オラクル Ver. アレース -3-
地上にはジャッカルも出現した。互いに目を見交わすと、まずまっ先にアルが飛び出した。
「ぅおらぁッ!! どっからでもきやがれーッ!!」
アヤノもすぐ後に続く。曲刀を斜め下に構えて駆け、全力で上に振り抜いた。
ジャッカルに一撃を加える。間を置かずとびのいてハゲタカの滑空をかわすと、ダンテの魔法詠唱が響いた。
『魔法:アンベロス!』
蔓がハゲタカの脚を絡め取り動きを止めた。一般フィールドでも何度か使った手だ。だからあまり長い時間足止めできないことはわかっている。
それでも、充分だ。
「アヤっ」
「ん!」
ショウとほぼ同時に跳躍する。
刃が交差し、わずかな時間差で細首を斬り裂く。黒い羽根が力を失う。着地した背後で銃声が聞こえ、即座にその方向へ進路を取った。
曲刀も先端は尖っていて突きが可能だ。勢いをつけまっすぐに飛び込むと、うまくハゲタカの首もとにヒットさせることができた。
手応えはあった。輪郭がほろりと崩れる。消えるところまでは確認せず、アヤノはすぐにジャッカルへと向かう。
『使役獣召喚:プロヴァート!』
とっさに視線を巡らすとユーリがサソリに対峙していた。いつの間にか増えていたようだ。が、防御型召喚獣の金毛の羊が消える前にショウがそちらへ走るのが見えた。だからサソリは無視することに決めた。
「アヤ! うしろにもう1匹出たぞ!!」
不意にアルが怒鳴った。しかし足は止めない。
「そっち、お願い!」
「了解だ」
「おい無茶すんなよ!?」
「しない!」
無茶をしているつもりはない。正面から飛びかかってきたジャッカルを身をひねってかわす。大丈夫だ。予想通り、余裕はある。
判断したその瞬間に剣を打ち下ろし、返す刀で斬り払った。
『ヒドラ!!』
そこへ頭上から大蛇が降ってきた。首に深く噛みつくと、ジャッカルの生命力も尽きた。
「あっやべっ――」
『魔法:フロガ!』
アルのうわずった声にはっとふり返ったところで、新たに出現したジャッカルを火球がはじき飛ばした。地面を転がり身を起こしたアルは一瞬痛そうに顔をしかめ、またすぐに銃を構えた。
しかし、その生命力ゲージはごっそり削られている。
「ダンテ!」
『魔法:セラピア』
回復魔法。安全水準まで引き戻されて、アルがダンテを見やる。
「わり、サンキュ!」
「右だ!」
「わーってる!」
「ちょっとぉ、なんなのこの忙しさはぁ!」
とうとうユーリが音を上げるように叫んだ。それをショウが「まだ早いよ」と笑い、3体目のジャッカルに向き合った。
「こいつを倒せばひと段落だと思うよ。配置が決まってるのもいるから――ね!」
投げナイフが風を切った。アヤノとアルも動く。ダメージに怯んでいるところを、すれ違いざまに叩く。
とどめを刺したのはダンテだった。宝剣の一閃が、ジャッカルの首を斬った。
「はい、いったんお疲れさま」
「まだ向こうにいるみたいだけど……」
「一定以上に近づかなければ襲ってはこないよ。ただ、新しく湧いてくるのに注意」
それを聞くと、アルが「はいはいっ」とばかりに手を上げた。
「なあなあ、それだったら、場所決まりの前にランダム湧きのヤツ全部やっちまえばいいんじゃね?」
ショウはにこりと笑い、うなずいた。
「正解」
「配置、ランダム、それぞれの数は決まっているのか」
「固定で半々だよ」
「それがわかっているのであればやりやすいな」
「あぁもう……ほらほら、次が来てるわよ、さっさと戦って」
方針が定まったので、アヤノとアルはユーリの指さす方へ武器を向けた。その援護と他の敵への対応、両方ができる位置取りにショウとダンテが立ち、ユーリは少し離れて錫杖を握った。
「それじゃあ、再開だね」
ショウの楽しげな一言と黒い獣の出現は、ほとんど同時だった。
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