11. もし時間を巻き戻せるなら
よろしくお願いします
もし時間を巻き戻せるとしたらいつに巻き戻しますか?
私は多分あの時に戻していたでしょう......
それは死ぬほど寒い冬の季節、その頃二次元ファンだと隠し始めた私はでグループのみんなと一緒に制服を短く巻き上げいやでも早起きしてメイクをしていた。
でも私はそれでいいと自分に嘘を言い続け、気がついたら私はずっとグループの端っこでにっこり笑っていた。
「あの、これ、落ちましたよ。」
そんなある日私は2つ上の先輩から声をかけられた。
そう、その先輩は当時の私より少し背が高いという状態で、それは消してモテるほどの高さではなかった。
でも当時グループのみんなが彼氏を作り、毎日のように自慢しまくる中で私だけが端っこで笑うことに疲れたのか、私はその先輩に一目惚れした......と思う。
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「何が「一目惚れした......と思う」よ、ってかもう今更どうしてそんな話するの?」
今週待ちに待ったゲレンドラ様の特別イベントまであと1時間、私はみなみともう数時間会場の外で待ちながらわたしは昨日見た当時に関する夢をみなみに言ってみた。
「うん、まあ、そうだけど、でもあの時私も必死だったんだよ......」
「そうね、あんたの話によると本当にそうみたいね。
で、どうだった?最終的に付き合えたの?」
「まあ、付き合えたんじゃないの、多分。」
「は!?何それ!」
「いや、確かに私はあの先輩にアプローチして、告白して、OKもらえたのは覚えてる。」
「それで?」
「まあ、数週間?いや、数日間?は付き合った覚えはあるけど、
でもどうしてだろう、最終的に手を繋ぐことでさえできず終わっちゃって、そしてその時私は一滴の涙さえ流さなかった。」
「うあ、それって本当に付き合っていたの?」
「まあねえ、でも私はただグループのみんなが彼氏いるのに私だけがいないことにちょっと焦っていたかもしれない。
それに今考えてみればあの男よりゲレンドラ様の方がよっぽどいいしカッコイイ!!」
「そうね、それに今日はおじさんの事考えなくて目一杯楽しみましょう。」
「勿論!!あ、それと......」
「分かってる、後で私がいい席を見つけてなるみがスクラップとフィギュアを買いに行くのでしょう。」
「ありがとうみなみ、今夜絶対にご飯奢る!」
「まったく、それはあんたがバイトして初給料を貰ってからにして。」
「みなみ......」
そう、私こと黒川なるみはつい先日カフェ店員のバイトをやっとゲットしたのだ。
「でもちょっとおかしくない、だって高校時代にちょっとだけでもバイトしていたなるみがおじさんや実家付近のバイト先で名前を聞いただけで態度が急変して追い出されたんでしょう。
それなのになるみが市内からちょっと離れたところを探したらすぐ見つかったのだもの。」
「まあ、みなみの言うとおりちょっと変だけど、でもそこは大学からちょっと遠いけど住宅街がいっぱいあって、それにそこの不動産に聞いたら付近に商店街があって家賃もかなり安いほうなんだよ!」
「それで、いつ引っ越すの?」
「え?」
「引越よ、なるみは早く一人暮らししたいんでしょう。
それにあと数ヶ月で冬コミだよ、今年は行かなくてもいいの?」
そ、そうだった、確かに私は私の趣味を思う存分楽しむ為にバイトを探していたんだった!!
ああ、でも、
「でももう少しお金がたまってから引っ越すわ、それに引っ越すと言ってもまだいい物件が見つかっていないからそこもなんとかしなくては。」
「なるみ......」
「ん、何?」
「いいえ、全然、それにそうだね、カッコつけて一人暮らして最終的にお金がないからおじさんの家か実家に帰ってしまったらマジで笑われるからね。」
「うう、」
「大丈夫、いざとなったらこっちに来なさい。」
「み、みなみ......」
『本日はゲレンドラとクドベダのスペシャルファンミーティングお昼の部へお越しになられて誠にありがとうございます......』
「あ、なるみしっかりして、もうすぐ戦場よ!」
「うんわかってる、気合を入れて行くよ!!!」
数分後、私はいつも通りお目当てなところへ一直線で走り、そして同じゲレンドラ様を愛す戦友兼ライバル達と自分の愛の大きさを試す様な熱いバトルが繰り広げられた......
