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17。一応外では“普通の人”として生きているので。

よろしくお願いします

大学から一番近いデパートはまあまあ高級感があるもので、それに大学からものすごく近いこともありリア充どもにとってカジュアルな服から外国の高級ブランドまで扱ってる放課後の溜まり場になっている。

でもそれはこの大学生全員の答えではなく、私みたいな二次元ファンにとってはただ人付き合い以外に行かない無駄金を使う場所でもある。


「ねえねえなるみちゃんはどんなブランドが好き?」

「いいえ、私は......」

クラスがない日はスッピンでジャージ着ながらゴロゴロしてます。

「へえ~~じゃあ今日俺がなるみちゃんをコーディネートしてもいい?」

ええ、リア充コーディネート......

うん、まあ人付き合いにとって役立つかもしれないからいっか。

「うん、それじゃあみーくんにお願いするね。」

「うん!」

あ、みーくんの後ろに尻尾がブンブン振っている。

どうしよう、週末に眼科でも行こうかな。

「あ、そうだ、この店!この店のスカートは可愛いって評判だよ!」

「うん、行こう。」

はあ、それにしても私はどうしてついてきちゃったのかな?

たしかあの時はメアドしか交換できなくて、みーくんはそのことで少し不満気味で、どうしようかわからない私はみーくんとここに来ようと誘われて......

あれ?

これってもしかして大きなことを断ったてまた小さいことを頼まれたら罪悪感でOKしちゃうっていう典型的な詐欺の一種じゃね?


「なるみちゃんどうしたの?」

みーくんの方へ向くとそこには帽子を被りメガネを掛けているみーくんが心配そうにこっちを見てる。

「ううん、何もないよ。」

「じゃあ入ろうっか!」

ううう、頭の上に耳がパタパタと動いてる!

そうだよね、こんな子犬みたいなみーくんがおじちゃんや悪魔みたいな真似をするわけないよね。

でも明彦も連次おじちゃんのハーレムメンバーどももみーくんもそう、今時のリア充って帽子とメガネが大好きなんだね。

あ、明彦の方は見た目がリア充だけど私と同じ二次元ファンか。



結局、私はみーくんの言われるままに何着も服を試され、最終的に決まった服は大らかでありながら地味ではない白いワンピとそのワンピに似合う素材が軽くいオシャレコートだ。

うん、なんかこれ、好きかも。

ええっと、お値段は......グハッ!!

何これ、洋服ってこんなに高かったっけ!?

どうしよう、私今日そんなにお金持ってきてないしバイトの給料だって生活費ギリギリなのに......


「あ、あの......」

「ちょっと待ってて、お会計してくるから。」

「え!そんなのいいよ、だって、」

タダより高い飯はない、それに返す物が無い。

「いいんだって!今日は俺と初めて会った記念として、ね?」

「でも、」

「ふふっ、ほんと、なるみちゃんは違うんだね。」

「え?」

「それじゃあこうしよう、俺と毎週1っかいぐらいは会ってくれる?それでこの洋服はちゃらにしよう。」

「え、うん、だって私たちは友達でしょう、二人のスケジュールに問題なければ会いたいときにはいつでも会えるよ。でもやっぱ洋服はちょっと。」

「。。。。。。。。。。。。。」

え、どうしてそんな驚いた顔をするの?

嘘、まさか友達のだって思ってるのは私だけ?

えええええ、どうしよう、私みーくんのこと胸張って友達だって言ちゃったけど!やぱい超恥ずかしい、穴があったら潜りたい!!

「ああ、ええっと、みーくん、じゃなくて南さん、その、」

「プハッ!

なるみちゃん面白い!うん、じゃあ次会ったらそのお返し頂戴!」

「お返し?」

「そう、この洋服は僕からなるみちゃんへのプレゼントで次会ったらその洋服のお返しをくれるっていうのはどう?」

「え、ええ、それなら、」

私もお金持ってないしこれ以上騒いでもな......

「うん、それじゃあ指きりだね!」

「うん、嘘ついたら針千本飲ます。」

「プ、なるみちゃんてもしかして叩くより叩かれる方が好きなタイプ?」

「は!?そんな訳無いじゃん!!」

「ふふん」

何この子犬、なんかムカつく......










太陽が一日お仕事を終え、月がその代打を打つ頃、

私は引き立て役兼盛り上げ役の代打を打つため指定されたお洒落なフレンチレストランの個室へ足を運んだ。

まあ、一応みーくんからもらった洋服を着て、メークはみーくんがやりたいからやってもらったけど、でも大丈夫かな?


あ、クラスの人達だ。

「あの、」

「え、黒川さん?」

「ええ、そうですが、」

やっぱキャラじゃなくて似合わなかったか?

「嘘......黒川さんが、」

ん?なんか顔色があまりよくないぞ。

「え、どうされました?」

「いいえ、まあ、その、自分と張り切ってるみたいだね。」

ん?

「え、ああ、これ?実は今日友達に合コンのことを話したらコーディネートしてもらって。」

「へえ~」

「う、うん、そうだ、もうすぐK大学の人たちが来るから準備しよう。」

そしてクラスの女子どもは早足で化粧室に駆け込み、そこからは洗面所を争っているような声が聞こえた。


んんんん、これはもしかして、比較されている?

