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魔王軍に村を焼かれた俺、今日も元気に幼馴染勇者を後方支援~草をむしれば魔王が滅ぶ~  作者: 竜山三郎丸
勇者と薬売り

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光の色

◇◇◇


「おっ、おひさ~。まさかそっちから来てくれるとは、意外に強メンタルなんだねぇ。見直したよ」



 カルラ邸は思ったよりイズミの屋敷から近かった。


 白くほわほわした羊の様な部屋着で俺たちを出迎えた四極天『知の極致』カルラは俺を見てニヤリと笑う。


 俺はペコリと頭を下げる。


「皮肉で無く受け取って欲しいんすけど、その節は感謝してます」


 俺の言葉にカルラは目を丸くしてイズミを見る。


「えっ、イズミ。この子大丈夫?被虐趣味が?」


 イズミは困惑しながら首を傾げる。


「えっと……、わかんないよ。多分、違うと思うんだけどなぁ……」


 自信無さげに俺をチラチラと見る幼馴染の勇者様を俺は白い目で見る。


「多分じゃねーよ。つーか、俺お前とそんな話しなかったっけ?気のせい?ま、それはともかく!」


 俺は白い羊の様なカルラを見る。


「しがないのは薬師じゃなくて俺なんで。それだけ訂正しときます」


 それを聞くと、カルラは嬉しそうにニッコリと笑う。



「うふふふふ、変な子」


「あ、これお礼っす。特製の濃度10倍ポーション」


「まーじでー。何の為の濃さなの、それ」


「それは飲んでのお楽しみと言う事で。つーか、やっぱり白が好きなんすね」


 以前来た時は白のワンピースを着ていたと思う。黒のローブやとんがり帽子は要するに仕事服らしい。


 カルラはもこもこのフードを手で触りながら楽しそうに笑う。


「まぁね~、かわいいでしょ?」


「かわいいっす」


 そう答えると不機嫌そうな顔をしたイズミにグイっと押しのけられる。


「そ・れ・で?シロウは何をしに来たんだっけ?カルラも忙しいんですけど」


「えっ、全然暇だよ?毎日料理作ったり本読んでるだけだもん」


「料理作るんすか」


「料理も調合も魔法も全部根本は一緒だよ。シロウ君もやった方がいいよ」


「なるほど、そういうもんすか」


 カルラが得意げにコクリと頷くと、フードがぱさっと頭に掛かる。


「そういうもんだね」



◇◇◇


 こないだも訪れた工房に移る。


 ホムラ式魔道真空二層式空中釜のアイディアを伝えると、カルラは嬉しそうに何度も頷きながら話を聞いてくれた。


 そして、フードを目深に被ると左手の人差し指をぴょこぴょこと上下に動かしながらぶつぶつと呟く。



 次の瞬間ギュンと、空中にホムラ式云々釜が現れる。


「うん、いいね!」


 フードを取りニッコリと満足げに笑うカルラ。



「シロウにも使えそう?」


「つーか、私シロくんがどの程度の腕前か知らないし」


「シロくん!?」


 急なあだ名に驚くイズミを他所にホムラ式~を適当に宙に3つ作り出す。


「組んじゃえばまぁいけるでしょ。それでさ、見た所未登録の術だと思うけど、どうする?」


 カルラは挑発的な笑みを浮かべて俺を見る。


「えーっと……、どうするって言うのはどんな選択肢があるんすか?」



 カルラは笑みを浮かべたままピッと左手の指を二本立てる。


「私が登録するか、シロ君が登録するか。前者なら今日にでもサクッと登録終わるよ。後者なら、自分で術の仕組みを理解して申請書書いてもらう必要があるんだけど」


 そう言い終えた後で、ニヤニヤしながらまた言葉を続ける。


「でもなぁ~、薬師サンには魔法は関係ないし、難しいかぁ~。私が登録してお駄賃あげた方が楽でいいよねぇ~」


 左右にゆらゆらと動きながら俺を煽る四極天カルラ。


 俺はニッと笑う。


「当然、俺っす。何をやるにしても、関係ない事なんて一つも無いですし」


「イズミ~、シロくん借りるよ」


「……別に私のじゃないですし」


 カルラはスッと勢いよく立ち上がると俺に近づき、顔を両手で押さえてまっすぐに見据える。


「負け犬から野良犬くらいにはなったね。私が魔道の神髄を叩き込んであげるよ」


 カルラの顔が近くてやや照れるが、そういう場面じゃないことはわかっている。俺もまっすぐにカルラを見る。


