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スーツアクターバトル  作者: ハムモツ
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始まりが突然すぎる③

[さあ春のバトルスタジアム!開始です!今回は佐賀県を代表する王者、爽と東の鳥栖を拠点に活動するTS。今日はどんなバトルを繰り広げてくれるんでしょうか!?]


 MCの実況が会場に響く。

普段何もなく静かな田舎のスーパーが今はライブ会場だ。


わああ〜〜〜!!!


 客席の歓声がより一層大きくなった。僕達が出てきたからだ。

 僕達5人は最新のデジタル化により最適なサイズに縮小され、 小さなステージは専用の広大なバトルフィールドに変わる。


「なんだこれ!?すごい!!!」


 僕は辺りをキョロキョロと見渡しながら感嘆の声を漏らした。


「さあ、本番だ。気を引き締めろ」

「本番、、、」

 本田さんの言葉に戸惑う僕。



[バトル開始!]


 MCの切っ掛けで一斉に僕以外の4人が動き出す。


「え?え?」


 みんなの動きを見ながら戸惑う僕。


「こっちよ!」


 川崎さんが叫ぶ。僕は言われるがまま急いで川崎さんの後を追った。

川崎さん、土端さん、そして僕が辿り着いた場所は、自陣の拠点。


「作戦通りここで私達は拠点防衛に徹するから。新井君はこの近くでバトルを見てて」

「わ、わかりました!」


 すぐさま防衛拠点の後ろに移動する。

拠点の前で前方を警戒する川崎さんと土端さん。


 バトルって事は敵が来るのか???


 見えない敵に緊張感が増す。

 現れたら、やっぱり戦うのか?女性が?


「武田さんが敵の拠点を落とすまで時間はかからないはずだから、それまで持ち堪えるのよ」

「分かってます!」


 川崎さんの言葉に頷く土端さん。

 先程まで何もなかった簡素なステージが広大なバトルフィールドに変わった。この空間に僕達5人と敵の5人がぶつかり合う…

 僕の前に敵が現れた時、戦わなければいけない。でもどうやって?殴って蹴って応戦するのか?


「来た!」


 川崎さんが叫ぶ!斜め前方から現れる一つの影。こちらに突っ込んできた!


「意外と早い!?」


 突っ込んできた敵の一撃を止める土端さん。

 青いカマキリのような仮面を包んだ敵が次の一撃を土端さんに向けようとする。


「一人なら大丈夫!落ち着いて守るよ!」


 敵の横腹を突く川崎さん。ギリギリで避ける敵。


「俺もいる事を忘れるな」


 川崎さんの後ろに現れる人影。その攻撃を食らい地面に倒れてしまった。


「川崎さん!」


 土端さんが駆け寄る。その前に立つ2人の敵。

 先ほどの青のカマキリ男に、川崎さんを攻撃した赤色のスーツを身につけた男。見た目から察するにコウモリっぽい。


「2対2。土端、行ける?」

「なんとか数分持ち堪える程度には」


 2人の会話を聞いて笑う敵方。


「何がおかしいの!」


 ムッとする土端さん。


「もう1人いたらどうする?」


 言ってサイドから登場する新手。見た目、長いサーベルのようなツノをした紫の牛の顔に身を包んだ男が腕を組み仁王立ちしていた。


「3人は流石にピンチね」

「武田に攻め落とされる前に戦力一挙集中で短期決戦てやつよ。ん?よく見たらそっちも3人じゃねえか」


 僕を見てそう答える紫の牛男。


「そうね、数は3人だけど」

「まあいい。一気に拠点を落とさせてもらう」


 動き出す敵3人。


「土端!拠点を何がなんでも守るよ!」

「はい!」


 応戦する川崎さんと土端さん。しかし不利な状況は見るからに明らかである。それでも拠点を近づけさせまいと奮戦する。


「ジリ貧…」


 敵の連打に押される土端さん。


 僕も戦わなきゃ…


 拠点の前に出る。その目の前で戦う川崎さんと土端さん。


「く!」


 対峙する青カマキリ男に対し土端さんがバトブレをかざす!そこから水流の矢が一本生まれ敵目掛けて発射される。


「たった一本ごときで!」


 それを弾く青カマキリ男。しかし続けざまに水流の矢の第二射が放たれる!これは予想出来なかったのか避けきれない。


「グア!」


 食らいながらも突っ込んだ勢いで土端さんに蹴りをぶちかまし、吹き飛ぶ土端さん。

 一方の川崎さんも距離を取りつつ2人を近づけないように時間を稼ぐ。


「時間稼ぎしてんじゃねえ!」


 赤コウモリ男がバトブレをかざす!そこから放たれる火の玉。これを難なく避ける。


「拠点ごと破壊しろ!」


 紫の牛男の言葉に、赤コウモリ男が、もう一度火の玉を作り、拠点を攻撃する。


「!」


 火の玉が川崎さんに直撃し包みこむ。そして紫の牛男が拠点の前に降り立つ。つまり、僕の前に。


「さあ、あとはお前だけ」


 言ってバトブレをかざす。


「うわあ!!!」


 無我夢中で突進する僕。が、ヒョイっと避けられる。


「これで終わりだ」


 紫の牛男の前に現れる水流の矢。拠点の核へと突き進む。あの核が破壊されれば敗北ということか!しかし、水流の矢は寸前で核の前に出現した防壁に阻まれた。


「サポートか。だが」


 防壁は水流の矢と相殺される。再び放とうとする紫の牛男。その間、僕はもう一度後ろからタックルを決めた。

 放たれた水流の矢がギリギリのところで拠点の核をかすめ違う方向へと飛んでいった。


「邪魔だっての!」



 ガス!



「!?」


 次の瞬間重い衝撃がお腹に響く。

 敵の膝蹴りが僕の鳩尾に刺さる。そのまま崩れ落ちる僕。

その上から足で踏まれる。


「そのまま黙ってろ!」


 言って再び水流の矢を作り出す。



 ビーーーー!!!



 フィールド中に響く音。



[バトル終了!]


 MCの声が聞こえる。動きが止まり、立ち尽くすみんな。


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