え、嘘、以前は比較される要素もないからって見下していたのに!

うあああ、後でみーくんに感謝しよう!



「あれ、君って今日の合コンの子?」

声の方向へ向くとそこには連次おじちゃん達と比べたらあまりパッとしないが顔がまあまあ整った感じのリア充が三人いる。

「え、ああ、はい、そうですが、K大学の人ですか?」

私は盛り上げ役、主催者じゃないけどきちんと案内しないと。

「よしゃ、やっと見つけた!あ、そうだ部屋こっち?」

「ええ、そうみたいですね、さあ、皆さんどうぞ。」

そうやってK大学の皆さんはローテーブルの向こう側にいき、今日はどんな子が来るのか?とか男の主催者らしき人に聞いている。

あの、私一応合コン相手の一員なんですけど、そんなことここで言って本当にいいんですか?って聞きたいけど、まあ、な、ははっ。

でもそうだね、以前私は外食するならみなみや明彦と小汚い居酒屋かファミレスにしか行かなかったんだけど、考えてみれば私合コン初めてじゃね?ってか私今とんでもなくリア充みたいなことしてんじゃね?

まあ、引き立て役兼盛り上げ役の代打できちゃったんだけど......


「あれ?みなさんもう来ちゃったんですか?」

「もう、黒川さん何見とれてるんですか?早く席に着きますよ。」

いや、誰が見とれてるって......?

あ、あの子に睨まれてる、この子絶対に『あんたは引き立て役兼盛り上げ役の代打できたんだから余計なまねしないでね』って言ってるんでしょう。

うんうんわかりましたよ、ってか私正直三次元の野郎に対しあまり興味ないんです。

まあ、もしイケメンが欲しかったらせいぜい明彦やみーくんみたいな面倒見がいい人?いや、連次おじちゃんみたいに家事全般できて毎日してくれるような人もいいかな。あ、もし外見的な癒しだったらおじちゃんのハーレムメンバーに所属してるあの悪魔もいいね。ああ、でもやっぱ一番はゲレンドラかな?


「はい、それで次は女子最後の子、なるみちゃんです!」

ええ!!いつ自己紹介コーナーにうつった!

それにもう私の番になってるんですけどーー!!

どうしよう、私みたいな合コン初心者に例文もなく何を言ったらいいの?!

「え、ええっと、黒川なるみと申します。」

「「「「「。。。。。。。。。」」」」」

「よろしくお願いします。」

「「「「「。。。。。。。。。」」」」」

「ええ!なるみちゃんそれだけ!?ちょっとぐらい学部とか趣味とか好きな食べ物とか教えてよ~」

「ごめんなさい、この子本当に真面目な子で!」

「うあ!すっげー!なるみちゃんってもしかして初めて合コンに来たとか?」

「え、ええ、そうです、」

「だからか!うあ、大丈夫だよ、俺達は不審者じゃないよ~~」

「まったくお前は相変わらずだな!」


ハハハハハハハハ

っとこの個室から笑い声が溢れた。

う~ん、これでいいのかな?

そうゆう気持ちで主催者の子をちらっと見たらあの子に案の定睨まれた。

すみません、今から心入れ替えてきちんと引き立て役と盛り上げ役に挑みます。


「もう女子の方全員名乗ったんだから男子もそろそろ名乗ったら!」

「そうよ、女の子だけ名乗らせてちょっとずるい~」

うあ、この二人なんなの?

さっき私と喋る時より声のトーンがちょっと上がってない?

「まあ、そんなに焦らなくても~~そうだ、さっき言ったんだけどあともう一人来るけど俺達が先に名乗るね!」

机の向こうに座る男子たちのアピールタイムが始まり、私はその内容を全て聞き流しにした。

いや、だって、未来に何の役も立たないんだもの、こういう情報。

そして自己紹介コーナーが終わり、みんなは料理をオーダーして、男子は“自分がどこどこで何々したよ、すごいだろう”アピールとか“どこどこのコンテストに行き何々賞をとったんだぞ、俺、すごいだろう”アピールが始まった。

ああ、そういえばK大学って私が通うB大学よりちょっとステータスが高い大学だったような。

確か以前ママからそこは連次おじちゃんが滑り止めとして志願した大学とか、ってK大学が滑り止めって連次おじちゃんの頭の構造が知りたい。

いや、でもうちのおじちゃんホストになったんだよね。あれ、ホストって大学行けるのかな?

いいえ、勘違いしないで、私はただ夜の仕事をしてるのに昼間の大学の授業についていけるのかちょっと心配なだけで。

そういえば私おじちゃんと一緒に住んだことがあるのには最終的にどこの大学に行ったか知らない......


「ねえ、なるみちゃんだっけ?」

「え、ええそうですが。」

コイツ、名前なんだっけ?

「黒川さん知ってる?京介さんは国際的に影響がある英語の討論コンテストの地区予選で優勝したのですよ!」

「まあ、ただの腕慣らしだから。」

はあ、ただの地区予選ぐらいで何いい気になってんの?

