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☆5

 六限の終わりを告げるチャイムが鳴るとすぐに、荷物をまとめて亜梨子の教室へと向かった。一年生の教室は二年生の教室の一つ上の階、校舎の最上階である六階だ。


 出入り口から中を覗くと、亜梨子が帰り支度をしているのが見えた。

 亜梨子は俺を見付けると、鞄を持って小走りにこちらへ向かって来る。途中、クライメイトに声をかけられたり、挨拶を返していた。


「お待たせしました」


 俺達は、音講から遠い東階段を使って、音講のある二階まで降りた。坂の途中に建っている校舎の構造上、普通は一階にある正面玄関は二階にあり、校舎を出て食堂の外を進むと音講の裏に回り込める。

 本当は、音講の横にある扉から出るのが最短ルートなのだが、そちらは俺を呼び出した相手が使う可能性が高いので避けた。

 ちなみに、一階には下駄箱と生徒達が登下校に使う通用門がある。感覚的には地下だ。


「まだ来てませんね」


 校舎の陰から覗いてみたが、人影は無かった。気配も無い。


「とりあえず、亜梨子はここで隠れててくれ。何かあったら、フォローよろしく」

「分かりました」


 亜梨子を残して、校舎の陰から出たのと同時に、数メートル先の扉が開いた。音講の横から出てくる扉だ。


「あら、早かったのね。お待たせしちゃったかしら?」


 出て来たのは、制服姿の魔法少女だった。


「いや、さっき来たばかりだ。

「それなら良かったわ」


 彼女はニッコリと微笑んだ。

 これだけの美少女に呼び出され、こんな風に微笑まれたら、嬉しいのが普通なんだろうが、そんな気持ちは少しも湧かない。


「で、用件は?」

「知りたかった事は、もう分かったわ」


 これだけのやり取りで、何か分かったのだろうか?それとも、ここに来る前に調べたのか。


「どういう事だ?」

「私が知りたかったのは、あなたが魔法少女の事を覚えているかどうか」


 当然、覚えている。だから、ここに来た。


「あなたの反応を見ていると、覚えているわよね。何故かは分からないけれど…」


 覚えていないのが普通だとでも言いたげだ。


「言っている事がよく分からないんだが?」

「仕方ないわね。話してあげるから、そこに隠れているあなたも出ていらっしゃい」


 彼女は、亜梨子の隠れている方へ目を向けて、そう言った。

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