『人造人間製作班』。
金田は、自動小銃をベルトにしまった。 俺は、其れを見ると金田に聞いた。 「少佐殿、自分、此処に来るまでの記憶がないのであります。一体、此処に来るまでに何があったのでありますか?教えて下さいませんか?」 「うーむ」金田は、少し考えた素振りを見せると、シャツの上から俺の右の脇腹を触った。「如何だ。これでも思い出せんか?多分、思い出せる筈なんだが」 「痛っつ」俺は、触られた脇腹が突然痛み、顔を歪めた。「突然、如何してこんなに痛むのでありますか?全く思い出す事が出来ません」 「貴様、思い出せんのか?」 「はっ。思い出せません」 「そうか」そう言うと、金田は、何やらぶつぶつ呟くと、「そうか。そうか。思い出せんか。でも、思い出せないのなら、今、教える事は出来ん。厄介だからな」 金田は、吉田の方を見た。 「技術班の準備は、整ったか?」 「はっ。只今整いました」吉田は、そう言うと、「入ってこいっ」と、部屋の外側にいる『誰か』に向かって叫んだ。 「はっ」という、複数の男性の声が聞こえると、10人程の白衣を着、マスクを付けた男性が部屋に入ってきた。 吉田は、俺を見た。 「今、入ってきた者達が、『人造人間製作班』だ」 「『人造人間製作班』?」 「そうだ。簡単に言うと、お前を『人造人間』にする者達だ」 「そんな」 嫌だった。 「では、開始しろっ」 金田は、叫んだ。 「はっ」『人造人間制作班』と呼ばれる者の中の1人の男性が突然、白衣のポケットから黄色い液体の入った『注射器』を1本取り出した。「ジッとしてろよ」 「何をする気だ?」 『注射器』を持った男性が、俺に向かって飛び掛かってきた。 「うぁぁぁぁああぁぁ」 俺は、突然の事に驚き、動じる事が出来なかった。 チクッ。 首筋に、少し痛みが走った。 そして、何も分からなくなった。