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まるで数時間前の熱い戦いが嘘みたいなように私の口元は満足な笑顔を隠しきれず歩いてる。
「ねえみなみ、次どこに行く?」
まだ日が高いしもうちょっとぐらい大丈夫だよね。
「本当に大丈夫なの?さっきからあんたのスマホ光ってるけど。」
ん?
確かにイベント会場に入るときマナーモードにしたけど......
「げ!」
連次おじちゃんからの着信が48件、まだ読んでないメールが57件だと!?
今日は仕事だから遅くなるって言ってなかったっけこの人、それじゃあ仕事しろよ!
それに何?早くxx駅の近くに建っているホテルレーズンの孔雀の間へ来いだと?
は、何する気なの?
ってかそれってまるで、まるで......
「嘘、ホテルレーズンってあの世界各国にもチエーン店を持つ高級ホテルじゃん!
うあ、それってまるで婚約する人たちが親同士の顔を合わせるみたいじゃない!!」
「。。。。。。。。。。。」
う、ううう、うえ?えいいえいえあれえあえあええええええええええええ???
「な、なるみ!?」
いやいやいや、ううう、えええいえいえい、あ、ええ、いやいやええ、ええいええええうええええええええええええ!!???
「なるみ!!大丈夫?しっかりして!!!」
「いや、うん、あの、ありがとうございます?」
「うあ、この子重症だわ......」
いや待って、ちょっと待って、え?
婚約者って、おじちゃんホストじゃん......
いや、ホストを軽蔑する意味はないんだけど、でもホストは結婚してもホストになれるの??
いやいやいやその前に婚約者ってどっち?
まさかあのハーレムの中の一員じゃないよね!!
やめて!それだとおじいちゃんはどうするの?
それにおばあちゃんの体も最近調子が悪いだと聞くし......
いや、その前におじちゃんの秘密が家族にバレたら最終的に私が......!!!!!
「な、なるみ!今はそんなゴチャゴチャ考えてる場合じゃない、早くあんたの親に聞いて確かめてきなさい!!」
「う、うん、うううううん!!」
私は素早くスマホを持ち、家族の中で一番信じられるパパ上へ電話した。
“プルル、プルルルルルル、プルル、プルルルルルル”
どうして、どうして出ないの!?お願いパパ上、出て!!
“プルル、プルルルルルル、プルル、カチャ”
『はいもしもし黒川です。』
「ぱ、パパ上!」
『なるみ!どうしてたんだ?それに今日はお前のおじちゃんの大事な日なのにどこにいるんだ?』
「すみません、今日はどうしても外せないようじがありまして。
パパ上こそどこにいるんです?」
『どこって、ホテルレーズンの孔雀の間だけど......』
い、いやああああああああああああああああああああ!!!!!!
「う、うううううううううう......」
『ど、どうしたんだ、泣いてるのか?』
「い、いいえ、その、おじちゃんに今日は出席できないことお詫びを入れてくださるとうれしいですが、」
『ああ、わかった、そんなに行けなかったのが残念だったんだな。』
いや、むしろ助かった。
誰にしろ連次おじちゃんが幸せなら私はそれで構わない。
でも、
「あの、ひとつお聞きになられてもよろしいでしょうか?」
『なんだ?そんな改まって。』
「あの、おじいちゃんとおばあちゃんは今回のイベントに......」
『行くわけないだろう、それにここだけの話だがお前のおじちゃんとおばあちゃんはまだ連次の職業の事知らないんだ。』
まあ、そうでしょうね、じゃなければ私はここでみなみとアニメイベントに行けないものね。
あと一番気になるのが......
「ねえパパ上、連次おじちゃんが連れてきた相手は誰?それにそっちの親は何も言わなかったの?」
『んん?ああ、五十嵐くんのことか。そうだな、あの子の父親はやっぱりこの仕事にちょっと意見があるみたいだから来なかったけどあの子の母親は嬉し涙が出ていたぞ。』
「。。。。。。。。。。。。。。」
おかしいのは私だけか?
いや、なんかママだったらもっと激しい行動に出ていたと思ったから、うん。
それに、五十嵐......
