4 狩人の仕事
「そこで潜んでろよ。絶対出てくるなよ。」
これは、出てこいという振りなのだろうか?ワチキはこう見えて魔法が使えない。
今できることは大声で魔獣をおびき寄せることぐらいだ。
出るなと言うことは、出てこいと言う事なのか。悩んでいる内に、魔獣は倒されて魔法袋に収まってしまった。ワチキは何も出来ないうちに終わってしまった。ココはちゃんと、空から、位置情報を伝えて、役立っていたのに。しょぼんとしていると、フランが、
「よく言いつけ通りに隠れていたな。偉いぞワチキ。」
と。褒めてくれた。良かった、振りでは無く、本当に出てはいけなかったのだ。
「本当に、お前は一体なにができるんだ?精霊樹はお前に何も力をくれなかったのか?」
エステバルが、酷いことを言う。ワチキだって、もっと何かしたいのに、未だ何か出来るか、わからないのだ。ただの連絡係だったのだろうか。精霊樹様、どうかワチキにも何か力を分けてください。
「随分魔獣が大きいな。こんなのは俺等の国では見たこともない。」
「確かに。猫耳おっさんが言っていたけど、この国はマナというのが多いんだってさ。多分僕らが言う、地力のことだと思うけど。この国には独特の神話があるらしい。後で図書館に行って見て見たいな。」
「相変わらずだな、フランは。俺はもう勉強はいいや。それよりも、もっと魔獣を倒したい。面白くて仕方ないよ。」
フラン達は思いっきり魔獣を狩りその日、狩人組合で一番の獲物を卸した。
熊耳の女の子に驚かれ、犬耳には肩を叩かれ、猿には褒められた。余りにも多種多様な組合員に、目が彼方此方泳いでしまった。
「お姉さん、この辺で図書館があるって聞いたけど、何処へ行けば良いのかな。許可がいる?」
「あら、国立図書館なら、誰でも只で入れるわよ。許可はいらないし、お金もかからないわ。この大通りをまっすぐ行って右にある大きな建物よ。直ぐ分るはず。」
「ありがとう。」
フランは宿には帰らずに、そのまま図書館へ行った。
とても大きな建物だ。七階建てで、入り口も広く取ってある。
「文化が発達している国だ。本が読み放題だなんて、素晴らしい。」
受付で図書館内部の地図が渡された。これを見ながら、歴史書が置いてあるコーナーに行った。
「まずはこの国の歴史を学ぼう。」
この国の成り立ちは、神話の時代まで遡っていた。本は、何度も写本された物らしく第五〇代再編本などと書いてある。
「どれほどの長い歴史があるのだ。」
過去には火山が噴火したこともあって、一時は歴史が途絶えそうに成ったこともあるらしい。
この国はかつて龍神の国と呼ばれていたらしい。
フラン達の大陸のことも載っていた。フラン達の大陸はかつて、闇の国と呼ばれていたと書いてある。
龍神が作った国、龍神によって魔法が齎された。龍神が見守る国。
総て龍神に繋がる神話だった。
面白かったが、日本でも日本書紀などもあったし、眉唾物はよくある物だ。
ここいらで、魔法について書かれた物を見てゆこう。
フランはそれから時を忘れて読みふけった。