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人造人間  作者: ウエマー
6/9

『頭』。

 「おい、おいっ。起きろっ」                                   頭上から声がした。                                       「ん?」                                            何だ?何なんだ?あっ、そう言えば、アカリと一緒による森の中で話していて、不意に何処からかガサッ、っていう、音が聞こえて・・・・・・ん?其処から何も憶えていない。気絶したのか?つまり、此の声は、アカリが俺の事を起こしてくれている声なのか?                                      「起きろっ」                                          「アカリ?」                                          俺は、上半身だけを上に起こした。                                辺りの様子を見て俺は困惑した。                                 「此処は、何処だ?」                                      コンクリートで作られた部屋にいた。                               「何処、なんだ?」                                       「目を覚ませっ」                                        其の声に俺は、我に返った。                                   目の前に酷く太った顔があった。                                 「吉田・・・・・・さん?」                                      「目覚めたか」                                         吉田は言った。                                         つまり、今見ていたのは、夢?アカリと会話をしていたのは、夢?                  で、俺は、何で寝ていたんだっけ?                                「貴様が『人造人間製作班』の1人に麻酔の入った『注射器』で首筋を打たれたからだよ」金田が俺の心中を探ったのか言った。「貴様を『人造人間』にする為にな」                     俺は、何故気絶したのかを鮮明に思い出した。                           俺は、『注射器』を打った奴を睨みつけてやった。                         其の時、俺は、はっ、となり、体中を探った。俺は『人造人間』にさせられる為に気絶をさせられた。つまり、もう既に俺は『人間』ではなく、『人造人間』なのだ。                     然し、変わった処は、特に無かった。                               「頭だよ」                                           金田が呟いた。                                         「頭・・・・・・でありますか?」                                   俺は、金田の言っている事が理解不能だったが、両手で頭を触ってみた。               「?」                                             両手には頭にぐるぐるに包帯が巻かれている感覚があった。                     「此れは、何でありますか?」                                  俺は、金田に聞いた。                                      「吉田、答えてやれ」                                      「はっ」と言うと、吉田は、俺を見た。「説明してやろう。『人造人間』を作るにあたって、『注意』しなければならない事が1つあるのだ。其れは、一気に『全て』を造っては、いけない事なのだ。つまり、お前を『人造人間』にする時に『頭』『手』『足』『胴体』を時間を置いて造らなければならないのだ。さもないと、時間を置いて、造らなかった場合、突然の事に体が耐えきれずに爆発してしまう。なので今回わしたちが造った『部分』は・・・・・・」                                  と言うと、吉田は、『人造人間製作班』の方を向き、頷くと、彼らは「はっ」と同時に言うと、部屋から出て行き、数秒後、人1人分ほどの高さの『鏡』を持って来て、俺が映る様に『鏡』を立て掛けた。「準備が完了致しましたっ」                                       「『頭』だ」                                          吉田は、俺の頭に巻いてある包帯を外した。                            「うああぁぁあ」                                        俺は、『鏡』の中に映る『自分』を見て絶叫した。『鏡』の中に映ったのは、前の「自分」ではなく、別の『自分』であった。一体、前までの「自分」は、何処に行ってしまったのだ、と思った。最悪な気分だった。                                               俺の『頭』は、半球の透明な硝子の様な物で出来ていた。なので、脳味噌は、其処から十分に見えた。脳味噌の色は、緑色になっていた。耳は、両方とも無くなっており、其の代わりに、耳の付いていた処には其々、手の親指程の黒くて、縦に長い、長方形の物が付いていた。                               「何なんだ。此れはっ」                                     俺は叫んだ。                                          其れは、虚しく部屋中に響き渡った。                                                                                                               

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