「よろしくお願いします!師匠!」


「えへへへ、いいねいいね~」


「……神髄まで叩き込まなくても申請書書く程度の理解でいいんじゃないの?」


 後ろでイズミがぶちぶち文句を垂れている。



◇◇◇


「まず、魔力には大きく分けて二種類あります」


 場所をリビングに移して『知の極致』による魔法の基礎講座が始まった。


 リビングの基本色は緑だ。


 またもや指を二本ピンと伸ばして、伊達メガネを掛けたカルラは説明を続ける。


「外の魔力と、内なる魔力。内なる魔力って言うのが主属性になるんだけど、よっぽど偏ってなければ大体使える様になると思うよ?」


「はい、先生。質問」


 カルラはピッと俺を指さす。


「師匠でしょ、シロくん」


「はい、師匠。質問」


「……その先生ごっこ必要?」


 今度はイズミが茶々を入れてくる。


「進まないから余計な茶々入れんなよ」


「ふーん、私ばっかり」


 口を膨らませてムスッとする。何なんだよ。気にせず質問を続ける。


「師匠は治癒魔法は使えないんですか?」


 俺の質問にカルラ師匠は露骨に嫌な顔をする。


「……悪い?」


「あっ、いや。煽りで無く単純な疑問っす」


「んー、向き不向きとしか言えないなぁ。この私がどれだけ頑張っても使えないから多分私には無理なんだと思うよ」


「カルラ、平気!私も使えないから」


 カルラのフォローをするイズミ。

 

 つーか、もしかして四極天って誰も治癒魔法使えないのか?


「あ、でも勿論理論はわかるからね。慢心で無く多分誰よりも治癒魔法の研究してるから」


 私負けず嫌いだからさ、とカルラは笑った。


 主属性によって魔力の使い方に若干の違いがあるらしい。


 同じ火を起こすにしても紙を燃やすか、木を燃やすか、油を燃やすかの違いがあるのと同じようだ。



「シロ君は大賢者に育てられたのに魔法の心得は全く無いの?」


「そう言や全く。つーか、ついこないだまで知らんかったです」


「私は知ってたけど」


「イズミはナシュアといたんだからまぁ知ってるでしょうに。じゃあまず主属性の確認からやろ。魔法適正の有無に関わらず誰しも皆あるのよ。肉屋さんでも本屋さんでもね」


「なるほど。本屋さんにも火属性と水属性がいるわけっすね」


「そうそう。魔法を使える使えないは別として、ね」


 燃える熱い書店員さんと、クールで落ち着いた書店員さんを想像したがきっとそんな感じの話ではないだろう。


「因みに、私は炎でイズミは風だよ」


「どうやって調べるんですか?」


 イズミは得意げに液体の入った小瓶を取り出す。



「カルラの作った便利な試験液があるの」


「うん、大人気商品だね。属性検査液『マジリット』指を付けて30秒程待つと色が変わるんだよ。その色で主属性がわかるんだ」


「すっげぇ簡単。この液体の色が変わるんすね?」


「ううん、指」


「指!?」


 俺の反応を見てケラケラと笑う女性二人。


「ふふ、冗談に決まってるじゃん。液体だよ、液体」


「ね」


「……決まってるかどうかわかるわけないだろ」



「はいはい、それじゃやってみよ」


 カルラが小瓶の蓋を取り、俺は促されるままに指を付ける。色で主属性が分かり、その濃さで強さがある程度わかるらしい。超簡単検査キット。


「これいくらなんすか?販売価格」


「んー、普通の家が一戸建つくらい」


 さすがにもうその手には乗らない。


「どうせ冗談なんすよね?流石に二度目は引っかからんすよ」


 俺の言葉にカルラとイズミは顔を見合わせる。


「だって」


「ま、いいんじゃない?信じなくても」


「おい、何だよ。まさか本当に……」


 と、その瞬間液体が眩い光を放つ。



「え……」


 二人とも目を丸くする。


 瓶の中の液体は金色に輝き、光は次第に強くなり、室内を夏の日光のようにまばゆく照らしあげた。


「光……属性……?」


 カルラは目を覆いながら、信じられないと言った顔で、またイズミを見る。


 そして、イズミは最初こそ驚いた顔をしたが、俺を見て嬉しそうに微笑んだ。



「光属性はね、……かつて伝説の勇者だけが扱えた属性なんだって」











 










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