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15. 話が進んでない

よろしくお願いします

カオチポテト

英語で言うとcouch potato

それは文字通りソファーの上で毎日寝てまるでポテトみたいに何もしてない人、あるいはものすごくレイジーな人を表す。

でもその言葉は時間をかけて、今では家の中にこもって趣味に没頭する人或いはオタクを表すために使われることが多くなった。


『今週の特集です。

今、新しい時代の若者だけじゃなく大人でさえかかりやすい慢性カオチポテト症。

そして##機関が今日慢性カオチポテト症に関わる会見を開き、世界人口の3割がその恐ろしい病気ににかかってる事を明らかにしました。』

今つけてる午後のニュース番組でキャスターが慢性カオチポテト症について語ってる。


慢性カオチポテト症。


それはカオチポテトを知るならすぐ連想できる、趣味に没頭するし外に出ることが大っ嫌いになった人たちを表す。


あ、ここで言っておくけど慢性カオチポテト症は確かに社会的に悪いかもしれないけど個人の精神にとても優しい症状だ。



え?どうしてそんなに詳しいかって?

だって私もその病気にかかっていたから!!

ああ、思い出す、おじちゃんの家に住む前までの私、その心は穏やかで、和やかで。笑ったり泣いたりするけど最終的にリア充が言うマンネリマンネリライフを送ってるんだよな。

だが今でも慢性カオチポテト症かかってる諸君よ、あなたはいつかこの病気をいろんな理由で強制的に克服しざるおえない日が来るでしょう。


「......でも慢性カオチポテト症を強制的に克服しざるおえなかった先輩として一言言わせて、慢性カオチポテト症だってちゃんとした人で食べ物も電気も消費して経済に役立っているんだからニュースになるまで私達を差別しなくてもいいんじゃないかな?!」





「何が“強制的に克服しざるおえなかった”だよ、今でも思いっきりかかってるじゃん。

それになるみ、あんたいつまでうちのソファーでアニメ見てるつもり?早くこの中からいいおうち探さないと本当に今年の冬コミに参加できないよ。」

「ええ~~あと10分」

「一分でも待ちません!」

「うううううう、」

「はあ、なるみあんたまだおじさんの婚約者のことで悩んでるの、いい加減おじさんとちゃんと話したら?

 今私の家に隠れてもどうしようもないじゃん」

「。。。。。。。。。。。」

そう、あの夜から2日、私は毎晩おじちゃんに「友達の家に住む」とか「論文がものすごくやばいから図書館で寝る」とか言っておじちゃんの家に住むのを回避していた。

まあ、私の荷物もあるしいつか帰らないといけないってわかってるけど、でも私はやっぱり勇気を振り絞れずみなみの家で治ったばかりの慢性カオチポテト症をもう一度起こそうとしている。


理由は多分、元カレが連次おじちゃんの婚約者になり、私は元カレ、五十嵐健人が気づいてない事をいいとしそれを隠し通そうとしたことを五十嵐健人の幼馴染であるあの悪魔に気づかれた事だ。

本当は私が連次おじちゃんに全部話したらいいのに、それのに私はずるくそれを言わなかった。

ああ、私ってほんと、


“ピンポーン”

「はーい!」

「え、今日誰か来るの?」

「あれ、なるみに言ってなかったっけ?昨日明彦になるみの様子をいったら今日来るってさ。」

「へえ~」

明彦が、あ、でも私も前回連次おじさんがした失礼なことについてちゃんとお詫びしないと......!


「......ほんと、愛されてるのね、」

「え、なんか言った?」

ボソッと言っていたから聞こえなかった。

「ううん何も、」

“ピンポーン”

「もうわかったから、ちょっと待ってて!!今開ける!!

