んだ。

 ここに集まる人間の名前はすべて覚えているのか、それともワタナベがマークされているのか?

「お座りください、ワタナベさん」

 しかし彼は立ったままだ。

「直接お会いできないのは、まだ我々が修行中だからです」

 スギヤマは淡々と述べている。

「考えてもごらんなさい。ここに来た理由を。我々は、世間というものに悩み、そこからまず、逃げ出したいと強く願って、ここに逃げ込んで来たのでは?」

 それなのに、外界と接触できないといって文句を言う、それはおかしいのではないか、とスギヤマは語る。

 ワタナベは、しぶしぶ席についた。

 面談については、直接会えないというほかに、外部からの荷物の受け渡しにも制限があった。

 外からの荷物は一旦事務局が預かり、「浄障(じょうしょう)作業」を行ってから翌日以降に信者に渡すのだそうだ。

 逆も似たようなもので、信者が渡したい荷物は前日昼までに事務局に預けておくと、面談時に相手に渡してくれるのだという。

「また、面談の方とお話する時も、丁寧な言葉でお願いいたします」

 杉山は、ワタナベと、なぜかアオキの方をちらりと見たように思えた。

 そのほかにも、細かい規則はあった。

 さりげなく「魂の浄化のため」「修行のため」と説明されるがアオキには単に、管理のためとしか思えなかった。


 話の切れ目に、スギヤマが唐突に言った。

「では、これからテストを行います」


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