☆19
「うわぁ!」
ユキが雄叫びを上げて、左足に刺さっていた刀を引き抜いた。
「無駄な事を」
刀を後方に投げ捨てたユキに向かって、一気に近付く。今度はユキも反応できない。先程までの動きは、三人の神官の魂を吸収し、自身の属性も含めて四属性の魔力を備えていたからできた芸当だ。
しかし、ヴァンパイアの特性として、全身の傷はすでに塞がり出している。
「抵抗したところで、お前に勝ち目は無い」
ユキの後ろに回り込み、背中側から腕を突き入れ、心臓を掴む。
溢れ出す赤と白の光の根源を引き抜き、ユキから距離を取った。
「はじめましてで悪いんだが、君達もエミリーと一緒に待っていてくれ」
赤と白の光の玉は、青い光の玉であるエミリーの側へと飛んで行く。火と大地の神官の魂だ。
「さて、仕上げといくか」
右腕の光から新たな刀を産み出す。
「はい!」
亜梨子は、俺とはユキを挟んで反対の位置に移動し、双剣を構えた。
「ふざけるなぁ!私は!私はぁ!」
ユキの魔力が膨れ上がり、爆発する。
爆発の後には、目だけが深紅に輝く漆黒の鬼が立っていた。
「真祖じゃないのに、ここまでの力があるなんて…」
変わり果てたユキの姿を見た亜梨子は、驚愕の表情を浮かべた。