まったく、近所迷惑だっつーの」

いや、みなみの方が近所迷惑に近いと思うけど。

それに昨日も二次元blのサウンドトラックをイヤフォンつけずにプレーしてたでしょう。

ほんと、この部屋の防音システムをそんなに信じない方がいいと思うよ、それに今日も管理人さんに睨まれたでしょう。


「あ、なるみ!」

「おお!明彦久しぶり!」

「ああ、そうだな、確かあの時以来だな。」

「うう、」

そう、明彦が言うあの時は勿論前回おじちゃんが失礼な態度を取った時だ。

「あ、ええっと、明彦、その、前回おじちゃんが、」

「わかってる、気にするな。

それにお前今部屋探してるんだって、どれだ、気に入った物件はもう見つかったか?」

「ああ、ええっと、うん......」

「みなみ、」

「不動産屋からオススメ物件の間取り図を受け取ってから以前の病気が......」

「はあ、慢性カオチポテト症か。

だがなるみもよくあのおじちゃんの家で発病しなかったな。」

「ああ、それは、その、発病しなかったんじゃなくてできなかったんだけど、」

「は?」

まあ、なんていうか、おじちゃんの家にいる間は二次元を堪能できないことを除くとい心地が良かった。

「でも、うん、なんていうんだろう、おじちゃんってホストでしょう、それなのに三食作らせて洗濯物もお掃除の大半もやってもらってそれなのに私だけが慢性カオチポテト症で寝転んでいたらなんか恥ずかしいな~って思うんだ。」

「。。。。。。。。。。。」

「。。。。。。。。。。。」

「え、なに?」

「いや、その、ねえ、

まさかなるみの口から“恥ずかしい”って言葉が聞こえるなんて......」

「ああ、ゲレンドラの為なら、自分の欲望のためなら恥ずかしいなんてどうでもいいと思ってたから......」

「な!みなみ、明彦!!」

「冗談だよ、ほら、早く物件見るぞ。」

「そうね、早くしないと明彦が帰っちゃってなるみを見張る人がいなくなっちゃうからね。」

「うう、分かったよ......」




====================

“パシャ、パシャ”

リズミカルに聞こえるカメラの音がスタジオのテンションを上げ、そして強めのライトが向こう側に立っている少年たちを照らし、元からキラキラしてる彼らは今ではもっとカッコ良く見える......


......ひとりを除いて。

その少年は少女を虜にする様な整った顔を持ってるのに、メークや衣装は明るめにしてるのに、それなのに彼のオーラは普段とは違い、もしこれが漫画ならきっと後ろには“ズーン”ていう文字が書かれてるでしょう。

でもここは漫画世界じゃないと同時に神は不公平で、一般人だったらタダの徹夜したように見える姿は彼だったらなにかの悲しみを抱えてるどっかの乙女ゲームの王子様に見える。


そんな姿にスタジオにいる女性陣は

「きゃーーー!!連君カッコイイこっち見て!!!」

「連くん、素敵!!」

「何この子、ただキャピキャピするだけの生き物だと思ってたのに、何これチョーかっこいい!!」

とカメラの音を簡単にもみ消すほどの声を上げている。


「ああ、ええっと、清原君、ちょっと笑ってくれるかな?」

流石にカメラマンさんもこの状況に気づき、そして少しイラっとしたようで少年に笑わせことを沈ませようとするが。

「ああ、はい、すみません、ご迷惑をかけました。」

「「「「「「キャーーーーー!!!!!!!」」」」」

そして浮かび上がった爽やかな笑顔に女性陣は“悲鳴”を連発し、カメラマンさんは爆発しそうな怒りを耐えようと全身プルプルさせながら必死に頑張った。


「ああ、ええっと、その、カメラマンさん一旦休憩に入ってもよろしいでしょうか?」

事の重大さに気づいたグリタリングレトラスのリーダーはカメラマンさんに提案し、その提案は案の定あっさりと許された。









強めのライトは一旦暗くなり、キラキラと輝く少年3人は少し離れたところに座っていながら憂鬱な目をしてる少年を見ている。


「なあ、どういうことだ?」

「はあ、勇太は昨日北海道から帰ってきたから知らないがかもしれないけど、ここ最近連はずっとああなんだ。」

「は??訳わかんねー!」

「ええっとね、勇太くん落ち着いて聞いて、実は最近連と一緒に住んでいる妹さんが家出しちゃったみたいで、ふふっ。」

「連に妹!?え、誰?」

「はあ、お前も知らなかったのか、あれだよ、前回連が彼の家で親戚として紹介してくれたあの女の子。確か、ええっと、」

「もう健人ったら、なるみちゃん、黒川な・る・みちゃんだよ、早く覚えないと!」

「な......通りて連はあの女を庇ってたんだ。」

「え?どういう意味??」

「はあ、実は俺が北海道にいるあいだ社長からビデオチャットを要請されてな。」

「嘘!僕たちでさえ一年に二三回しか会えないのに......!」

「それで、社長はなんて、」

「最初はただ仕事の話をしてたんだが途中で連が入ってきて。」

「そ、それで!」

「まあ、なあ、連がビデオチャットに入ってきて社長は今後俺達グリタリングレトラスの未来について話してくれて。ああ、それはそれで嬉しいぞ、だって社長はちゃんと俺たちのことを考えてくれたんだからな。