いや、まさか。
「パパ上はいつこの事を知らされたのですか?」
『なるみ?お前今日本当に変だぞ?』
「いいですから教えてください!」
『多分数週間ぐらい前かな?まあ、最初は驚いたけど前からそうなるんじゃないかとちょっとぐらい予想はしてたが。』
そっか、私だけが知らないんだ、
そうだよね、だって同じ家に住んでも連次おじちゃんにとって私はただ法律がつながった居候さん、それ以下でも以上でもない。
「......そうですか、わかりました。」
『なるみ、』
「ええ、なんでしょう?」
『連次と何かあったのか?』
「いいえ、そんなことはありません。ご心配なく、私は連次おじちゃんとの家で平和に居候させてもらっています。」
『なるみ、』
「あ、私もう行かないと、すみません、今はこれで失礼させてもらいます。」
『あ、ああ気おつけて帰るんだな。』
“カチャ”
「。。。。。。。。。。。。。。」
「。。。。。。。。。。。。。。」
周りの人は私達と同じキャラバッグを持ち満足げに笑っている。
そう、先程の私みたいに。
でも、
「あああそうだ!カラオケ、カラオケ行こう!!最近この近くで新しいカラオケ屋さんがオープンして、その中でアニメをコンセプトにした部屋がたくさんあるんだって!
ね、もうなるみ、そんな顔しないで、行こう!」
「う、うん......」
私はその後の事はあんまり覚えていない。
いや、本当はカラオケボックスに入りいっぱい歌っていたはずなのに、心の中にあるその曇が私をはなしてくれない。
やがて太陽が家に帰り、その代わりに人工的な明かりが私達を照らし始めてから数時間達、私はみなみと話し、迷った結果フィギュアはみなみの家に預かって、私は連次おじちゃんの家に戻ることにした。
でもいつもだったら明かりが付いて、入った瞬間には美味しい食べ物の匂いがするこの家は今では暗くて何か欠けてるように見える。
「ああ、そっか、そうだよね。」
連次おじちゃんは今頃五十嵐さんという人とホテルにいるんだろうな。
フフ、バッカみたい、私、
どうしておじちゃんと仲直りできて、またあの頃みたいに戻れると思えたのかな?
そうでしょう、だって私と連次おじちゃんは10年前のあの時からただの法律がつながった赤の他人だもの、だから今更どうしてもう一度家族になろうと思えたの?
ほんと、馬鹿だな、私は。
“ポタ”
あ、あれ?なんか口元がしょっぱいな。
“ポタポタ”
「う、」
どうして、どうして?
大丈夫なはずなのに、先輩と別れた時は一滴の涙も流さなかったのに、
「うううううううううううううううううう......」
どうして、どうして涙が止まらないの......?
「......み、......るみ、......なるみ、おいなるみ起きろ、早く起きろ!」
「う、ん、うううううううううう......」
あれ、私いつ寝ちゃったの?
「ったく大丈夫か?なんか変な夢でも見たのか?」
「え?」
気づくと私が抱いてるブランケットは濡れていて、私の頬にも少し濡れていると感じられる。
「ああ、うん、ごめん、なんか覚えてないけど変な夢見ちゃった。」
本当だ、もしこれが夢ならば早く覚めて実家の部屋でアニメ見たい。
「......そうか、ああ、そうだ、実はさっき俺達終電逃しちまって、だがコイツの家はここからものすごく遠くてな。」
コイツ?ああ、恋人さんですか。
そして私の前に現れたのはハードボイルドな服を着ておじちゃんと同じく周りがキラキラと輝いてるリア充野郎。
あ、でもこの人どっかで......
「あの、前回は自己紹介が遅れました、お兄さんのお友達の五十嵐健人と申します。」
「。。。。。。。。。」
健人......五十嵐、健人......
「あの、どうかされましたか?」
「え?いいえ、何でもありませんわ。」
「そうですか。」
「。。。。。。。。。。。。」
「。。。。。。。。。。。。」
「なるみ、お前何か言いたいことがあるんだったら早く言えよ。」
「え、ああ、はい」
どうしてわかるんだよ。
「どうしました?大丈夫、なんでも聞いてください。」
うううう、そう、この感じ、このお兄ちゃんみたいでホッとする感じ......
そう言えば昨日みたいな夢は初めてじゃなく、思い返せば私がおじちゃんの家に居候してから見るようになった。
まさか、
「あの、もしかして五十嵐さんは**中学出身ですか?」
やめて、違うと言って......
「え、ああ、よく知ってますね。」
「嘘、でしょう、」
なんてことだ、それにどうして早く気づかないんだ。
五十嵐健人、その人は数年前私と少しの間だけ付き合った(?)私の初恋(?)で彼氏(?)だった人......
「どうしました?」
でも今彼は私の実のおじちゃんの婚約者になり、まるで私のことを忘れたかのように振舞っている。
ああ、神様、私はどこを間違えたのでしょうか?
もし時間を巻き戻せるのならば私は初めに間違った時へ戻り、今の過ちを犯さないように、目の前にいる彼に会わないための努力を励みたい......
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