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出発

※この物語はフィクションであり、事件、団体、出来事などとは一切関係ありません。


皆さんは、小説、漫画等、読んでいて異世界が本当に有るのならと思った事がありませんか?

あるとすれば、素敵な、スリルな、夢が叶うとか、そう考える事は悪いことではありません。

しかし、異世界を渡ると言う事は覚悟がいりますよ?





たまたまだった。

飛行機で仲間と一緒にアメリカに行く事となった。

それは高校の卒業旅行だからだ。

僕は伊川昂(いかわのぼる)、普通の短い黒髪、普通な二重、身長も175㎝あるかないか、成績も普通なら大学も地元にある大学だ。

仲間は、後ろの座席から身を乗り出し、顔を出すのは、未だにやんちゃな住村彰(すみむらあきら)、今時な感じに髪は茶髪に染め、その茶髪すらワックスで固めている。目は二重に細目、身長も僕より5㎝高い。

右隣には、高倉契(たかくらちぎり)、無愛想に廊下を見ている彼は、身長は僕位で、ただ髪は薄い金髪に長さは均等に肩まで、目は金色の凛々しさを持った二重だ。

後ろにも後、2人居て、相双亜美瑠(あいそうあみる)、彼女が卒業旅行の計画を練った1人で、アメリカと言い出したのは、最初に言った住村だ。

そして彼女は活発な顔付きに髪は赤毛のツインテール、胸もかなりある上、男子達にも受けが良い。身長は以外と高く、168㎝もある。

相双と話しているのは、この中でリーダーとも言える坂谷和司(さかたにかずし)、身長はあの住村よりも更に高く、体付きも良いし、短髪黒髪なのだが顔付きなんかは爽やか青年だ。

そして僕の左隣にいるのは、僕が片想いする彼女、佐村心優(さむらみゆ)、目はパッチリの二重だが穏やかで、髪の毛は長く、腰まであり、それを真ん中で髪を止め、肌はふんわりと白く、唇もピンクでしかも小柄で160㎝も無くとも、可愛らしいワンピースで飛行機が怖いのか、少し緊張していた。

