『頭』の説明。
「す・・・・・・凄じゃねぇか」金田は、驚いていた。「吉田、良くやった。貴様は、日本の誇りだ。わしは、嬉しい。今、とても良い気分だ」 「はっ」吉田は、背筋をぴんと伸ばした。「有り難きお言葉っ」 金田は、此方を見た。 「貴様、よく、あんなに小さい吉田の声が聞こえたな」 「と、言いますと・・・・・・」 俺には、金田の言っている意味が理解出来なかった。『あんなに小さい』と金田は言ったが、俺からしてみれば、吉田の声は『言う程小さくない』だった。 「吉田の声は、わしにも聞こえんかったぞ」金田は感心していた。「まさか、こんなに凄いとは、夢にも思わんかった。しかも、あの計算の速さ。素晴らしい」 そんなに小さい声で言ったのか? 金田は、吉田から1メートル程しか離れていない。其れなのに聞こえなかったとなると、そんな小さな声を俺は聞こえるようになったのか。 「どんなに小さい声でも聞こえたのは、秋元の両耳があった処に付いている縦に長い黒い正方形の御陰です。あれらは、『遠音探知機』といい、100キロ離れた処の音も聞く事が出来るのです。其れと、緑色の脳味噌『即思考機』は、どんな計算でも1秒以内で回答が出せるのです。つまり、作戦を練る時の速さが上がります。」 吉田は、自慢げに話した。 俺は、其れを聞き、吐き気を覚えた。 もう直ぐ、俺は、『人造人間』になる。