☆11
翌日の放課後、俺と亜梨子はかおりに呼び出されて、バスケットボールのフルコートが一面分しかない狭い校庭に居た。
「かおり先輩の用事って、何でしょうね?」
亜梨子が首を傾げている。
「さぁ?まぁ、メールじゃ済まない用事なんだろうけど」
待ってる間、暇だからと言って、校庭で堂々と煙草を吸うわけにもいかないので、転がっていたバスケットボールを使って遊ぶ。一人でシュートしているだけだが。
「球技は苦手って言ってませんでした?」
亜梨子が不思議そうに、こちらを見ている。普段、球技は苦手だしやらないって言っているからだろう。
「昔、友達が教えてくれたんだよ」
「そう…ですか…」
俺の答えに、亜梨子の表情が曇った。
「そのお友達には、もう会えないんですよね?」
「そんな顔するなよ。別に、亜梨子のせいじゃないだろ?」
「でも…」
「それに、今の生活も悪くないと思ってるんだから」
たしかに、バスケを教えてくれた友達に会う事は二度と無いだろう。しかし、今の生活を気に入っているのも事実だし、大切なものを取り返す事もできた。
「まぁ、全てが元には戻らなくても、今は出来る事をやろう」
「はい…」
亜梨子の頭を軽く撫でる。
「それにしても、土方遅いなぁ…」
俺達を呼び出したかおりが、なかなか来ない。
そんな事を考えていると、こちらへ向かってくる足音が聞こえてきた。
「お待たせ」
「お待たせしました」
ようやくやって来たかおりは、二人の女の子を連れていた。上履きの色からすると、一年生の様だ。
一人は、セミロングぐらいの長さの髪をツインテールにしていて、頭を下げている大人しそうな子だ。
もう一人はショートカットで、腕を頭の後ろに組んでいる活発そうな子だ。
「沖田さん、斎藤さん…」
どうやら、二人は亜梨子の知り合いらしい。
「今日は、この子達を紹介したかったの。私のかわいい後輩よ」
かおりは、にこっと微笑んだ。