だが話してくださる途中で俺でさえ怒ってると気づく様な顔をして『今はグリタリングレトラスにとって大事な時期だからマスコミがお前たちの周りに女の気配を感じ取れてはお前たちの未来が危うい。』とか『今時ネットでは黒が白に変わり白が黒に蹴落されることが多い、だから今時のアイドルに“家族だからセーフ”とか“たまたま会っただけです”は通用しないんだよ!』とか言われてな。」

「はあ、多分社長さんは連と勇太の仲がいいから相手の事をよく知って、もし片方が嘘ついたら何らかのリアクションを取ると思ってたんだな。」

「ああ、そうだな。」

「そ、そして連は?」

「“周りに女などいませんから安心してください”ってさ。」

「え、でも、」

「ああ、俺も『あの時怖そうな親戚さんがいるじゃねーか』とか思ったんだが今思ったらそれってあの女を庇う行為だったかもしれねーな。」

「そうだな、もしあの時連がなるみさんの存在を言い出したらなるみさんは確実に事務所からの警告がくだされるでしょう。」

「それ僕も知っている!

以前ほかのグループの子が従兄弟さんのお姉さんと一緒に実家に住んでる事が判明し、事務所からの警告を貰うために半強制的に事務所に来たでしょう。」

「ああ、だがあの女が事務所に入る決定的な瞬間を得体の知れないブロガーに写真を撮られ、あのお姉さんは最終的に心理カウンセラーに通うほどの精神的ダメージを撃ったらしい。」

「。。。。。。。。。。」

「。。。。。。。。。。」

「。。。。。。。。。。」

「なあ、やっぱ連の妹も......」

「勇太くんやめて、不謹慎だよ!」

「ああ、まだそうと決まった訳ではない、もう少し様子を見ましょう。」

「だが本当にこれでいいのか?グリタリングレトラスは個性溢れる王子様キャラで、連は正統派王子キャラで売れてんだぜ。

 だが今の連を見てみろ、あいつはもう正統派王子ではなく何かを抱えてる様な重いキャラになってるぞ!どうすんだよ、芸能界でキャラチェンすることはどういうことか知ってるんだよな!」

「ああ、分かってる。

でも幸いここ最近のスケジュールは雑誌撮影と新しいアルバムを作るための仕事が多い。」

「だが数週間後に新アルバムリリース記念のイベントや握手会、それに数ヶ月後にはドームライブとかあるんでしょう、もしその時まで事が解決しんなかったらどうすんだよ!!」

「もう健人も勇太くんも喧嘩しないで!

でも勇太くん、今回は健人言う通りだよ、それにもし動いたって僕たちはどうやって事を解決するの?」

「そ、それは、その、妹さんを呼び出してだな......」

「でも勇太くんはなるみちゃんがどこにいるか知ってるの?

それになるみちゃんに会って何を言うつもり?」

「う、ううう、き、気合で何とかする。」

「あ~あ、それだから勇太くんは勇太くんなんだよ。」

「は!?なんだと!」

「二人共いい加減にしろ。」

「う、ううう、うん、」

「五十嵐さん......分かりました......」


『はい、もうすぐ撮影再開します!』

そうやって暗くなったライトはもう一度強く輝き、メンバーのふたりはそのライトの下へ戻っていく。

そして憂鬱な目をする少年は自分のグループのリーダーの前を通るがその足取りは決して軽いものではなかった。

「おい連!」

「健人......ゴメンな、今からちゃんとやる。」

「あ、ああ。」

リーダーはそれしか言わなかった、いや、それしかかける言葉を見つけられなかった。


“はあ、”

今日で何回目のため息がスタジオの中に溢れ、

数分後、メンバー全員が自分特有のアイドルスマイルをカメラにぶつけ、スタジオはまたリズミカルなカメラの音に包まれた。





P.S.この世はカオチポテトと言う英単語はありますが慢性カオチポテト症はこの世にはありません、ただのデタラメです、なので皆さん安心して自分のベットやソファーで寝転んでください。


誤字、脱字及び気になる点などありましたらお気軽に感想欄や活動報告のコメント欄に書いてくれたら嬉しいです。(待っています~~)

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