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魔王軍に村を焼かれた俺、今日も元気に幼馴染勇者を後方支援~草をむしれば魔王が滅ぶ~  作者: 竜山三郎丸
魔王と薬売り

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魔王戦、その後

◇◇◇


 元四極天の2人と大賢者最後の弟子が極秘裏に遂行した魔王城侵攻は、7人の冒険者の命とジーオの右腕と引き換えに魔王が城を追われるという結果になった――。



「……すまない、失敗だ」


 遠く王都から移動魔法陣を用いて瞬時にアルバへと戻ると、ジーオはカルラとナイルに頭を下げた。


 もっと周到に用意をすべきだったのかも知れない。だが、それは承知の上で速攻を選択したのだから2人もそれは口にしなかった。


「お疲れ」


 ソファに深く背中を預けて、帽子を目深に被り顔を隠しながらカルラはジーオを労った。


 自身の限界近くの強大な魔力を何度も放ったカルラも流石に疲労困憊だ。


「お疲れ様です。失敗とは?……短刀は?どうなりましたか?」


「被害確認より先がそれ?」


 疲労もありぶっきらぼうにそう言い放つカルラをきょとんとした顔でナイルは見る。


「でしょう?それが目的なんですから。被害確認なんてのは正否確認の後でしょう。少なくとも師ならそうしますよ」



 帽子を深く被っている為、カルラの表情は見えない。


「それもそうねぇ~。続けて」


 カルラはジーオに続きを促し、ナイルはジーオに視線をやる。ジーオは炎の中で相対した魔王を思い出す。


 その側腹部には短刀が刺さったままになっており、血が滲んでいた。


 そして、その足元に転がっていた人型の黒炭を思いだす。恐らくは白銀等級の冒険者ゲイン。


「……刺さっていた。心臓では無かったけれど」


 苦々しい顔でジーオは答える。


 ナイルは口元を手で隠しながら考える。


「心臓では無い……、どの辺りです?腕?背?腹?」


「左の……脇腹の辺りだったと思う」



「脇腹ですか」


 手で隠したナイルの口角が少し上がったのに2人は気が付かなかった。


 それをごまかす様に一度咳ばらいをした後でナイルは口から手を離し言葉を続ける。


「最良とは言えないまでも次善ではあると思います。心臓を貫く程の即効性は無くとも、じわりじわりと身体を蝕んでいくとはずです。それにカルラさんが空間の綻びからシアンの位置を手繰れる様になった以上今までの様に気軽に空間転移も出来ないでしょう」


 カルラはソファに沈んだままため息を吐く。


「ただの嫌がらせ程度じゃん、そんなの」


 口にこそ出さないが、ほぼ全力で放った魔法でも四天王に手傷を負わせる事が出来なかった事がカルラの自尊心を大きく傷つけたようだった。何度も直撃させる機会がありながらまともにダメージを負わせることが出来ず、結果7人の命とジーオの右手と刀を失ったのだから。


 ジーオを王都に置いて行った事からわかるように、向こうがその気になればいつでも国の中枢を攻撃する事が可能なのだ。


 目深にかぶった帽子のつばの向こうで、カルラの目に悔し涙が滲んでいた事に2人は気が付かなかった。


「とにかく、戦力不足だ。最小限で見積もってもヴィクリム、シアン、イズミ。少なくとも僕らで四天王を抑えられないようじゃ話にならない」


 ジーオは腕を組もうとして右腕がそこには無い事に気が付く。


 腕を失った事が無いからわからないが、失った右手を握ったり開いたりするとまるでまだそこに右手があるかのような感覚だ。


 魔王イズミはジーオに告げた。


『もう二度と私に構わないで』、と。


 だが、彼はそれを2人には伝えなかった。


 人の命を吸う。神出鬼没に現れる。原因不明の攻撃をする。


 放っておくことなど出来るはずがない。


 国と民を守る為に。


「……僕はもっと強くなる」


「私も」


 ジーオの宣言にカルラも応える。


「どんな手をつかっても」



「でも、まず先に兄弟子達との会食ですね」


 ナイルはニッコリと年相応に微笑む。


 カルラは帽子のつばをクイッと上げて苦笑いをする。


「あー……。あったね、そんなの」




◇◇◇


 3日後、伝えてもいないのにどういう訳か俺達の宿にジーオからの招待状が届く。権力者って怖い。



「39問。ジジイの好きな食べ物は?」


「えー……っと、オムライス?」


「はいっ!茄子の煮びたし!」


「はい、蛇子正解。茄子の煮びたしでした~」


 宿の俺達の部屋では大賢者ゼル大クイズ大会が開催されている。


「いえーいっ!……ていうか蛇子ってなんだよ」


 正解のハクが飛び上がって喜ぶ。


「小僧はペナルティで腕立てな。ハク、乗ってやれ」


「……何だそりゃ」


 ハクが俺の背中に乗り、腕立て伏せを開始する。


「よく献立に出てたから好きだと思ったんだけどな~」


「俺の時は出た事ないぞ、そんなハイカラな料理」


「ハイカラって」


 ハクが口を隠してプッと笑うが、ナシュアは構わず解説を続ける。


「多分お前が好きなメニューなんじゃねーの?知らんけど」


「あー、……なるほどね」


 つくづく思うんだけど、やっぱり俺はもう少し他者に興味と関心を持つべきだったんだと思う。一緒に住んでいた俺が知らない事を何故かハクが知っているくらいなのだから。


「はい、じゃあ次。第40問。ジジイの好きな色は?」


「色!?いつもどんな服着てたっけ……」


「はいはい、腕立て止めるなよな」


 ハクがまた元気に手をあげる。


「はーいっ!緑!」


「ピンポーン。蛇子またまた正解」


「マジかよ、知らねーよそんなの。俺に腕立てさせる為に適当言ってるんじゃねーの?」


「バーカ、王都日報のインタビューで明確に答えてまーす」


「あはは、怖っ」


「だから知らねーっての」


「ほら、手止めんなよ。魔力を流しながらやるんだよ」


 刀の鞘で俺の頭をコンコンと叩く。


「じゃあ次僕ね。41問!ナシュアが最後におねしょをしたのはいつでしょうか?」


「なっ……」


 一瞬声を出した後、ナシュアはわざとらしく咳ばらいをする。


 俺は黙々と腕立て伏せをする。


「そうだなぁ……。3歳だったっけなぁ。違ったっけなぁ」


 顎に手をやり右上の方を見ながら白々しくナシュアは答える。


「ブブー。そもそも君3歳の時はゼルと一緒にいないだろ」



「正解は?」


 俺が問うとナシュアはわかりやすく俺の言葉を遮る。


「ようし!次の問題は難しいぞ!」


「あはは、ごまかした~」


 結局その後大賢者クイズは150問迄続いた。


 

 一人50問ずつで、合計150問。自分の問題を抜いて100問だ。


 一位はナシュア。まさかの100点満点。


 二位はまさかのハク。71点。


 そして、三位が俺。まさかの36点。


 腕立て伏せをし過ぎて腕が上がらない。


 何故ハクには誤答ペナルティがないのだろう?



「優勝はいただきだぜ」


 ナシュアは自信に満ちた笑みを浮かべるが、そもそもそんな趣旨だっけか?






 




 





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