夜の光
ユニークアクセスが200人を突破いたしました。
それもこれも皆様のおかげでございます。
作者は心よりの感謝を申し上げます。
これからも末長いご愛読をお待ちしております。
更新は遅いですけどね。
ほんっとすみません!
キミの涙が
悲しみが沁みた。
《夜の光》
僕は君を失った
君が涙を流しながら笑った
その次の日
君は遠くへ行ってしまった
覚悟はできていたつもりだった
でもやっぱり
君の涙が沁みた
悲しみが沁みた
ちゃんと覚悟できていたはずなのに
僕の心は小さな傷ができていた
やっぱり
哀しかった
去り際にもらった
栞を眺める
薄い空色の紙をラミネート加工した
薄い栞だった
中には押し花が入っていた
蒼い花がふたつ
ひとつは道のそばでよく見る小さな碧い花
もうひとつは見慣れない紫がかった淡い藍の花
僕は図鑑を開いた
彼女がくれた最後の贈り物のことを
少しでも知りたかったから。
碧い花は『オオイヌノフグリ』別名『星の瞳』
花言葉は『信頼、女性の誠実』
淡い藍の花は『瑠璃茉莉』
花言葉は『密かな情熱』
ほんのりと胸が熱くなった
くるりと栞を返すと
そこにもまた小さな花の押し花が貼ってあった
僕もこれは知っていた
最初気づいたときは
目頭が熱くなって
ぽろりと雫が落ちた
和名『勿忘草』
本来の名前は『Forget-Me-Not』
その名前はそのまま花言葉を表している
その花言葉は
『私を忘れないで』
絶対忘れない
君のこと。
ずっと
いつまでも。
星の光に照らされて
僕の目から落ちた涙はキラリと光って消えた。