僕は彼女に聞いた。

「大丈夫?」

彼女は不安そうに、でも無理して笑ってこう言った。

「うん、大丈夫……地上から離れたりすると、凄く不安にならない?」

確かにそうかもしれないと思い、返そうとした時、高倉契が先に言ってきた。

「人間は空を飛ぶ生き物じゃないんだ。不安になるのは当然だろう」

「そ、そうだね」

もうなんて言えばいいか、僕が代わりに言ってしまった。

無論、ここで会話を弾ませるつもりだったのにとぶつくさと僕は言うつもりが、それを有無と言わさず続いて相双が声を掛けてきた。

「ねぇねぇ、伊川」

「なんだよ」

「アメリカ行ったら、どこ行く?」

「定番として自由の女神像か?」

一体何の話だと、思いつつそう答えると、住村も顔を出して言った。

「えぇぇ! まじで!」

「住村、僕らは、皆未成年、カジノなんて出来ないし、州自体違う所なんだから諦めろ」

住村の奴は、前にラスベガス行きたいと言っていたが、年齢からして最初から無理と皆に止められ、結果としては定番のニューヨークへと行く事となった。

だが、住村は僕の耳元で言った。

「いやいや、ストリップショーとかさぁ行けそうだろ?」

「1人で行け!」

腹を立てて、持っていたパンフレットで住村を叩いた。

坂谷が笑って言った。

「住村、またアホな事言ったのか」

「ち、違うさ!」

住村が焦ってそんな事を言うので、きっちり言ってあげようと思ったんだ。

「違うってなんだよ、さっきスト……」

まぁさすがに、

「あ゛あぁぁぁぁぁ!!!!」

飛行機の中で騒がれてしまった。

さすがに高倉契に住村は突っ込まれた。

「うるせぇ! アホ村!」

「誰がアホ村だぁ!」

こんな騒ぎも飛行機のアナウンスと共に静かとなり、皆シートベルトを着用した。

そして、離陸し、皆空港を眺めながら日本を後にした。

日本を出て、しばらく僕は眠っていた。

眠ってはいたが、なんだかはっきりとしない夢だ。

と言うより、僕はいつ眠ったかさえ覚えていないんだ。

なんか、騒いで気絶した気がした。

そんな考えばかり頭を駆け巡っている中、声が聞こえてきた。

高倉の声だ。

「昇……昇……おい、伊川!!」

そこで漸く目が覚め、

「契!? てか、アメリカに着いたのか?」

もうアメリカに着いたのかかと背伸びをした。

いきなり僕の頭を叩き、高倉は大きな声で怒鳴った。

「アホ! 飛行機が急にトラブル起こして、何処かに不時着したんだよ!!」

この時、僕は夢かはっきりしないモノは、現実に起きた事なのだとここで初めて気が付いた。


日本離陸して数時間、ずっと皆とわいわいと騒ぐも、さすがに周りを気にして静かになり、ゲームをしたり、飛行機に付いている画面で最新映画を見たりして、アメリカまでの時間を過ごしていた。

僕はと言えば、そろそろ眠たくなってきたので、アイマスクを付けようと、探そうとした。

急にガクンと飛行機が揺れ、乗客は皆、「なんだ乱気流に入ったか」と騒然となった。

アナウンスでは「ただいま原因を探っておりますので、席に座ったままお立ちにならないようにお願いします」と同時にシートベルトのマークが光った。

原因も何も、きっと乱気流だろうと、僕も乗客達も思いながら仕方がないと、シートベルトを付けようとした時、また大きな揺れが起きた。

しかもかなり続く揺れには、怯える乗客も出てきて不安の声が聞こえてきたが、すぐにまたアナウンスが流れ、「お客様大変申し訳ございません。乱気流による大きな揺れです。機体には何ら故障もございません」その言葉には安心というよりも、苛立ちを覚えたのははっきりと記憶に残っていた。

せっかく寝ようとしたのに、こんな状態ではゆっくり眠れる事も出来ないと、鼻で溜息を吐いた。

すると、佐村さんが手を震わせて言った。

「いつまで続くんですかね?」

僕はこんな状況なのに、佐村さんから声を掛けられた事が嬉しくて、緊張しながら答えた。

「分からないけど、一応プロの機長達なんだから、後数分すれば抜けれるんじゃないのかな?」

が、案の定高倉に言われた。

「そう言っても、運転しているのは人間、くっだらない事で飛行機事故が起きたりもするんだから、安心するのもどうだか」

僕はこの話を聞いて青ざめ、何も言い返せず、無論佐村さんも絶句し顔色が僕以上に青くなっていた。

案の定、後ろにいた住村と坂谷が高倉に突っ込んだ。

「おぃぃぃ! お前なんだか不安をある事ばっか言ってんじゃねぇよ!」

「そうだぞ、高倉! お前今日ちょっと変だぞ!」

高倉はと言えば、

「そうか? でも、そうかもな、頭痛が酷くて酔いそうなんだよ」

頭痛で気分が悪そうに頭を抱えた。

相双が自分のカバンから普段から持ち歩いている痛み止めを取り出し、

「早く言ってよ、これ、頭痛にも効くから、水なしでも飲めるから飲んじゃって」

高倉にと手が伸びたので、僕が代わりに痛み止めを取り、高倉へと渡した。

こういう時にと飲むもんじゃとかぶつぶつ言っていたが、

「ありがと」

きっちりと礼を言った。

「どういたしまして」

相双は笑って、座席に寄り掛かりながら、携帯ゲームを取り出し遊びだした。

この状況で遊べる相双は少し羨ましい気がした。

しかし、この続く揺れ、いい加減終わらないモノかと思っていた。

相変わらず大きく揺れる状態も、人間慣れるもので、段々平気になってきた。

だが、同時にシートベルトからの解放はなく、一部の客が客室乗務員の女性に文句を言うが、すかさず同じ客室乗務員の男性が話に割って入り、説明をし続け謝っていた。

不満は限りなくこの飛行機に充満していた。

真ん中の席だったせいもあり、外の様子とかは確認出来ず、見ている人もいるが、すぐに呆れて閉めてしまった。

いい加減、乱気流から解放されたい、そう皆が思っていた。

その直後、右側の飛行機の羽が何かにぶつかったかのように大きく傾き、乗客、客室乗務員達が悲鳴をあげた。

パニックと共に生まれて初めて見る酸素マスクが降りてきた。

慌てて乗客達は酸素マスクを着用し、僕も付けようとした時、今度は左側の飛行機の羽が右側と同様に何かがぶつかって大きく揺れた。

皆、悲鳴をあげ、1人が飛行機の窓のカーテンを開け、覗いたが、薄暗く分厚い雲により、外が把握できなかった。

今度は左右上下に揺れ、飛行機の電気が落ち、客室乗務員の1人が、「皆様どうか落ち着いてください! 今機長と確認を取っております!」大きな声で言うが、「バカ言え!」「一体どうなってるの!」と次々に不満と不安の混じった乗客達の声が聞こえた。

