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THEOS KLEIS ‐テオス・クレイス‐  作者: 高砂イサミ
第3ステージ:森林
40/200

バグ -1-


 同行者が1人増えた、のはいいが、ダンテとユーリはすぐにタイムアップで帰っていった。それを見送ってから、ショウもためらいがちに切り出した。

「僕もそろそろ、少し出ないといけない、かな……」

「オレらはだいじょうぶだから行ってこいって! ちゃんと休めよ?」

「ありがとう……悪いけど、僕が戻ってくるまではくれぐれもフィールドに出ないようにね」

「わーかってるって!」


『システム;――ログアウト』


 ショウの姿が消え、その途端、アルはため息と共にその場にしゃがみ込んだ。

「アル」

「ちょっと疲れただけだ。なんつーか、気分的に」

「そう」

「アヤはよく平気だよな?」

「たぶん、よく覚えてないから」

「あ、そっか、それはそれで大変だよな……」

 しまったという顔をされて少し戸惑う。アヤノはそれほど気にしなかったのに、アルは自分の発言を痛く反省したらしい。

「そんなに大変じゃ、ない、けど」

「いやでも、家族とか心配してんじゃねーの? ――ってそうか、リアルがどうなってるか、まだわかんねーのか」

「家族……アルには弟がいるんだっけ」

「4つ下のなー」

「離れてるんだ。わたしは兄弟……いたのかな」

 いた覚えはない。が、そもそも覚えていないだけかもしれない。いたとしたら自分の薄情さに呆れるところだ。

「兄弟いないヤツの方が多いもんな」

「んー……」

「アヤは上がいるかひとりっ子かって感じだけどな、なんとなく」

 アルが膝に手を当てて立ち上がった。ふとその向こうを見やると、町はいつの間にかずいぶん閑散としていた。ついさっきまでにぎわっていたショップの周辺にも人影は少なく、店番のNPCが決まり文句をくり返している。

「そろそろデイタイムなんだろうな。すいてるうちに装備でも見とくか? もう安いやつなら買えんじゃね?」

「あ。そういえば」

 獲得レプタの額を確認すれば、回復アイテムを購入してもあまるくらいにはなっていた。しかしアヤノは、それを見ながら考え込む。

「……ねえアル。装備って必要なのかな」

「あん?」

「課金の話してたとき。ショウは『自分の力でやりたい』って。そういう人にはアイテムは邪魔って――」

「ああ。そりゃモノによるよ。あん時はパラメータ上昇アイテムの話だったろ? 悪いこと言わねーから防具は買っとけ。アヤの場合は特に、魔法耐性のあるやつな」

「魔法の防御?」

「今までの敵はみんな物理攻撃だったけど、第4ステージからは魔法攻撃してくるやつもいる。それの対策は必須なんだよ」

 アヤノはステータス画面を思い出す。パラメータには『物理攻撃力』『魔法攻撃力』があり、防御もそれに対応していた、そういえば。これまで気にしていなかったが、やっぱりまったくの別物なのか。

「一応オレだって対魔法防具は着けてんだぜ」

「……どこに?」

「これこれ」

 かなりシンプルに見える服装のどこにと思っていたところ、アルはひょいと片足を上げ、足首を持って見せた。

 履いているのは『靴』と呼べそうなものではない。布をかぶせて紐で固定しているだけだ。そしてよく見ると、足首には赤い石つきの細い輪がはまっていた。全然気がつかなかった。

「防具っぽくない」

「ちゃんとそれっぽい形のもあるぜ。けど、こういう『効果』だけのを選ぶヤツも多いな。オレは見た目重そうなのがいやだったからこっちにした」

「……うん。重いの、いやかも」

「実際の重さじゃねーんだけどさ。まーとにかく、店行ってみっか?」

 アヤノはうなずいて、アルと共に店の方へ足を向けた。



            * * * * *



「そう。それで、これを買ったんだ」

 数時間後に戻ってきたショウは、アヤノの報告に微笑した。

「ちゃんと対魔法用だね。最初はそんなところかな」

「この手のやつなら、いらなくなったら売れるしな」

「これ。売りたくない」

 左中指につけた指輪をかざし、アヤノは目を細めた。赤い石がはめ込まれ、細めの輪の部分は鮮やかな金色。一目惚れだった。

「気に入ったの?」

「うん」

「そっか。よかったね。――アル、変わったことは?」

「なにもねーぜー」

 それを聞いたショウはほっとしたように息を吐き、メッセージ確認画面を開いた。

「ダンテもユーリも、しばらく来られないみたいだ。どっちか来るまでは休憩とりつつレベル上げに専念しようか」

「3人だけでフィールドに出るの」

「いったん第1、第2ステージに引き返すのもありじゃないかと思う。慣れない第3よりいくらかは安全だしね」

「あーなるほど。単独の数値は低くても数打って稼ぐ方式か」

 ふんふんとうなずいてから、はたと、アルは目を見開いた。

「休憩ってなんだ?」

「寝るの。普通に」

「ゲームんここで?」

「ここで」

「今はひとまず、それは置いといて。どっちがいいかな――」


 ぽん。


 そこで新着メッセージ音が響いた。その音はあっという間に波及して、プレイヤー達はおのおのの画面確認を始めた。

 これは――運営からのメッセージだ。



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