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THEOS KLEIS ‐テオス・クレイス‐  作者: 高砂イサミ
第4ステージ:迷宮
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オラクル Ver. アポロン -5-


 2組に分かれてからそこそこの時間が経った。内心の焦りが募ってきたところで、やっと、グライアイがアヤノ達の姿を捉えた。

地図マップに映る範囲じゃないけど、道のりはそんなに長くないみたいよ」

 心境の変化があったのか、ユーリは自分から情報をくれるようになった。素直によかったと思う。この点に関しては2人きりになったことがプラスだったかもしれない。

 それはそれとして、足を速め前方へ指を伸ばす。


魔法マギア:スピサ!!』


 火の攻撃魔法を放つ。ちょっと、とユーリが声を上げたのに構わず突っ込んで薙ぎ払っていく。

 ここまで遭遇した敵はすべて倒した。向こうはどうだろう。無理をしてはいないか。時々暴走するアルとアヤノを、ダンテがうまく止めてくれているといいのだが。

「ショウくん、その先左」

「わかった」

 オラクルエリアの迷路は毎回変化する。一度道のりを覚えても次には変化しているのだ。普段ならそれがおもしろいのに、今はもどかしさしかない。

 走る速度を更に上げる。ユーリが追ってきているかだけ注意しながら、角を折れた。


「――あ!」


 目が合った。鮮やかな黄金色の瞳。

 短い赤毛と黒いマントも目に入った。……3人、いっしょだ。

「よかった……みんな無事だね」

「ショウ!」

 切羽詰まったアルの声に甲高い悲鳴が重なった。アヤノがコウモリを斬ったのだ。その向こうにまだ敵がいる。

 全部で、6体――?

「みんな下がって!」

 3人は全力でこちらへ駆けてきた。最初から逃げていたのだ。しかし逃げる間に追っ手が増えてしまったのだろう。これでは手に余ったはず。振り切るにしても、数を減らした方がいい。


魔法マギア:アフティダ!』


 まだ魔力回復アイテムには余裕がある。続けざまに手持ちの最強攻撃魔法をたたきこみ、2体を消した。これで選択肢も増える。素早く確認すると、アヤノもアルもある程度生命力ライフが減っている、これは問題ない。どうやらダンテの消耗が一番激しい。魔力ゲージが減ったままだ。

「回復アイテムは残ってる?」

「ある」

「そりゃあまだ……ってか、今それ聞くか?」

「ダンテは」

 残っている敵に意識を残しながら、ダンテはかすかに眉根を寄せた。

「……魔力回復アイテムを、使い切った」

「やっぱり」

 アヤノとアルが驚いた顔でダンテを見る。しかし今はかまわずに、手で合図を送る。

「走って! とりあえずこいつらを撒いてから――」

「ショウ」

 アヤノが袖をつかんできて、じっとこちらを見上げた。

「やれないかな」

「え」

「みんな揃ったから。あと4体」

 やれないことはないはずだ。自分が本気を出して戦闘に加われば。

 けれど危険性は。確実にやれるのか。全員、確実に守れるか――

 ほんの1秒思い悩んだ傍らで、不意にアルが息を吸い込んだ。


『システム:ギフト:チェック:ダンテ:ネクタル!』


 アイテム交換の発動。したのはアルだった。“ネクタル”は魔力回復アイテムだ。敵を倒してドロップしたものを持っていたのだろう。

「オレは魔法使わねーかんな。ダンテ、もう少しやれるか?」

「それ、わたしも持ってる。あげられる」

 蜘蛛が飛びかかってきた。しかし落ち着いた様子でアルが撃ってはじき返す。同時にアヤノが斬りに行く。ショウも反射的に投げナイフを放っていた。

 これでもう、戦う方向で決まったようなものだ。


『システム:ボックス:ネクタル』


 受け取ったアイテムを消費し、ダンテが身構える。ユーリも仕方なさそうに錫杖を上げた。


魔法マギア:アンベロス』


使役獣召喚プロスクリシー:ヒドラ!』


 即座に全員の意識がまとまる。同じ目的に向けて動く。

 このまま、“紋章クレスト”を獲りに行く。

 ショウは大剣を構えながら、かすかな笑みを浮かべている自分に気付いた。いつもは律している感情が胸中に湧く。それを抑えるために、あえて口にした。 


「本当に……楽しいな。このメンバーでやるのは」



            * * * * *



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