第四十二話〜火柱~
「フフフフ…」
女は笑いながら私の黒い身体を撫でていた。
「気持ちいい?」
そう言いながら、私の喉のあたりを撫でる。猫である私はゴロゴロと喉を鳴らしながらくつろいでいた。
「いい子ね〜」
女は、マンションの一室のリビングの床に座っていた。
「この子のおかげで、あなたに復讐ができるわ!」
女は静かに後ろを振り向していた。
「んーー!んーー!」
男が猿ぐつわをされて、椅子に縛られていた。
「なぁに?何か言いたい事でもあるの?」
女はそう言いながら立ち上がり、男に近づいて行った。
「んーー!んーー!」
男は、また唸っている。そんな男の猿ぐつわを女は取ってやる。
「待て!やめろ!落ち着け!」
男は矢継ぎ早に言葉を発した。
「私達、結婚できないのでしょ!」
女がそう尋ねた。
「いや、待て話し合おう!」
男は、女にそう言った。バカな男だと私は思った。こんな状況になるまで女を追い込んだ事もそうだが、今のセリフだ。今のところでウソでも結婚をすると言っていれば、結果は変わったかもしれない。いや、この状況では変わらないか。私は思いなおした。
「私ね、あなたと結婚して幸せになりたかったの!」
女が男に言う。
「幸せになれるよ!」
男が優しく女に言った。
「なれるわけないでしょ!あんたのせいだ!」
女は叫び出した。ヒステリックにわめきだす。
「もういいや!終わりにする」
女はそう言って、床においてあったポリタンクのフタを開けた。
「何をする気だ!」
男が叫ぶ!女はポリタンクを持ち上げ、中の液体を自分にかけた。そして、周りにぶちまけていく。この液体はガソリンだった。
「フフフフフフ」
女は笑っていた。私はガソリンの匂いに耐えられず、部屋を後にした。私の後ろで大きな音と共に火柱が立っていた。




