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第一話「本当の自分」

とある医療施設で一人の女の子が声を上げた。

優しく微笑む男と女は彼女に「ラヴィ」と名を与えた


「なんて可愛い子なの!ほら!あなたも見て!」

「本当だ!天使みたいだな!!」


        ----------------------


「どうした?ラヴィ?」

「ぱぱ!だっこ!!」

「ハハ!良いよ〜おいで!!」


        ----------------------


「行って来ます!!お父さん!お母さん!」

「いってらっしゃい」

「気を付けてね〜」


        ----------------------


「退いてください!!まだお父さんとお母さんが!!」

「危ないって!!」


        ----------------------


「と言う事で、遺産は我々が引き取る事に…」

「あなたも今日から私達の家族よ?」


        ----------------------


「ほら!笑顔は?」

「今…そんな気分じゃない…」

「女の子は笑顔じゃないと、人から好かれないのよ?」

「でも…」

「本当の顔より嘘の笑顔。それが大事。私は"あなたを"思って言ってるの」

「………はい」


        ----------------------


「偽りの顔…私って"誰"なんだろう…?」

「知らね」

「…はぁ」

「どうでも良いけど…いつものお前より今のお前の方が生きてるって感じだ」

「いつもの私は嫌い?」

「いや?でもなんか…人形みたいだなってさ」

「…人形」


        ----------------------


「何処にいたの!!」

「ごめんなさい。」

「ほら早く!!」


        ----------------------


「変な顔してんな」

「怒ってるの」

「良い男はいたか?」

「馬鹿言わないで!私は…」


        ----------------------


「良い?ラヴィ?あなたは私の言う通りにしたら良い人生が送れるの。この前の人も貴族の家系だったのよ?」

「ごめんなさい…」

「はぁ…15になってまだ独身なんて…」

「…」


        ----------------------


「ん!」

「…何これ?」

「誕生日プレゼントだよ。15になったんだろ?」

「ヘアピン?」

「おう。いつも顔隠してるからやるよ。」

「その私は貴方と関係ない。」

「知ってる。だからそのヘアピンは、本当の自分の時に付けろ」

「……ありがと」

「ほら。似合ってんじゃん。」


        ----------------------


「犬が飼いたい?」

「…うん。」

「……良いわよ。」

「本当に?!」

「えぇ。その代わり今度のお見合い。必ず出なさい。」


        ----------------------


「犬?なんでまた」

「好きって言ってたじゃない。…今度見に来ない?」

「お前さぁ…俺がお前の家に行ける身分だと思うか?」

「…そっか」

「犬ってさ?平均寿命は10年から13年って言うよな?」

「そうなの?」

「あぁ。俺料理人になろうと思うんだ。医者も考えたんだけど、魔法があるから。」

「それ…関係ある?」

「あるさ。一流の料理人になれば身分なんて関係なくお前に会いに行けるだろ?」

「あ」

「10年以内に一流の料理人になって堂々と会いに行くよ。その時…犬。紹介してくれ」

「…うん」


        ----------------------


「初めまして!いやぁ!とても綺麗な方だ!是非とも私の婿になってくれないか?」


「笑顔が素敵ですね!僕。こう言う者でして…」


「庭に大きな花畑があるんだ!君と一緒にいられたらどんなに素敵だろうか…」


        ----------------------


「まだ?」

「いやいや…流石に早いだろ」

「…私は…別に今からでも…」

「?何?」

「馬鹿…」


        ----------------------


「え?」

「何度も言わせるな。この男が明日からお前の夫だ。言う通りにしないからこうなる。」

「待って。私は」

「あぁそれと。あの外民は今独房に入ってる」

「…!なんで…」

「私の情報網を甘く見るな。外民如きが貴族の…ましてはうちの子を洗脳するなんて…」

「違う!!洗脳??私は彼に!」

「だったら!!!言う通りにしろ。…明日の結婚式。逃げずにお前が婿になれば、彼を釈放する様。私がお金を出そう」

「……。…分かりました。」


        ----------------------


「……馬鹿みたい…。…ねぇ…いつもみたいに……」


        ----------------------


「愛を誓いますか?」

「誓います!」

「…誓います……」

「では証明である。愛の誓いをお願いします。」

「ラヴィ…」

「…」

(あぁ私は……)


        ----------------------


「約束が違う!!」

「いや?約束は守ったさ。偶然釈放後に殺人鬼に襲われただけだろ?」

「…!!!あなたが差し向けたんでしょ!!」

「酷い良いががりだな。それとお父様だ。口に気を付けた方が良い。あと一つ…」


「ここでは私が絶対だ。たとえ娘だろうと私は手加減しない。言う通りにしろ。次失う物が何か…お前なら分かるだろ?」


        ----------------------


「はぁ…!!はぁ…!!」

(私は……わたしは…)


「逃げ出した?馬鹿な真似を…もう良い。捉えた者には娘を好きにしても良いぞ。代わりに必ず連れ戻して来い。」


「はぁ……はぁ……ユーリ…」

「いたぞ!!捕まえろ!!!」

「はぁ…いやぁ」






















「いや…」



























       私はその日"全てを奪われた"



       最愛の人。夢。自由。身体。



        涙が枯れ、声が掠れ、



       知らない人に私は"壊された"



       身体を触られ、朝日が昇るまで



         ラヴィは"殺された"



         ----------------------



            私は


      --「はい!お父様!お母様!」--


          誰なんだろう?


        --「分かりました!」--


         鏡に映るわたしの顔


       --「私!とっても幸せ!!」--


         笑顔に隠れた偽りの


        --「これが本当の」--


            自分



























---------------------------

「勇者なんて……居ない…」

幼い頃お父さんとお母さんに読んでもらった勇者の本。

誰もが憧れる。正義の味方。


「…みんな…死んじゃえば良いのに…」


        





ラヴィ

名前の由来:I love youから言葉を弄り名を与えました




ご覧頂きありがとうございます。本編「世代の勇者」にてラヴィは意外な形で登場します。本編と平行して展開する物語なので投稿日が確定していません。

是非良いねとブックマーク登録を宜しくお願いします

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