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スーツアクターバトル  作者: ハムモツ
20/25

勝ちと負け⑤

 暑い夏が終わりを迎え秋の夜風が吹き始めた頃、再び現場連絡が来た。

 あれから二、三回くらい夏の現場を体験した。スーツアクターとしてのレベルが上がっているのか全然分からなかったけど、ちょっとずつ戦い方がわかってきたような気がした。

 次の現場はどんどんどんの森という所で行われるイベントでのバトル大会だった。

 会社に着き二階で挨拶を済ませた後、いつものように一階に降りた。

 一階には緑色の髪をした女性が立っていた。有沢だ。

 彼女は壁に貼り出されていた紙に目を通していた。


「お疲れ様です」


 僕の声に気づき振り向く有沢。


「お疲れ様です」


 と返し、再び紙に目を通した。


「それは?」

「ランク表だって」


 僕の質問に対し、視線を紙に残したまま答える。

 ランク表。1のブロンズクラスから10のプラチナまであり、会社に所属しているメンバーが今何ランクが表に出ている。これを決めているのは東京本社らしく、選考基準としてバトルブレスレットと現場での成績ということ。ちなみにバトルブレスレット四ヶ月に一度東京に送ってメンテナンスと定期更新が行われる。

 僕は女性の隣に立ち、ランク表を眺めた。

  ランク1B  新井、北川、中村、有沢  

 ランク1S  岸江、土端、三上、川崎、本田、高田、

 ランク1G  高村、

 ランク2B  井口、有崎、梅澤

 ランク2S

 ランク2G

 ランク3B

 ランク3S  杉尾、

 ランク3G  岡本、八木野

 ランク4B

 ランク4S  武田、金井、

 ランク4G

 ランク5B

 ランク5S

 ランク5G

 ランク6B

 ランク6S

 ランク6G

 ランク7B

 ランク7S

 ランク7G

 ランク8B

 ランク8S

 ランク8G

 ランク9B

 ランク9S

 ランク9G

 ランク10P


 僕は一番下のランク1Bだ。そりゃそうだ。

 この会社で一番ランク高いのは武田さんと金井さんだった。

 金井さんていえば、最初ここ来た時事務所で全裸だった人だよね?あの人武田さんと同じくらい凄かったんだ、、、人は見かけによらずといった感じかな?


「武田さんは五年やってるって言ってたけど、あの実力でまだランク表の中間なんだね」

「言われてみれば、、、」


 ランクは10Pが最高なんだけど、この会社で一番上の武田さんでもまだ中間。

 全国にはもっと凄い人が存在してるんだろうか?


「お疲れさ〜ん!」


 入り口から元気な声が響き渡る。振り返ると短髪にリュックをぶら下げたタンクトップの男性が立っていた。


「お疲れさまです!」

「新人の子?明日のバトル一緒に頑張ろうな〜!」

「はい!」


 やたら元気良く挨拶した後、二階へと上がっていった。


 今回のメンバーは金井さん、八木野さん、高村さん、僕、有沢、それに新しく入った久保田裕子っていう女性。久保田って子は有沢の友達で同級生、つまり僕とも同じ年齢だ。

 さっき一階で元気よく挨拶してきた人が八木野さん。高村さんは夏の現場で一緒だった人だ。

 明日の準備を済ませ、目の前にある公園に移動し、軽い練習を行う。

 そこで金井さんから(今は全裸じゃなくちゃんとジャージを着ている)僕と有沢の強化を行うことになった。

 まずはスーツを装着する。夏は暑さも影響して、これだけで体力がどんどんと削られていった。今回は少しでも慣れるために三時間ずっとスーツを装着したままで練習をした。


「はい、その体勢のまま十五分ね〜」

「はひ〜」


 僕と有沢は腕をプルプルとさせながらジッと同じ体勢をとり続けた。

 全体が汗びっしょりとなっている。


「二人共、こういった地道な努力が後々糧となるんだよ」


 僕らをニコニコしながら見続ける八木野さん。確かランクは3Gだったな。岡本さんと同じランクってことは、めちゃできる人なんだろうな。


「はい終わり〜」


 金井さんの言葉と同時にだらんと崩れる僕と有沢。


「お疲れ〜これはバトル時では基本中の基本だから、毎日練習して体に叩き込ませなよ」

「はい、、、」


 練習が終わり、変身を解いた僕は大量に出ていた汗をタオルで拭った。

 とてもキツかったけど、バトルで活躍するにはこういう基本的な体力作りは大事なんだろうな。

  翌朝、無事寝坊せずに会社にたどり着いた。まあ現場が近場だったから集合も八時と遅めだったんで寝坊は回避できた。本当学校が通信制だから平日は深夜までラジオを聞く習慣がついてしまい、朝起きるのが辛くなってしまっている。

 全員集合し、目的地まで十五分程度で到着した。荷物を控え室に運び、ステージに向かう。ステージは広くないため今回もデジタル空間式特設ステージだ。

 向こうには対戦相手が居た。


「あ!」


 僕と有沢は同時に声を上げた。

 夏に有田の会場で対戦したドルフィンチームだ。前回は敗北してしまった。

 向こうもこちらに気づき歩いてきた。


「今日はよろしくお願いします」


 やや年齢高めそうな人が金井さんと握手をする。


「よろしくお願いします」


 笑顔で返す金井さん。



「作戦を伝える」


 今回のアクションチーフは金井さん。爽社の社員でアクションメンバー束ねている。各現場へのキャスティング振り分けも金井さんだ。

 八木野さんは元々爽の社員だったが、今は辞めて、バイトとして現場に入っている。金井さんも八木野さんも今回初めて一緒の班になるので、どんな実力か分からない。


「対戦相手は唐津のドルフィンチーム。今回向こうはチームリーダーの牧田を含め、ほぼベストメンバーだ。フォメーションは1番の蜂矢(攻撃力ボーナス)で行く。全員気を引き締めて当たれ」

「はい!」


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