成り行き
成り行きだ。
俺は教会の窓ガラスを割りながらそう思った。
窓ガラスにプロテクトが入っていたので難しかったが、それでもごり押しで中に入ることが出来た。
出来るだけ静かに侵入できたが、それでも多少の物音はした。
しかし、今はそんなことに気を取られている場合ではない。
俺は急いで懺悔室へと向かっていった。
懺悔室の奥の隠し扉は開き、辺りには牧師の姿も主人公の姿もなかった。
バレないようにそっと奥を覗いた。
主人公が懺悔室の奥に入っていったのは自然の事だったのかもしれない。
悪に対する嗅覚で中へ中へと突き進み、目の前にあったのは見たこともない祭壇。
中心には悪魔の絵があり。両脇には腐った肉片と新鮮な肉が供えられていた。
何より部屋に満ちる饐えた臭いが鼻を突き刺した。
一生忘れられないような臭いがした。
主人公は一瞬その光景と臭気に意識が遠ざけりかけた時、後ろから牧師の凶刃が襲い掛かるはずだった。
「間に合ったか。」
俺は牧師の振り上げたメイスを受け止めながらいった。
「貴様!!」
「君は。」
主人公と牧師が同時に俺に向かって言ってきた。
「成り行きで。」
「成り行きなら話してくれませんか。」
「いや、いまこいつを叩きのめそうとしているのが見えたので。」
「牧師様!!どういう事なんですかこれは。」
「いや、これはだな……」
牧師は答えに窮した。八方ふさがりの今何を言っても無駄と理解したのか。二人ともな肝にしようと呪文の詠唱を始めた。
「させるか」
「ごほっ」
思いっ切り、牧師の腹に俺の拳がめり込んだ。
敢え無く沈黙
第一部完