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◇第4話

「おはよう~景子!」


声が聞こえたと同時に肩を叩かれる。

後ろから突然声を掛けられ肩を叩かれたら驚くが、毎度のことなので声を掛けてきた幼馴染に挨拶をする。


「おはよう、紗枝。今日は信治君いないの?」

「信ちゃんは朝から用事があるんだって。置いてかれたよ~」


そう言いながらぷく~っと頬を膨らませ怒る紗枝だが、またその様子が可愛く景子は微笑ましく思う。

この幼馴染カップルは付き合って2年も経つのに、相変わらずラブラブだ。

紗枝の眩しい表情にあてられながらも、昨日よりはあまり辛くないような気がした。

きっと宗佑に会えて話を聞いてもらえたからだろうな、と思った。


昨日駅前で別れた後も、無事に着いた?と早速メールをくれ、宗佑の優しさと心遣いに改めて感動をした。

景子もすぐに改めてお礼の言葉と無事に家に着いたことを送った。

明日楽しみにしてます、など簡単ではあるが何度かメールのやり取りも出来た。


・・・竜弥からのメールはなかった。

景子もあれから送っていなかったので当たり前ではあるが、もし宗佑に会ってなかったらメールが来ないことや送った方が良いのだろうかと1人で悩み夜もきっと眠れなかっただろう。


今日話をするって決めたんだから、頑張ろう!


思わず両手をグッと握る。

そんな景子の様子に紗枝が不思議そうに首を傾げていたが、そのことには気づかない景子であった。


もう少しで学校に着くという時に紗枝が口を開く。


「ねぇ、景子。昨日また馬鹿竜弥がドタキャンしたでしょう?」


先ほど信治に対して怒っている時よりもドスの利いた声だった。

この声を出す時は、かなり怒っている。

いつもクリクリした大きな目もスっと細められ、なかなか迫力がある。

この状態の時の紗枝に言い訳をしても無駄なことが分かってるので、素直に白状する。


「ドタキャンされたよ」

「また!?本当にあいつは~~!景子怒って良いんだからね。馬鹿にはしっかりお灸を据えないと意味がないよ!」

「実は見ちゃったんだ。友達と遊ぶってメールが来たのに、女の子と2人で歩いてるのをバッチリと」


おどけたようにワザと明るく言うが、紗枝には通じない。

怒りの矛先がこちらにも向いたようで、右頬を思いっきり抓られる。


「いひゃいよ・・・」

「当たり前でしょ!痛くしてるんだから。本当に竜弥も馬鹿だけど、景子も馬鹿なんだから」


そう言いながら抓ってた右頬を離し、今度は撫でられる。

紗枝の方が目をウルウルさせ泣きそうだ。


「ごめんね、心配かけて。・・・でも今日きちんと話をするって決めたんだ」

「それはどういう心境の変化?今まで何回私が言っても聞いてくれなかったのに」

「昨日会った人に話を聞いてもらって分かったの。その人のおかげかな?けど、紗枝にも感謝してるんだよ。情けない私のこと見捨てないでいてくれて、本当にありがとう」


長く一緒にいる分慣れてしまい中々普段は照れくさくて言えないが、それでも伝える時にはきちんと伝えたい。

歩くのを止め、頭を下げてお礼をする。

そんな景子の様子に紗枝が慌てる。


「大切な幼馴染を見捨てるわけないでしょ!」

「そう言ってくれてありがとう。紗枝大好きだよ」

「私も景子大好き~」


少し冗談交じりにもしつつ、お互い抱き合う。

女同士、通学路でそれをするのはかなり目立つ。現に同じ高校の制服を着た人たちからの視線も感じる。

しかしそんなことは気にせず私達両想いだね、など言いながら歩いていく2人であった。


紗枝は心の中で昨日景子が会った人は男の人だろうと確信していた。

聞いた訳ではないが、きっとそうだろう。

いつもの景子ならドタキャンされ、更にデートをしている場面を見たら翌日も絶対に落ち込んでいるからだ。

本人は気にしてないように振る舞っているが、長年幼馴染をしてきた自分には分かる。

けれど、今日の景子は違っていた。

落ち込んでない訳ではないが、それでも随分とスッキリとした表情だったからだ。


失恋の痛みは、新しい恋で癒すしかないからね。

景子は多分気づいてないと思うけど。

だからいい加減にしろって何度も忠告してやったのに!馬鹿竜弥めっ!


紗枝は心の中で今頃呑気に朝練をしている竜弥に毒づく。

紗枝としても幼馴染4人でそれぞれカップルになったら楽しいだろう、と期待はしていたがここ最近竜弥の景子に対する酷い仕打ちに怒りが爆発していた。

自分はこんなことにならないよう出来るだけ忠告をしていたし、耳を貸さなかったのは竜弥の方だ。

傷つけるだけの男よりどんな人物かは分からないが、景子を笑顔にする男の方が100万倍良い、と結論を出しさっさと見切りをつける紗枝であった。


そんなことを紗枝が考えてるとは知らない景子は、どうやって呼び出して竜弥に話をしようか、と悩んでいた。


しかし景子が悩んでいた呼び出しは昼休みに竜弥の方からして来たため、アッサリと解決したのであった。


今回は友情の回でした。

次回はいよいよ佳境に入ります。

なんか達弥がひどい男ですね~(汗)

本人には本人なりの言い分があるみたいなので、次回聞いてやって下さい。

もしかしたら全6話になる可能性が出てきました><

(予定)にしといて良かったです!(そういう問題ではない)

申し訳ございませんが、そうなった時はお許し下さい!

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