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誕生したらナビでした。  作者: ぷちどら
章の壱
4/10

勇者は歩かず敵に当たる 1

 深緑の村 スタト・オ・ワリ。(くだん)の森の東端に位置し、人口は100人ほど。そのほとんどがいつでもモンスターの襲撃に対処できるように常日頃武装して過ごしている。砦柵(さいさく)や民家の壁もやたら堅牢な造りで、この地の危険度を改めて思い知らされる。


「トシ子さんや、トシ子さん」


〈何故か拒絶反応が出るのでその呼び方はやめてください〉


「せっかく()ったアダ名考えてあげたのにかわいくないなぁ」


 ミツキは木の枝を拾って足元の地面に「104」、続いて「10」の上に「ト」、「4」の上に「シ」と書いて見せる。


〈で、ご用件は?〉


 私は早々に話を流すことにした。


「あたし、モテてなくない?勇者の威光とかってのはどうした!」


〈”誉れ”です。現在の数値は…0、ですね〉


「はい??」


〈カミペディアには「勇者として活躍するごとに効力が上昇する」とありますが〉


「…クソぅ…騙された…!」


〈自分の確認不足を責任転嫁してはいけません〉


「ハゲ部長みたいな説教すんな!分かったよ。活躍してやんよ。こんにゃろうめぇ…!!」


 動機は不純でもやる気にはなったようだ。なんとも都合が良いアビリティである。


 ちなみに「ハゲ部長」の語意が少し気になったものの、地球のインターネットは怖いのでスルーした。


〈ときにミツキよ、今これは何をしているのですか?〉


「んー?人間観察?」


 休みをよこせというミツキの要望を渋々飲んだ本日転生4日目。彼女は広場のベンチに腰かけたまま3時間も過ごしていた。


〈この世界の生活を学ぶ為ですか?〉


 感知できる範囲にいる村人達のレベルが平均74なのは伏せておこう。


「暇なんだよ!スマホもテレビもない!せめて飲んだくれたくてもこの若さじゃお酒買わせてもらえない!どうにかなりそうだわ!!」


〈ならばレベリングに…〉


「嫌でーす」


 私もどうにかなりそうなのですが。


「魔王軍だー!!やったれ、てめぇらああ!!」


「ぬおぉぉ!!」


 突然辺りが喧騒に包まれ、村人が集まりはじめる。凄い勢いで。


「魔王軍!?」


「おい嬢ちゃん!旅の(もん)なら宿で隠れとけ!」


「りょ、了解っす」


〈ミツキよ。“勇者”ミツキよ〉


「へいへい。おっちゃん、あたしも戦うよ」

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