4. 責任、取らないと......
よろしくお願いします
日差しが強い太陽は一日の仕事を終え、代わりに半分雲の中に身を隠した月が柔らかい光を照らしてる。
だが人々はそんな事に気づかず、地面の人工的な光はお月様自身より輝いている。
そんな当たり前の中、とある小さな駅からものすごく遠い安くてボロいアパートの一室には同い年の男女2人がひとりの少女を囲み、そしてその真ん中に居る少女は怒りのあまりに枕を何度も叩いてる。
「で、」
「「で、」ってみなみ、私の話聞いてる?
私はあの欲の塊のせいで幸せな未来を失ったのよ!」
「はあ、そんなのわかってる。ってかあんたもう19歳でしょ、いつまで実家に住むつもり?」
ああ、そういえば、
「みなみの言う通りだよ。
なるみ、前から言いたかったんだけどそんなにおじちゃんにいじめられるのが嫌なら自立していじめられないようにすればいいじゃん。」
「うう、」
な、何も言い返せない。
「はあ、わかった、先になるみのおじさんとおじいさんと話し合ってみて。
大丈夫、もし行く手がないなら僕の所に来てもいいぞ。」
「ああ、これ私が言おうとしたやつ!!
ってかあんた実家暮らしでしょ、親御さんたちは何も言わないの??」
「いや、実家っていうよりは......」
「という訳でなるみ、もし本当に帰りたくないならこの数日ぐらいここで泊まりな。」
「う、ううううううう、みなみ、明彦......」
ああ、私はなんて幸せものなんだ。
いつからだろう、私はいつも明彦とみなみのそばにいる。
まあ正直に言おう、私は最初彼らの事をおじちゃんと同じキラキラリア充と勘違いしてた。
だってみなみはともかく明彦はフランス人のお父さんから受けずいた金髪と瑠璃色の目でどう見ても二次元キャラが三次元に飛び出したみたいじゃん。
だけど今はそんなことはないよ、私は二人にものすごくオープンだよ!
「だが今日はちゃんと親御さんに連絡するんだぞ、ったくいきなりいなくなって心配するだろうが。」
「うう、」
まあ、連絡しない方がもっと怒られそう。
でもやっぱ私は彼らに助けてもらうばっかだ。
「で、」
「ん?」
「ったく、あんたのおじちゃんの事よ!
ねえ、なるみは自分のおじちゃんのことどう思う?
「お嫁さん」ってことはやっぱ押される側だよね!ね!!」
「ああ、ええっと、」
そうだった、みなみは最近貴腐人にジョブチェンジしてたんだ......
うう、いくらみなみでも輪に囲んで自分のおじちゃんが押す側か押される側か熱く語りたくない、
ってかその前にもう押される側だと断定されてるし。
「おい止めとけ、なるみは最初っからこの事で戸惑ってるのに、ってか人の親戚で萌えるんじゃねえ。」
「ふう、そっちこそ分かってないわよ。」
「は、何がだよ」
「はあ、だからあんたみたいなイケメン野郎は......」
え、これって明彦の悪口を言ってるつもり?
ってかこれとイケメン関係なくない?
「だ・か・ら、そのおじさんがどうしてなるみをいじめるかわかる?」
「い、いじめって......」
なんか誤解されてる?
でも知りたい、だって10年前のあの事件が起こる前は仲が良かったのに......
「そうだ、どうしてだ?」
「まったく10年前と言ったらあれでしょ、初恋がもう訪れてる年頃でしょう。」
「あ、」
確かに私はその頃クラスの男の子に恋をしたっけ、
まあ、今では顔も名前も覚えてないけど。
「で、その頃なるみは同い年のおじさんが誰かに恋してるか気がついた?」
「ううん、全然、おじちゃんは小さい頃から整った顔をしてるからクラスの女子に毎日囲まれるのは知ってるけど......」
あれ、もしそうなら、
いや、嘘、待って、
「ふ、ふふふっふふふ、そうなのよ、もしそばに居るなるみさえ知らなければ可能性はただひとつ、
その時あんたのおじさんはもう自分は男の子が好きだって気づいてるからよ!!!!!」
そ、そんな前から......おじちゃんは......
私、全然気づかなかった......
