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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

色々タイトルとか、逸話とか、弄ってみた

赤頭巾 Red head cloth

作者: 青桐

白地に赤い点のついた三角頭巾を、被った少女が過ぎ去っていった。

髪は完全に隠れていたが、間違いなく美少女だ。

あの子は同じ高校の制服を着ていたと思う。

あれだけ特徴のある子だ。

誰か知っているかもしれない。


教室に入ってその子の話をすると、やっぱり知っている奴がいた。


「レッドヘッドクロスだ」


「えっ。なんだって?」


「レッド、ヘッド、クロスだ」


友人はゆっくりと区切るように言った。


「なんかすげぇバカっぽい名前だな」


確かに赤い点がついていたが、こいつ話聞いていたか?

あだ名なんてどうでもいい。


「悪いことは言わない。

あの先輩だけはやめとけ」


「どういう意味?」


「あの先輩の頭巾、赤い点々がついていただろう」


「なんだ、話聞いてたのか」


「あの人の2つ名の由来は、返り血で染まった頭巾だ。別名は赤頭巾」


「二つ名とか、誰がつけたんだよ」


中二か。

あと、頭巾は英語だとriding hoodだぞ。わざわざ言わないけど。


「お前こそ、一度も聞いたことないのか?」


「ねえよ。

でもやっぱり、この学校の生徒なんだよな。

何年何組か知ってる?」


「3年2組だけど、本当に下手なことはするなよ」


そうか、今すぐ会いに行こう。

いや、もうすぐホームルームが始まる。話す時間が少ない。

昼休みに行こう。


授業がすごく長く感じた。

ようやく4限終了のチャイムが鳴った。

さっそく3年2組に向かう。


「おい、まだ授業は終わってないぞ」


何か先生が言った気がしたが、スルーして走り出す。

階段を駆け下り、3年2組の教室を覗くと、彼女はいた。

なんて声をかけるかも考えていなかった。それでも彼女の前に行く。

彼女は俺をじっと見つめている。

彼女は教室でも頭巾をしていた。


「何?」


「あ、あの、俺は大神良志(おおかみ・りょうし)っていいます。

俺と友達になってください」


そう言って頭を下げる。

付き合ってと言うよりは、困らせないはず。


「友達って、こういう風に申し込むものだっけ?」


彼女が問いかけた。


「いえ、あの」


その言葉に、顔を上げると、彼女が首を傾げていた。

可愛い。けど困らせてしまったかな。


「まあ、いいや。

放課後付き合って」


「えっ」


「そこで見極めるから」


あっけらかんと言い放ち、もう用はないとばかりに教室から消えた。

それから教室に戻っても、ずっと彼女のことを考えていた。

そして、放課後になった。

猛ダッシュで3年2組の教室へ走る。

ちょうど彼女なホームルームが終わっみたいで、教室から人がどんどん出てきた。

あっ、あの人だ。

声をかけようとして気づく。あれ、そういえば名前知らないな。

彼女は俺に気がついたようで、俺に近づいてくる。


「待たせた?

早いね、大神のクラス」


「いえ、今来たところです」


すげえ、デートっぽい会話だ。


「それじゃあ、行こうか」


彼女が歩き出した。

俺も彼女の隣に立って歩く。


「ところで、どこに行くんですか」


「君は行きたい場所ある?