ふと、前の席にいた客がいつの間にか、対ショック姿勢に入っていたのを見て、不安もあってか、こっそり同じ姿勢を取った。

それを見ていた高倉が、

「お前、それ不時着の際にやる行動じゃ……!」

さっきまで不安を煽っていた本人ですら、この対ショック姿勢には驚いてしまったようだ。

勿論、その近くに居た佐村さんも後ろの席にいた3人も対ショック姿勢を取り始めた。

周りも恐怖で対ショック姿勢というより、怯えて屈んでしまった乗客達が沢山いた。

今度は先程の大きな揺れとは比べもののならない揺れがあった。

そこからは僕の記憶があやふやとなり、ただ分かるのは下がる感覚ではなく、上がる感覚だったんだ。


「漸く思い出したようだな」

高倉に言われて、軽くはいと呟くが、飛行機の中にしては妙にまぶしく感じて上を見てみると、

「おいおい、それ、不時着じゃなくって墜落したのが正しいんじゃないのか?」

飛行機の上半分が壊れたと言うよりも、剥がれたに等しい位、上がほとんどなかった。

あまりの惨状にはそれ以上言葉が出なかった。

高倉はため息を吐き、言った。

「よくこんな状態で生きてたもんだなって思うだろ? とりあえず、ここから出るぞ、他の乗客や客室乗務員達は皆避難で出て行ったが、お前だけが残ったんだよ」

確かにこんな所に居るよりは、早くここから出て今いる現状と場所を知りたかった。

すぐに立ち上がると、実際水平と言うより、右斜め下になっているのに気が付いた。

だからか、僕はちゃんと立てなくてよろけてしまい、

「そうだ、岩に乗りあがっているのか斜めになってるから気を付けろ」

「今更言われてもね……」

高倉の注意は本当に後からでは遅いと僕は額から汗一粒を流した。

そこへ、客室乗務員の1人である女性がやって来て、高倉に訊いた。

「これで全員ですか?」

「はい、漸くこいつが目を覚ましましたので」

漸くって事はかなり寝てたのかと僕は思ってしまうが、きっと数分から数十分程度だと思えば普通かなと感じた。

客室乗務員はほっと胸を撫で下ろしたように、

「良かった、お友達が無事で、気を付けて、かなり段差が激しいから」

ゆっくりと案内してくれた。

高倉は「どうも」と言って、すぐに降りて行った。

僕も続いて降りようとして、

「すみませんでした……」

客室乗務員に謝罪と礼を述べようと振り向いた時だ。

ぐっちゅぐっちゅ、ぐっちゅぐっちゅ、ぐっちゅ……。

異様な音が耳元にへばり付き、客室乗務員は宙に浮き、下半身がブラブラと揺れ、上半身は空へ、そう、空に食べられたいたんだ。

僕は叫ぼうとした瞬間、

「おい! 伊川! 早く来いよ!」

高倉に呼ばれ、我に返りつつ客室乗務員が空に食べられたことを伝えようとした。

「た、高倉! 今、客室乗務員が!」

「はぁ? 伊川、ここに残っているのは“最初から俺とお前しかいない”ぞ? しかし、酷いよな、伊川が目が覚めてないから俺残って……」

高倉の話が途中から耳に入ってこなかった。

僕は再度“何か居た”筈の場所を見たが、そこには何の跡もなく、それどころか、一体どうして叫ぼうとしたのかさえ分からなかったんだ。

頭をひねりながら、僕は高倉の後を追う。だけど、同時にサクサクとスナック菓子を食べるような音が耳に入ってきて、とても気持ち悪く、何が起きているかさえ、今は分かるはずもなかった。

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