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☆12

 かおりの言う『後輩』というのは、学校のという意味だけでなく、魔法少女としてのという意味もあった。

 学校から駅まで行く途中にあるコーヒーショップへと移動した俺達は、かおりから彼女達を紹介された。

 ツインテールの少女は、沖田あおい(おきた あおい)。風の属性の魔法少女で、武器は弓矢だそうだ。実物なのか、魔力を具現化したものかまでは聞いていない。

 ショートカットの子は、斎藤えり(さいとう えり)。水の属性の魔法少女で、武器は剣だと言うから、彼女達三人がチームで戦う時はフロントマンなのだろう。剣の方は、魔力を具現化したものの可能性が高い。


「先輩ってさ、よくうちのクラスに来てるよね~。だから、永倉さんの彼氏だと思ってたよ~。まさか、ヴァンパイアと戦うためのパートナーだったとはねぇ…」


 えりが、アハハと笑う。

 あおいとえりは、亜梨子と同じクラスなので、俺が亜梨子に会いに教室を訪れる事を知っていた。


「それで?この子達を紹介したって事は、この人数で当たらなければならないような敵が現れたとか?」


 紅茶を一口飲んで、かおりに問う。


「ええ。吸血鬼のアジトが分かったの。近いうちに乗り込む事になると思うわ」

「そこに親玉が居るのか?」

「詳しい事は、行ってみないと分からないけど、大物は居るでしょうね」


 かおりの言葉に、亜梨子と顔を見合わせた。

 これでヴァンパイアとの戦いが終わるかもしれないのだ。


「詳しい話は、その時が来たら安藤さんからあると思うわ。それまでは勝手に動いちゃダメよ?相手に悟られてしまうかもしれないから」

「分かった」


 情報を集めるために動きたかったが、かおりに独断専行は禁止だと釘を刺されてしまった。残念だが、ここは従うしかない。


「じゃあ、今日のところは解散ね」


 かおり達が帰って行ったので、亜梨子と二人、駅から離れて芝浦方面へと歩く。

 上着を鞄に入れ、ネクタイを別なものに替えてから、先程のエンジ色を基調とした店とは違うチェーンのコーヒーショップへ入った。青が目立つカラーリングで、黄色と茶色を基調にしている店とは姉妹店だ。


「どうするんですか?」


 亜梨子がココアを片手に訊いてくる。


「ま、連絡を待つさ」


 今度は喫煙席に座っているので、鞄からシガリロの缶を取り出し、一本抜いて、使い捨てライターで火を着ける。

 うちの高校の男子の制服は、黒のブレザー上下と白いワイシャツなので、上着を脱いでネクタイを替えれば、学生とは思われづらい。


「土方さんにも釘を刺されたし。何より、向こうが手に入れた情報だ。こっちで勝手に動いて、ふいにするような事になればマズイ」

「かおり先輩の言う通りにするんですか?」


 亜梨子は不満げな表情をしている。俺の判断に納得がいかないのだろう。


「今回は、情報の所有権があっちだからなぁ」

「うーん…、情報の所有権…?」


 亜梨子の顔にハテナマークが浮かんでいた。


「そう。今回の情報は、安藤さんサイドのものだ。俺達のものじゃない。例え、土方さん達が動き出すのを待ってるうちに逃す事になっても、俺達抜きで動かれたとしても、もともと無かった情報と思えば良い。それに、勝手に動いて奴等を始末したくれたら、それはそれでラッキー」


 言葉を切って、カフェモカを一口飲む。


「まぁ、安藤さんなら俺達に悪いようにはしないとは思うけど、どう転んだとしても俺達に損は無いよ」


 短くなったきたシガリロを灰皿に捨て、亜梨子の目を覗き込んで続ける。


「ただし、そう考える代わりに、もし、俺達が独自に情報を手に入れた場合は、勝手に動いて奴等を潰す。報告は事後報告で十分だ。俺達は俺達、あいつらはあいつら。それでいいだろ?」


 亜梨子は、少しだけ考えた後に頷いた。


「そうですね。私達は私達、ですよね」

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