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☆4

「悪い知らせと悪い知らせ、どっちから聞きたい?」


 魔法少女に出会った翌週の月曜日、俺は昼休みに亜梨子を屋上へ呼び出した。

 屋上は立ち入り禁止になっているので、人に聞かれるとマズイ話をするのにちょうどいいのだ。

 立ち入り禁止と言っても、飛び降り自殺があったとか幽霊が出る等と言う理由ではなく、屋上に塗ってある塗料が剥がれてしまうからだと、昔通っていた時に聞いた事がある。塗料は防水のためのものまで、人が歩き回ると剥がれるらしい。剥がれれば、雨漏りしてしまう。


「どっちも悪いんじゃないですか」


 亜梨子の顔が曇る。


「まぁね。じゃあ、一つ目から。例の魔法少女の正体が分かった」


 人差し指を立てて一を表し、話始める。


「それって、悪い話なんですか?相手の正体を掴めたなら、良い話なんじゃ…」


 亜梨子の顔に疑問が浮かぶ。


「普通ならな。問題は、その正体。うちの学校の生徒だったよ。見間違いじゃなきゃ、靴の色は二年生だ」

「ホントですか!?」


 うちの学校は、上履きに入っているラインの色が学年ごとに違う。だから、上履きを見れば何年生か分かる。その色が俺と同じだったのだ。

 亜梨子は、驚いて目を丸くしている。


「あぁ。今朝、音講へ向かう途中ですれ違った」


 音講というのは、音楽室と小さな講堂を足したような場所だ。普段は音楽室として使われているが、講堂としても使われる事もある。文化祭の劇等もここでやる。


「先輩と同じ学年ですよね。今まで気付かなかったんですか?」

「無理言うなよ。八組まであるんだから。それに、俺にとっては十六組ある様なものだし」


 うちの学校は一学年八組あるので、生徒数が多い。同じクラスになるか、体育などの授業で一緒にならなければ、知り合う事は少ない。

 しかも、俺には一度目の高校生活三年間の記憶があるので、すでに多くの友人が居る様な状況なのだ。新しく覚えるのは、余計に難しい。


「もう一つの悪い話って、なんですか?」


 亜梨子が呆れた様に話題を変えた。


「俺の机にラブレターが入ってた」


 上着のポケットから、花柄の白い便箋を取り出す。


「ラブレターですか?それなら、別に悪い事じゃないんじゃないですか?」


 亜梨子が不機嫌そうに、そっぽを向いた。


「読めば分かるよ」


 亜梨子に便箋を手渡す。


「『今日の放課後、音講の裏で待っています。魔法少女より』って、これ…!」


 便箋から顔を上げると、先程よりもさらに驚いた顔をしていた。


「そういう事。こんなデートのお誘いは、できればお断りしたいんだけど、無理するのもマズイしね…」

「行くんですか?」


 亜梨子が不安そうな目で、こちらを見ている。


「行くしかないでしょ。机に入ってたって事は、今回逃げてもまた接触してくるだろうから」


 相手は、俺という個人を特定している。学校に通っている限り、逃げ切れない。


「私も行きます!」

「おいおい、本気か?亜梨子の事は知られてないかもしれないのに、自分から危険に飛び込まなくても…」

「行きます!」

「分かったよ」


 意外な亜梨子の反応には驚いたが、バックアップを期待できるのは、ありがたい。


「じゃあ、放課後、亜梨子の教室へ迎えに行くよ。現地で待ち合わせるのは危険だから」

「分かりました」


 合流の予定を決めたところで予鈴が鳴ったので、俺達は教室へ戻る事にした。

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