閉じ込められる。
「うぐっ」 18歳の少年が目を覚ました。 「此処は・・・・・・」 青年の背は、190センチと高く、筋肉質の体をしていた。彼は、白いシャツを一枚と褌を着ていたが、其の上からでも分かる程だった。坊主頭で、一重の鋭い眼をしており、整った顔立ちをしていた。如何やら、彼は、この状況を読み込めないようだ。 其処は、畳十畳ほどのコンクリートで出来た部屋だった。ドアが1つと天井には1つだけ電球があり、其処から微かに光を放っていた。部屋は其のせいか薄暗かった。其れ以外には、特に何も無かった。其の部屋の中央に青年がいた。 「何なんだ」青年は、辺りを見回すと、ドアを見つけたのか其処まで駆け寄った。そして、ドアノブを掴み、回した。引いてみた。「開かない」 ならばと思い、押してみた。「開かない」 「何故だっ」青年は、叫んだ。「此処を開けろっ」 ドアを何度も叩いた。「開けろっ」 ガンガンガンガンガン。 ドアの叩かれる音が辺りに響いた。 「畜生っ」青年は、叩くのを止めた。 「如何なっているんだ?」 青年は、右足でドアを一回叩きつけてから部屋の中央に行った。 「如何すればいいんだっ」 そう叫ぶと、体育座りをして黙ってしまった。 数分後。 「思い出せねぇ」 と、呟いた。「此処に行くまでに何があったんだ?」 「くそっ。何故思い出せない? 誰が此処に閉じ込めた?」 青年は、もう一度辺りを見回した。 「何か。無いか?」 鋭い眼をもっと鋭くした。「此処から脱出する方法が」 まるで、獲物を探す飢えた肉食動物の様だった。 「ん?」 ドアの右横に黒いスイッチが一つある事に気付いた様だった。 「何だ。ありゃ」 青年は立ち上がると其のスイッチの前まで行った。 「押してみるか」 青年は、恐る恐るスイッチを押した。 「・・・・・・」 数分待っていたが、何も起こらなかった。 青年は、何度も何度もスイッチを押した。 「何故だっ。何故、何も起こらないっ」 青年は、叫んだ。 「くそっ。何故? 如何してっ」 「何も起こらないじゃないか」 青年は、スイッチを押すのを止めた。 そして、又、体育座りをした。 「・・・・・・」 「何をすれば此処から出られるのだ?」 「・・・・・・」 青年は、又もや黙ってしまった。 其の時、 ガチャン、という音と共にドアが開いた。 青年は、ドアの方を見た。 「誰・・・・・・ですか?」 恐る恐るドアの向こう側にいる『誰か』に向かって聞いた。 「わしは、吉田明というものだ」 「?」 「誰なんだ?」 やはり、青年には状況が読み込めないようだ。