魔法
「燃やし尽くせ原初の焰……」
「え!」
詠唱の途中で急に聞こえてきた声で思わず詠唱を止めた。
「何かあった?」
「いや、初級レベルのものだから詠唱しないものかと思ってたので」
自分で作った設定なのにすっかり抜けていた。
詠唱など戦闘時の隙以外の何物でもないと嫌われていた。
終盤戦では異常なほど詠唱の時間が掛かるものか肉弾戦以外描かなかったからだろう。
作者として強い魔法を出したい事と簡単に勝負をつかせれないという矛盾をなんとかする為には仕方ない事だったがまさかこんな形で弊害が現れるとは思わなかった。
「もし詠唱しないとできないならそれでも構わないですよ」
そこまで言われて流石にこのまま普通に詠唱をするわけにはいかない、急遽予定を変えて自分が知る限り最強の無詠唱魔法をする事にした。手を空にかざし術名を呟く。
「終焉」
その瞬間手のひらから龍神をかたどったドス黒い炎が獲物を求めて天に昇っていった。
大きく広げた口で太陽を噛み砕くとその炎は消えた。
太陽は12個、月は21個あるので問題ないだろう。
それにたしかあの太陽には生命体はいなかったはずだ。
「え!え!何が起きてるの?」
取り乱しているその声を聞いて俺は優越に浸りながら失神した。