「そう、なるみのおじさんはきっと自分の趣味に戸惑ったのでしょう、深く、深く考え込んだんでしょう。
でももしいつかこのことがバレたら自分の周りが傷つく、
そう、まっさきに傷つくのは自分の隣にいる大好きな姪っ子、だから彼は心を鬼にして自分の大好きな姪っ子をイジメつくすことを決めたに違いない!」
う、嘘、
私は知っている、そんな人には言えない秘密があるって気持ち。
それは精神の奥の何かを強制的に封鎖し、自分の安全地帯から出るとまるで何も見えない透明の檻の中で誰かから監視されてるようだ。
「うう、」
どうして早く気づいてあげられなかったのだろう、
私は今みなみと明彦がいるからまだまだ踏ん張れる、でもおじちゃんはその時話せる相手いたのかな?
もし、その時私がおじちゃんお異変に気づいてたら、何とかしてあげたら、おじちゃんは、おじちゃんは......
「こらなるみ、みなみが言ってるのはあくまでひとつの可能性だ、まだ事実だと確認したわけじゃない。
ってか自分の息子が立ち上がるのもまだっていう年頃にどうやって自分の趣向を確かめるんだ。
大丈夫、あのおじさんはただ自分の姪っ子が可愛くてちょっと遊んでるだけだ、気にするな。」
「いや、でも、」
ハーレムか逆ハーレムか知らないけど今のおじちゃんは男が好き、しかも複数の男を持っている、それだけどもう「好きだな人がたまたま男なの(ハート)」原理はもう通用しない。
それじゃあみなみの言う通りでは......
「いいかなるみ、今夜はみなみの家でゆっくり休み、頭を冷やせ。
こらみなみ、お前も余計な事話すな。」
「はあ、そうね、ちょっとやりすぎたかも。
なるみごめんね、でもあんたから聞く“連次おじちゃんは”あんたのことを嫌いじゃないと思うの、これだけは肝に銘じて。」
「う、うん、」
知ってるよ、だってあの頃のおじちゃんは今のみなみと明彦みたいに私のことを思ってたもの、
「ねえ、みなみ、明彦、私......」
でも今更他人みたいになった理由を知ってもあの頃みたいに戻れるかな?
いや、戻れないから私は責任を取らなくてないけない。
そう、少しずつでいいからおじちゃんに心を開いて、ちょっとでもいいから私を自分の安全地帯だと思ってくれたら嬉しいな......
一度沈んだ太陽は自分の職場へ向かい、昨夜二人と数時間話し合った私はおじちゃんの家へ向かった。
「ふあああああああ、」
眠い、
ってかどうしてみなみの家はおじちゃん家からこんなに遠いの?
もうかれこれ3時間も電車乗ったよね。
うう、ゲレンドラ様......
「は!」
ダメダメダメ、
ここ最近はアニメショップやアニメイベントなど行かないってみなみと約束したじゃん、隠れオタクだとぜったいにバレないように少しずつおじちゃんと仲良くするって決めたじゃん!!
でも、やっぱり......
「ねえ昨日の生放送見た?」
隣に座ってる制服を着る女子高生達がなんか話してるようだ。
「え、ああグリタリングレトラスが出たあれ?」
そう言えば昨日ゲレンドラ様の声を吹き込む声優さんのライブだったような、
いやいやいやいや、
今の私には関係ない。
「そうそう、でも昨日の連なんかおかしいと思わない?」
連?
いや、まさか、
「ああ、そう言えば顔一面が少し腫れてたような、」
ああ、おじちゃんの顔もう大丈夫かな?
まあ、思いっきり叩いたから今も腫れてるかもしれないが。
「そう、それって喧嘩じゃない、なんか昨日ライブの時だけじゃなくトークの時もメンバー同士がギスギスしてるみたいじゃん。」
「えーあの四人仲悪かったの?」
4人?
「うーわ、やっぱディアビロの方が仲良さそうでいいわ。」
「それな。」
うーん、なにかの呪文?
やばい、今頃のリア充どもますますついていけなくなってるような......
“次は~00駅、00駅です、お出口は~左側です。”
あ、次の駅で降りなきゃ、
“パッ”
「え?」
感じられるのは手首が掴まれてるヒリヒリとした痛みと近くに聞こえる急な呼吸、
「ようやく見つけた、黒川なるみ」
声の方向へ向くとそこには小悪魔系な化粧をした小柄な女性。
それだけじゃない、そのピンク色のふりふりがついたミニスカートにそのランクが下の人を見下すようなその目、覇気......うん、リア充だな、コイツは。
って、この人誰、どうして私の名前を?
え、私なにかしたっけ??
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