なんならうちのおじちゃんが棚の奥に永眠させているトロフィーの数々を見せようか?

全日本やアジアレベルのトロフィーだってゴミみたいにあるんだから。

いや、でもここは、本音を隠して、

「素敵!」

え?ってクラスの子が間抜けな顔をしてる。

まあ、私も一応二次元ファンだっていうことを隠してるから合コンの暗黙なルールぐらい知っているよ。

ってかこれって合コンの定番ルール“さ・し・す・せ・そ”でしょう、そんなに驚くかな?


「まあまあそんな大したことじゃないよ。」

そうだね、全然大したことじゃない。

けど、

「ああ、でも俺去年は関東地区の準決勝を取ったことがあるな。」

「さすがです!」

はあ、みなみから聴いてるけどやっぱ合コンの男子はうざいな。

でも大抵の男が単純だから彼らを持ち上げて

さ・さすが

シ・知らなかった

す・すてき

せ・センスいいですね

そ・そうなんだ

をシチュエーションごとに合わせて言い返せばいいんだよね。

うん、これがゲームの一環だと思えば簡単さ!


「あれ?私ちょっと酔っちゃった~~」

ん?

開始してまだ20分も経ってないぞ、それに前回渋々一緒に飲みに行ったときあんた酒ちょー強かったんじゃないの?2時間も飲んでいても平気だったよね!

「あ、動物さんだ!あ~~ん」

「これは洋服の柄で動物さんじゃないよ!全くてんねんさんなんだから。」

うううううううううううううううん、

この人こんなキャラだっけ?

この人達本当に昼間私を見下した人なのかな?


「あれ?なるみちゃんどうしたの?もうちょっと飲もうよ。」

ええっと、京介さん、でしたっけ?あれ、違うな。

誰?

「いいえ、未成年なので、」

「へえ~~それじゃああのふたりとは何の関係で?」

「ええっと、選択科目でたまたま一緒になり、それで、」

「そうなんだ、あ、そうだ、俺はK大学二年の......」

うあ、頭がぼやけてきた~~

はあ、この人誰なんかどうでもいい、ってかこの状況じゃ盛り上げ役いらないじゃん、それに引き立て役って言ってもあの人たちなら自分でなんとかできそうですし、帰ってもいいですか?

「......それで俺は友達のLくんと一緒に最新型のエルムンドを買ったんだ。」

「センスいいですね!」

「そんなことないよ、ただちょっと流行を先読みしたっていうか。」

「素敵です。」

はあ、エルムンドって地球儀のことじゃん。

ってか何が流行を先読みしたんだ、それ、うちのおじちゃんも昔から持ってるんですけど......

「そうだ、なるみちゃん、」

ん、なんだ?二次元だったら絶対にモブになってる様な人よ。

「ねえ、後で二人で抜け出さない?」

ああ、これって、

「ええ、でも私ほかの二人と一緒に帰ることになっていて......」

ふざけんな、私は二次元ファンなんです、いい子なんです!

いや、リア充にもいっぱいいい子がいると思うけどさ......

でもこのことは絶対にお断りだ!

「ああ、そっか、じゃあ二人に行っておく?」

「いいです、お気持ちだけ頂きます。」

「ええ、でも、」

「大丈夫です、お気遣い有りありがとうございます。」

ったく、開始からたったの30分も経ってないぞ!

それに私はおじちゃんじゃない、だからお店が終わっても“お仕事”しないしアフターなんて行かない!

「ええ~~いいじゃん行こうよ!」

コイツまじでうざいな、

「あの、本当に......」

「俺が誘ってあげてるのに調子乗るなよ。」

え、

目の前にいる人はまるで獲物を捕らえたかのように私を見て、

彼が先程言った言葉は多分私しか聞こえないように言ってるんだろう。

「ったく俺はK大学の学生だぜ、普段ならお前らみたいなB大学の女を相手にする暇なんてねーんだよ。」

ムカっ、

確かにそれは事実だけどそんな風に言われたらなんか腹立つ!


“パッ”っと

あの男の人は私の腕を掴み、頭を耳元へ移動した。

「この俺が、K大学の生徒が、お前みたいな女へ一晩のいい夢を見せてあげようとしてるんだぜ、それなのにお前は感謝しながら俺とホテル行かず調子に乗り上がって。」

怖い怖い怖い怖い

何この人、ナルシスト?

いや、あんた顔はイマイチだし言ってくる内容もホストのおじちゃん以下だし、やめて!近づかないで!!


「おい、何してるんだ?」

「え......」

「お、お前......」

目の前にいるのはゲレンドラ様とちょっと似た栗色の髪を持つ男の人。


「おお樹!!いつ来たんだ?」

「さっき着いたところだ。」

京介さんの知り合い、あ、それじゃあさっき言ってた遅れる人。

「きゃーー!!初めまして私はB大学の、」

「あ、私はB大学文学部の......」

「ねえ押さないでよ!」

「そっちこそ!」

うあ、修羅場、いや、これは泥沼だな。


どうしよう、この状況、帰ってもいいかな?





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