『頭』の性能。
「では、少佐殿。そろそろ。『頭』の機能について説明します」 吉田は、金田に言った。 「うむ。頼む」 「はっ」と言うと、吉田は、俺を見た。「貴様、今すぐに此方に来い。之から少佐殿に『頭』の性能について説明をする」 俺は、素早く立つと、吉田の処まで行った。 「では、始めます」吉田は、もう一度俺を見た。「貴様は、向こう側の壁まで行け。其処に背中をくっ付けろ。わしは、今からお前に小さい声で算数の問題を出す。其れを、一秒以内に計算しわし達に聞こえる様に言え。分かったか?」 俺は、言われた通り、壁に背中をくっ付けた。 「わしも、反対側の壁に背中をくっ付ける」吉田は、反対側の壁に背中をくっ付けた。「今から。問題を出すぞ」 俺は、耳を澄ました。どんなに不条理な状況でも、命令は遂行しなければならないので、俺は、嫌な顔1つせず「はっ」と言った。 「10005139+199993は?」 意外と大きな声だった。 「10205132です」 何故か、一瞬にして答えが出た。 「何故だ?」 「其れが『頭』の性能だ」 吉田は、自慢げに答えた。