なければゲーセン行こ、ゲーセン」


「俺は先輩とならどこへでも行きますよ。

ゲーセンも大好きですし」


先輩に連れられるまま、ゲーセンで遊ぶ。

しばらく色々なゲームで遊んだ後、クレーンゲームを2人でしていると、先輩が俺をじっと見ていることに気がついた。


「先輩、どうしました?」


(べに)でいいよ、呼び方。友達だから」


「はい、紅さん」


俺を認めてくれたんだ。

嬉しさがこみ上げる。


「さんはいらない」


「えっ、呼び捨て、ですか」


「じゃあ、紅ちゃんで」


「は、はい。紅ちゃん」


「敬語もいらない」


「うん、紅ちゃん」


そう言うと、すっごく可愛く微笑んでくれた。

写真に撮りたい。


「よお、あんた、レッドヘッドクロスだろ」


いきなりいかにも不良みたいな格好した、若い男達が声をかけてきた。

どうやら3人組っぽい。

俺と同じ制服だから、たぶん同じ学校だろう。


「違う。人違い」


先輩鬱陶しそうに、しっしと手を振った。


「ははっ、嘘はやめろよ。

そんな格好した奴が他にいるか。

くっくっ。デートか。

さぞかし強い男なんだろうなぁ」


不良は俺をジロリと見ると、いきなり突き飛ばしてきた。


「うわっ」


吹っ飛びそうになったのを、紅ちゃんが支えてくれた。


「りょう君。どうする?」


耳元で囁かれた。

すげぇいい匂いがする。

でもドキドキしている場合じゃない。


「逃げましょう」


紅ちゃんの手を引いて走り出す。


「おいこら、待てや」


不良がなんか言ってきたが、気にしない。

彼女の手を握ったまま走り出す。

そして、しばらく逃げ回って不良たちを巻いた後、デパートの中に入った。


「ここのお団子美味しんだよ」


彼女が団子屋を紹介してくれた。

その店の前のベンチに並んで座る。

団子を頬張る彼女も可愛い。


「食べたいの?」


俺はみたらし団子を食べていたから、彼女のゴマ餡団子を狙っているように見えたのかな。


「ううん。可愛かったから見てただけ」


「初めて男の子に可愛いって言われた」


「こんな可愛い人見たことないのに、そんなわけないよ」


彼女の顔が赤くなっている。


「いつも頭巾被ってるからかな。私に話しかける人は、さっきの不良みたいなのばかり」


「そっか、でも気にしなくてもいいんじゃないかな。

なにか、その頭巾に思入れがあるんでしょ」


「この頭巾、今は天国にいるお母さんに貰ったんだ」


「そっか」


こういう時、なんて言えばいいのか。

かける言葉を持っていない。


「小学生の時、お母さんが、私が髪の色をからかわれていることを知って、くれたの」


隠せってことか。

ちょっとだけ違和感を感じた。


「『そんなことを言った奴の血で、真っ赤になるまで、家にはいれないよ』って」


「だいぶアグレッシブなお母さんだね」


うん、だいぶ違和感だらけだ。


「そうかもね。

……ありがとう。私と関わらなければ、あんな連中と関わらないで済んだのに、最後まで手を離さないでくれた」


そういえば、団子屋に来るまでずっと、紅ちゃんの手を握っていたな。

今更だけど、ちょっと恥ずかしくなった。


「ゴミ捨ててくるね」


彼女も団子を食べ終わったから、2人分のゴミを捨てに行く。

戻ると、座っている彼女が手を差し出してきた。

照れながらも手を握って彼女を立たせる。

彼女は立ち上がると、さっきよりも強く握ってくれた。

俺も握り返すと、彼女はニコッと笑いかけてくれる。


「ねえ、お母さんに紹介したいから、家にこない?」


「うん、喜んでいくよ」


彼女の案内に従って歩くと、西洋の城みたいな、でかい家の前にいた。


「ここ?」


「うん。入って」


すごい緊張する。

家の中も洋画に出てきそうな雰囲気だ。

10メートル以上ありそうな長いテーブルの席につく。

すると、大きなスクリーンが天井から降りてきた。


「はぁい、紅ちゃん。

ボーイフレンド連れくるなんて、おませさんねぇ」


スクリーンの中で、紅ちゃんにそっくりな女性が映っている。


「お母さん、やっぱり私を監視してるのね」


「監視なんてしてないわ。

見守っているの」


「自分は南国で楽しんでるくせに」


「南国じゃないわ。ここは天国よ。

紅ちゃんも来る?

最高よ、ここ」


「ううん。まだ頭巾が赤く染まりきってないから、いかない」


「情けないわね」


「大丈夫。

獲物は見つけたから、明日には完成する」


この子やばいかも。


「あの、紅ちゃん?」


声をかける。


「あっ、ごめんね、りょう君。

あのスクリーンに映ってるのがお母さん」


紅ちゃんがスクリーンを指差す。


「あれ、天国にいるって、言ってなかった?」


「うん、天国って呼ばれてるリゾートにいるの。

……もしかして、言い方が悪かったかな。

お母さんが亡くなってるみたいに聞こえるよね、ごめんね」


「いやいや、生きててよかったよ」


「うん、生きててよかったー、って思えるわよ。

このリゾート」


「お母さんは黙ってて」


「ひどいわ。反抗期かしら」


「あの、大神良志っていいます。

ええと、紅さんとは付き合って」

「いないよ、友達」


食い気味に言葉を被せられた。


「はい、友達です。

よろしくお願いします」


それから色々話して、解散し、見送られた。

家に帰って思い出す。

そういえば、紅ちゃんの、”血染めが明日完成する”って発言の真意を聞いてなかった。

まあ、冗談の類だろう。

それよりも、恋人になれるよう、頑張らないと。



登校すると、パトカーが学校に留まっていた。

そして、緊急全校集会が開かれた。


「この3人に見覚えのある人はいませんか?

昨日から行方不明になっています」


昨日見た不良3人組が、プロジェクターで映された。


「でもさ、あれって不良3人組だろ。

1日帰ってこないくらいで、騒ぎすぎじゃないか?」


友達Aが笑った。

すると、友達Iが、訳知り顔で口を開く。


「ああ見えて、あの3人組はマザコンだ。

必ず19時には家に帰るし、何より、母親からの連絡を無視したことがないんだよ」


かなり嫌な予感を感じながら、3年2組のいるはずの場所を見る。

紅ちゃんは見つけられなかった。


集会が終わり、教室に戻る列を抜けて、3年2組を目指す。

教室に行くと、紅ちゃんはいなかった。

教室いた先輩に声をかけてみる。


「あの」


「お、君、昨日の奴じゃん。

なに、赤井に会いに来たの?」


「はい」


「ってことは、本当に突然決まったんだな。

あいつ、海外に引っ越したんだってさ」


「可哀想にな。

連絡もなかったか」


「まあ、振られたってことだ。

気にするな」


いや、気になってしょうがない。

くそ、連絡先を聞いておけばよかった。

学校を自主早退して、紅ちゃんの家に向かう。

何度インターホンを押しても、出ることはなかった。


この小説を読んでいただき、ありがとうございました。


もしよろしければ、評価や感想をしていただけるとと幸いです。


また、もし少しでも、

この小説を気に入って頂けたなら、他の小説も読んでいただけたら、これに勝る幸運はありません。


短編と長編の両方書いていますので、そちらもお願いします。

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