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スーツアクターバトル  作者: ハムモツ
3/25

始まりが突然すぎる②

何か雰囲気的にやらないといけない方向に向かってる!?


 中村や北川に助け舟の目線を送ったが、2人とも納得した表情で僕がすることに賛成している雰囲気だった。


「蒼太、頑張れ」


 中村が僕の肩をポンポンと叩いた。


「…わかりました。やります」


 何か言おうかとも思ったが、全員が自分に対しての期待の眼差しを向けられていることに気づき、半ば諦めモードで首を縦に振った。


「よし!時間がない。早速準備しよう!」


 武田さんが手をパン!パン!と叩いてみんなを促す。それをきっかけに他のみんなも準備に動き出した。


 着ぐるみ着て風船配るだけだから、まあいいか。でもこのバトブレは何だろう?それにさっき言ってた戦うって?風船を配るだけなんだよね!?それだけだよね!?


 自分に言い聞かせながら、とりあえず何をすれば良いか指示を待つことにした。



「陣形は魚鱗。自営拠点防衛に川崎と土端。本田は遊撃、俺が敵を各個撃破しつつ敵拠点を落とす。サポートは高村さん。サブはみんなも知っている通りいない。文字通り1人少ない状態での戦いになるから覚悟してくれ。新井君は自営拠点付近に居てくれれば大丈夫。あとはこっちでなんとかする」


 武田さんを中心に作戦が言い渡される。テーブル上に置かれた地図と駒を見ながら各々の配置を確認していく。


「新井君は私達の近くにいれば大丈夫だから」

「あ、あの」

「どうした?」

 僕の声にみんなの視線が集まる。


 これってまるでテレビゲームでいう戦闘前の軍議みたいじゃないか…本当に風船配るだけなのか?


「いえ、何でもないです」


 言いかけて止めた。聞く勇気が無かった。


「これ」


 川崎さんがバトルブレスレットを僕にくれた。


「これをつけるんですか?」

「そう。これを付けて変身するの」

「変身?変身って…アニマルに???」

「アニマル???とりあえず、これを装着して水晶を押したら変身できるよ」


 最近のはそんなに便利に着替えることができるのか…

 みんなもそれぞれのブレスレットを手にする。


「よし!行くぞ!」

『はい!』


 武田さんの言葉にみんなが動き始めた!


「どこ行くんですか?」

「付いてきて!」

「はい」


 川崎さんに従い付いていく。

 武田さん、本田さん、川崎さん、土端さん、そして僕を合わせた5人。そこにちょっと渋めのおじさんが加わる。サポート役の高村さんという人だ。

 高村さんは僕を見て、へ〜っ。といった顔をした。

「君が高田の代わりに入る新井君?よろしく!」


 高田?あのケガした人の事かな?


「はい、よろしくお願いします」


 僕との挨拶もそこそこに武田さんへと視線を変える。


「とりあえずサポートは任せて」

「はい」


 武田さんがバトルブレスレットの水晶を押す。

 次の瞬間バトルブレスレットが激しく輝きだし、武田さんを包み込んだ。現れたのは全身を黄色の衣装に纏った姿だった。


「うわ!?」


 思わず驚きの声をあげた。

 それを見た川崎さんがクスクスと笑う。


「そんなに驚かなくてもいいじゃない」

「ああ、あの動物の着ぐるみ被って風船配るんじゃないんですか!?」

「何それ?」


 キョトンとした顔に僕もキョトンとした。


 もしかして僕はとんでもない所に来たんじゃないんだろうか…


「さあ、変身して」


 言って川崎さんもバトルブレスレットの水晶を押し、光に包まれた。現れたのは武田さんと同じく特別な衣装を纏った姿だった。但し、武田さんとは身に纏っている物が違う。いや、本田さんも土端さんも、みんなそれぞれ身に纏っている姿は異なっていた。

本田さんは馬の顔に茶色と緑色を組み合わせた姿に纏っており、川崎さんは桃色と黄色の可愛らしい亀みたいな姿。土井さんは黄色とオレンジ色の兎の姿。そして武田さんは白に黄金の輝きが入ったライオンの姿をしていた。武田さんだけ他の人とは明らかに別格だった。


「かっこいい…」


 思わずそんな声を漏らしていた。


「武田さんのスーツ、カッコイイでしょ?」


 亀の顔面をした川崎さんが耳打ちしてくる。川崎さんもそうだが全員顔は各々のマスクで覆われていて表情は窺い知る事が出来なかった。


「さ、あなたも変身して」

「は、はい」


 川崎さんに促されて腕に付けたバトルブレスレットの水晶を恐る恐る押した。

 水晶から光が溢れてくる。


「うわ!うわ〜!」


 その光が全身を包み込んでいく。他の4人が光に包まれていくを見ていたとはいえ、いざ自分が光に包まれていくのは未体験で恐い。

 その光が消えた時、僕の体は不思議なスーツを身に纏っていた。


「本当に変身できた」


 みんなが驚きの声をあげた。


「見た目は高田と同じオグロプレーリードッグか。普通ならそのバトルブレスレットに登録した者だけしか身につけることが出来ないはず…。どうしてなのかは不明だが、今は好都合だ」


 武田さんが僕の肩に手をポンと置いた。


「俺達はこのスーツで相手と5VS5のバトルを行う。制限時間は30分。勝利条件は相手と戦い、有効打撃で相手を戦闘不能し、ポイントを稼ぐか、相手の拠点を落とすかだ。敗北条件は勝利条件の逆だ」

「バトル…」

「大丈夫だ。俺達に任せろ。みんな、戦闘開始だ!」


 やっぱりただの風船配りじゃなかった。



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