勝ちと負け②
ゴールデンウィーク最終日の寝坊が怖くて現場の前日はあまり寝付けなくなってしまったが、それでも朝は来る。準備を済ませ、自転車に乗って会社に向かった。途中、会社までラスト二百メートルの所で有沢と出会した。軽く「おはよう」と交わしただけで無言のまま駐車場に到着した。
五分後には全員が揃った。中村は北川と一緒に来たみたいで、僕とは変に顔を合わそうとしなかった。当然レンタの中も気まずい感じが残った。
有田町。有田焼が全国的に有名な町。今回の現場は去年世界焱博があった場所。行ったことはないけど、もちろんニュースになって約三ヶ月ほどの開催期間中に述べ二五五万人も来場したらしい。
今回はその会場の一部でバトル会場にもなった建物で開催されるとのこと。
現場に到着した僕達は荷物を入れていく。
焱博記念堂と呼ばれた建物の中はとても大きかった。内部は全長五〇メートルほどかな。天井もかなり高く、中世っぽい感じも組み込まれていて、すごく魅力的な建物だった。
「ここでバトルをやるんですか?」
「そうよ。去年は外だったけど解体されてしまったから」
近くにいた川崎さんが僕と同じく建物を見つめる。
「去年ここで大きなバトル大会があって、新生ベストメンバーで挑んだんだけど」
「大きな大会」
「と言っても、佐賀県内だけの大会何だけど。今は無くなったんだけど、去年までは二年に一度、全国バトル大会ていうのもあってたのよ」
全国バトル大会。そんな大きな大会があってたんだ、、、
「マイナーな大会だからテレビ中継とかは無かったんだけどね。ほら、準備するよ」
「あ、えと、はい」
思わず「うん」と言いそうになるのを飲み込んだ。あの時こっぴどく怒られてから敬語や言葉遣いを意識するようになった。
三〇分くらいで準備を終わらせ、準備運動をしながら作戦会議をすることになった。
今日は屋台とかも沢山あって、お客さんの数も徐々に増えていく。
建物は広いけど、バトルステージとしては狭い。なので今までと同様にデジタル式の特設ステージを投入して行う。
「今回のチームは唐津のドルフィンチームだ。こちらは新人のメンバーばかりだから苦戦すると思うけど、向こうも要注意人物は居ない。勝てないチームではないはずだから自信もっていくぞ。作戦は7番の衡軛、迎撃スキル、武器ダメージ微アップボーナスで行く。こちらは新人も多く戦闘経験も少ない。だからお互い固まって迎撃していくことにする。隙を見て俺か川崎で敵の核を壊しに向かう。サブは北川。大事な場面で投入するからよろしく」
高村さんの作戦に頷くみんな。確かにメンバーとしては2年目の高村さんと川崎さん。ゴールデンウィークに入ったばかりの僕と中村と北川。そして二回目の有沢。確かに戦力としては随分低い。高村さんが言うように敵の戦力も大したことないとしても、個人個人の重圧は重いんだろうなと思った。
「緊張してる?」
川崎さんの問いに「はい」と頷く。
「私も。いつもより緊張してる。今日は頑張ろうね!」
言って変身する。みんなも各々で変身していく。その表情は強張っていた。僕もそれに続いた。




