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第三話〜エレベーターホール2~

「けっこう年季の入ったマンションね」




私は前を歩く遥香に言った。




「古いマンションではあるんですけど、部屋の中はリフォームされててキレイなんですよ」




そう言いながら、遥香はマンションの中に入っていった。遥香からマンションの話を聞いてから数日が過ぎていた。




遥香が飲み屋で言っていた事が気になって、今日はマンションまでついてきたのだ。




まだ、時間は夜の七時を過ぎたくらいだ。たしか、音がなるのは、夜の十時くらいだという。




それまでは、遥香の部屋で家飲みをしながら待つつもりであった。




マンションは、正面の入口を入って右側に、小さな小窓があった。




管理人室のようであるが、そこに誰かが住んでいるというより警備員が常駐するための事務所のような広さだった。




左側には、緑色の掲示板があった。いくつかの張り紙が張られている。




そして、その掲示板の先を左に行く通路がある。一階の部屋に向かう通路だ。




「ねぇ、この事務所って管理人の人とかが常駐してるの?」




「たまに、管理人さんを見ますけど、いつもいる訳ではないですね」




おそらく、ゴミの収集日などの特定の曜日の特定の時間だけ来るのだろう。




「で、それが噂のエレベーターホールです」




マンションの入口を入って、管理人室と掲示板があるスペースを抜け、一階通路の奥に、例のエレベーターホールがあった。




エレベーターホールと言っても、エレベーターの前に数人が待つ事ができる程度の空間があるだけだ。




エレベーターは、左側に一台設置されている。




また、エレベーターの正面、今の私達から見れば右側に、入口にあったのと同じ緑色の掲示板があった。




「まあ、けっこう年季は入ってるけど、普通のエレベーターよね」




「でも、夜遅くに音が鳴るんですよ」




私はエレベーターと、その前の空間を見渡してみた。すぐに全てを把握できるほどの広さしかない。




「何時くらいだっけ?音がなるの」




「けっこうバラバラみたいなんですけど、十時くらいになる事が多いみたいです」




「じゃあ、十時くらいにまた来ようか」




それまでは、遥香の部屋で飲み会だ。私は、遥香を急かしながらエレベーターに乗った。







午後十時をまわった。私達は、一階のエレベーターホールに立っていた。音は一向に鳴る気配がなかった。




「本当に音がなるの?」




私は横に立っている遥香に声をかけた。




「いつもは、これくらいの時間になるんですけど」




遥香が不安そうにそう答えた。




「どんな音だっけ?」




「ドン、ドン、ドン、ドンって感じの、何かがぶつかってるような音です」




遥香がそんな風に説明する。




「ならないね〜!」




私達は、そんな言いあいをしながら、音がなるのを待っていた。




「もう、だいぶ時間たつわよ」




私はスマホを取り出して時間を確認した。時刻は十一時をまわっている。エレベーターの前にきて、一時間程度がたっていた。




「今日はならないのかもね」




「ニャー!」




私がそう言った時、遠くから猫の鳴き声が聞こえたような気がした。




「ねぇ、今猫の鳴き声しなかった?」




「え?そんな鳴き声聞こえませんでしたけど」




私が遥香に尋ねると、そんな答えが帰ってきた。その時




「ドン、ドン、ドン、ドン!」




っと、エレベーターホールに音が鳴り響いた。




「何?この音」




「これですよ、美里さん!」




遥香が私の腕にしがみついてきた。




「何なの?この音」




私はそう言いながら、周りを見渡す。




そうした時、一階の部屋の通路に黒い猫が座っていた。




その黒猫は、私達の方を見ているようであった。




「あれが黒猫?」




私達は、固まってしまい何もできず立ちすくんでしまっていた。







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