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☆2

「あれが先輩の言ってた魔法少女ですか…?」


 魔法少女との出会いから三日目の夜、山手線の線路沿いにある渋谷の公園で、彼女を目撃した。

 今度は亜梨子も一緒に、物陰から覗いている。

 俺達が捜していたヴァンパイアと戦闘中だ。


「そうだよ。服も武器も同じだし。しかし、なかなかやるなぁ」


 今時の若者そのものの格好をして、拳銃を撃ちまくっているヴァンパイア三人を相手に、少女は銃撃戦を繰り広げている。


「服で覚えてたんですか?」


 亜梨子のいつもとは違う抑揚の無い口調と低い声に、思わず横目で見てしまう。


「まぁ、セーラー服着てライフル持ってる人なんて、なかなか居ないからね」

「先輩は、ああいうのが好きなんですね」


 亜梨子の視線が冷たい。


「いや、そういうわけじゃないけど…」

「ふーん…、そうですか」

「それより、どう思う?やっぱり、魔法で戦ってるのか?」


 話題の転換を図る。

 実際、俺よりも亜梨子の方が、そういった感覚は鋭い。公園に張られている結界を探知して、この場所を見付けたのも彼女だ。

 そして、この結界の効果で、公園内に他に人は居ない。


「…魔力を纏って戦ってるとは思いますけど、反応が強くなるのは撃つ時だけだから、特殊な弾を使っているのかもしれませんね」


 亜梨子の声と口調がいつも通りに戻った。

 彼女の言う通りなら、ライフル自体は通常の物か、それに手を加えた程度だろう。

 銃の様な構造の複雑なものを魔力で作るのは、消耗が激しく効率が悪い。銃の威力や効果は弾丸で決まるので、弾に魔力を込めた方が効率的だ。

 それに、あれだけの大きさの物が魔力で作られた塊だとしたら、亜梨子が気付かないはずはない。


「たしかに、やりますね」


 三人居たヴァンパイアは、すでに残り一人にまで減っていた。

 圧倒的とまではいかないが、優位に戦いを進め、確実に仕留めている。


「見付からないうちに、退散するか」


 戦闘が続いているうちに、結界から出てしまえば、俺達の存在が気付かれる可能性は低い。


「そうですね。行きましょう」


 物音を立てない様に後退り、亜梨子と共に結界を後にする。

 公園を出て、大通りに辿り着くと、けっこうな人数の通行人が歩いていた。


「ここまで来れば大丈夫だろう。今日のところは、夕飯でも食べて帰るか」


 人が居るという事は結界の範囲外だし、この人混みの中で追って来る事も無いだろう。


「…ん、はい。どこに行きますか?」


 亜梨子は、一瞬後ろを振り向いて頷き、それから夕飯の誘いに乗った。


「安くて美味しいピザの店があるからさ。俺の記憶と変わってなければ…」


 公園通りを渡り、角を曲がる。

 本来の俺自身の記憶に従って。

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