第十九話〜異世界転移2~
最近この町では珍しい、屋外に客席が設置されているカフェができた。
私は、その客席の近くで昼寝をしている事が多い。
私は黒猫である。名前はまだない。
「異世界転移って知ってる?」
「あの、マンガとかアニメで最近よくあるヤツね」
女子高生だろうか、女が二人話していた。
「私、こないだ異世界転移をしちゃったの」
「何それ〜!そんな事あるわけないじゃん」
「本当なの!」
そう言った女の真剣な顔で、相手は黙ってしまった。そして、言葉を絞り出す。
「それでどうしたのよ?王子様に助けられた?聖女様って呼ばれた?魔物とかと戦ったりした?」
少し上ずった声でまくしたてた。
「最初、暗闇に浮いてて、そこで魔法を覚えたの!たぶんすごい力を手にいれたんだと思う」
女はそう言って「見て!」と、手の甲を相手に見せた。
「何?タトゥー?」
「この紋章があれば魔法が使えるみたい!こっちの世界では無理だけど」
悲しそうに言っていた。
「そんな力を持って、異世界の森の中に降り立ったの」
「それでどうしたの?」
女の一人が、話に引き込まれ始めたのか話を促す。
「そこで人に出会ったの」
「運命の出会いとか?王子様?冒険する仲間とか?」
「その時すぐに気を失ったわ!薬か何かを嗅がされたみたい」
少し、深呼吸をして女は話し続けた。
「目を覚ましたら、服を脱がされて男達に囲まれてた!野党だったのよ」
「ウソでしょ!」
「それから数日、そこの男達に◯されつづけた!」
女は震えだしていた。
「魔法は何かで封じられてたし、何もできなかった!ただ、代わる代わる男の相手をさせられた」
女は天を仰ぐようにしていた。
「数日してね、周りが慌ただしくなったの」
「何があったの?」
「野党達が魔物に襲われたの」
その時の事を思い出したのか、女は震えだす。
「魔物は、人の身体に豚の顔をしたオークとかいうヤツだった」
「それでどうしたの?」
「オークにさらわれたわ!」
もう一人の女は言葉を失う。
「それから毎日、豚達の相手をさせられた!」
もう一人の女も震えだしていた。
「数日して、豚達の巣が襲撃を受けたの!他の魔物に襲われたみたい」
「大丈夫だったの?」
「私はその隙に逃げ出したの!裸で森の中を走り続けた」
女の目線が泳ぐ。
「そんな時、中年の男と出会ったの」
「やっと助けが来たのね」
「その男は、私を家に招き入れたけど、何度も私を◯したわ!」
もう一人の女は涙を流しはじめていた。
「毎夜毎夜、何日も…」
もう一人の女は言葉がでないようだった。
「それでね、私を娼館に売ったの!」
「そんな…」
もう一人の女が絶句する。
「毎日、お客をとらされて、私は心がすり減っていった」
「そんなのって…」
「それでね、娼館を逃げ出したの!でも逃げられなくって、剣で斬られたの」
女は背中を見せて服をずらした。
「見て!」
女がそう言って見せた背中には、首筋から背中にかけて刃物による傷跡があった。