第二話「いつだってそう」
後悔、絶望、略奪、強制。
これが私の人生。
何日たったかな……彼を失って…自分もわからなくなって…また今日も…彼と話した岩のそばで夕陽を眺める。
「ぅ…私も…そっちに行きたい…」
涙が溢れ、嗚咽を吐きながら崩れ落ちる。
体にあざが出来ても、骨が折れても…たとえ死んだとしても。…きっと。
「ユーリ…!!助け…て……また話したい!!もっと!!もっと話したかった!!!!」
死んだ方が…楽なのだと…
「疲れるぐらい笑って…ぅ…笑顔が溢れるぐらいに…遊んで…話して!!隣に…いだがった!!!」
喉が腫れ、自分の無力さに嫌気が立つ。
「ユーリ!!!ユーリ…!!」
彼の為に。私は何も出来なかった。
「好き…好きです!!!好きでした!!!」
でも…もう届かない。首を絞め、意識が飛ぶ程の苦しさを得てもなお……私には…彼に会えない辛さの方が…
「ラヴィ!!」
「…お願い!!殺して!!!私を殺して下さい!!!お願いします!!」
「辞めろラヴィ!!!!俺は…」
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分からない…何も。何で私だけこんな目に会うの?私が何かした?…産まれて、家族を失って…束縛されて、好きな人を失って、沢山の初めてを奪われて、知らない人と結婚して…自分すら失って…
「ラヴィ!!」
死にたいと言う願望すら叶わない。
「ワン!!」
「…ぅ」
…ぁ。そうだった。
//////「犬?なんでまた」//////
「ワン!!」
「ご…めんなさい…」
私は飛び込んできた真っ白な犬[アン]を抱きしめた。流れる涙をペロペロと舐めるアンは、嬉しそうに尻尾を振る。止まらない悲しみ。涙。激しい息遣いは、小さな身体のアンに…助けられた。
「…ラヴィ?」
「…ごめんなさい…」
「薬飲まなかっただろ。…いや…僕の責任だな。彼のこと…ちゃんと向き合わないとな…」
「レキアス?」
「…強制結婚。…貴族の家系じゃ良くあることだ。…でも。父上様の行った行為は…絶対間違えてる。…自由無くして何が人生だ。他者が他人の一部を少しでも奪う行為は許されない」
「もう良いよ…行こっかアン。ごめんね?あなたを残したまま…私は死ねない。」
約束したから…ユーリと…
「…」
「父上様!!これ以上ラヴィに強要するのは!!」
「なら殺すか?…顔と身体しか使い道のないゴミに、役割を与えているだけ有難いと思え。」
「…ふざけ」
「…口を慎めよ人形。貴様の代わりなど幾らでも居る。貴様がアイツの側にいるのは、私が許しているからだと自覚しろ。…お前の家族を死なせたくなければな。」
「…申し訳ありません……」
「……」
レキアスはきっと良い人だ。…結婚の時も、私を気遣ってキスするフリをした。震える私を…心配してくれた。…だからこそ。好きになりたくない。だって…私と居たら…不幸になるから…
「ワン!」
「…美味しい?」
「ワン!!」
「…そう?…良かった。」
不幸になるのは…私だけで良い。
王国ベータ 商店街通り
「…はぁ…」
「?大丈夫ですか??」
「え?」
突然話しかけられて、少し驚いた。すぐに振り向くと、ピンク髪の美しい女性が、困り顔で話しかけてきた。
「…傷が深いですよ…話して下さい」
「…え?」
「…!ごめんなさい!!…えっと…私は怪しい者じゃないんですけど!!…力になりたいので!!」
「…別に何もないです」
振り返り、歩き始めると、左手を掴まれた。
「…?!なっ?!」
「嘘つかないで下さい。あなたの傷をこれ以上深めるわけには行かない。」
「ちょ!?離してください!!」
「…なら話して下さい。拒絶するのは…犠牲を選んだからですか?」
「?!」
「…あなたのような人を…私は理解したいんです。…信じて下さい。」
運命だと思った。
私を見破った2人目の人。
「…貴方は……一体…」
「!。シャネスと申します!!…一応元…勇者です。」
初めて出会った勇者は、凄く綺麗で、少し…光を見せてくれた。
次回「抗う為には…」
ご覧頂きありがとうございます。本編「世代の勇者」にてラヴィは意外な形で登場します。本編と平行して展開する物語なので投稿日が確定していません。
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