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暁学園  作者: surumeica
33/48

食堂のおばちゃん

第33話


短いです。そして予告とまったく話が違います。

予告の話、つまり初お仕事の話は次回に持ち越し…かな?


おばちゃんの名前を考えて下さった只野飯陣さま、ありがとうございました!



 寮に辿り着き、ようやく煩かった上杉志信と別れられた。ふぅ、疲れた。

 いや別に相手してないけど。総スルーだったけど。でも、隣で騒がれると煩いし疲れるよね。


「ふぅー」


 自室で荷物を置き、ベットに腰かけると溜息が出てしまった。

 さて、お腹も空いたし食堂に行くかな。



「こんばんはー」

「おや、遅かったね。お帰りんさい。ご飯かい?」

「うん。山盛りでお願いします!」

「あいよ。ちょっとお待ち」

「はーい!」


 うん、やっぱりいいなあ。一緒にいると安らぐぜ。まるで母親みたいだ。

 こないだ、誘拐された時の朝は会計がくっついてきたためおばちゃんとは話せなかった。夜も夜で疲れていたし主人公が邪魔であまり話せなかった。まあその分次の日にたっぷり話したんだけど、癒し系な人と1日中ほとんど話さないって結構つらいよね。我がクラスの癒し系はとっくに癒し系じゃなくなってたし。


 精神年齢4*歳が何言ってんだって感じだけど。でも、今の精神年齢が前世の年齢+現世の年齢かって聞かれると正直微妙なんだよね。前世の記憶があると言っても精神は身体に引きずられ気味なわけだしさ。

 たぶん、現世の年齢+αって所なんじゃないかな。大人びているけどそこまで大人なわけでもない、みたいな。

 まあ全部私の希望だけどさ。だって、ぴちぴち(死語)の女子高生の中身がおばさんとか許せないよね。それくらいならなけなしの私のプライドを捨てた方がましでしょ。うん。


「大丈夫かい?ぼぅっとしてるようだけど…まさかまた具合が悪いんじゃあないだろうね?」

「あっ、いえ、大丈夫です!ちょっと考え事しちゃって…」

「そうかい。ならいいんだけどね。具合が悪くなったらすぐに言うんだよ!」

「はい、もちろんですよ!」


 はぅー、癒されるわー。

 そんなことを思いつつ心配そうなおばちゃんからトレーを受け取り、カウンターのすぐ近くの席に陣取る。


 ついつい考え事に夢中でおばちゃんを心配させてしまったが、否定すれば安心したかのように笑みを見せてくれた。ほんと癒し系のおばちゃんだわー。

 ――ってあれ?なんかおばちゃんに聞きたいことがあったような…。

 んー、なんだっけなあ。


「あっ!」

「ん?どうしたんだい?」

「そう言えば、おばちゃんに聞きたいことがあったんです!」

「おや、なにかな?あたしに答えられることなら何でも聞いておくれよ」

「ありがとうございます! え、えっとですね…」


 なんだこれ無駄に緊張する。まるで告白するために相手を呼び出したけどなんて言えばいいのか分からない時の中学生みたいだ。

 告白ってしたことないからよく分からないけど。


 私が詰まりつつも言葉を紡ごうとするのを、おばちゃんは優しい表情で見守ってくれている。


「あの、おばちゃんのお名前を教えてください!」

「…ぷっ」


 私が顔をまっ赤にしつつもようやくそう尋ねれば、数秒の沈黙のあと何故か噴き出された。なぜ。


「あっはっは!いったい何を聞かれるのかとどきどきしてれば、なんだ、そんなことかい!いいよ、あたしの名前は鳳凰院(ほうおういん)光輝(きらら)だ。改めてよろしく頼むよ!」


 わぉ。随分とキラキラネームですね。キャラと名前のギャップに萌えました。名前まで素敵なんて流石おばちゃん!

 口調はRPGで言えば女傭兵風なのに、容姿がそれを裏切っている。そんなところもまた萌えだね!


「は、はい。よろしくお願いします!」

「あぁ、呼び方はこれまで通りで頼むよ。急に本名で呼ばれるのは少し照れくさいからさ」

「はいっ。あっ、私のことは好きに呼んでください」

「ん、そうさね。じゃあ美穂ちゃんと呼ばせてもらうよ」

「はい!」


 本名で呼ばれるのが照れくさいなんてほんとおばちゃんは可愛いなあ。あれ、どうしよう。まさかのおじさま萌えならぬおばちゃん萌えが発生したわ。ま、まさかこんな所にまで萌えがあるなんて…!入寮してすぐに知ってたけど。


 このおばちゃんは、ゲームにも登場する。名称は食堂のおばちゃんで、時々出てきて主人公に攻略のヒントを与えるキャラ。時々と言っても、出てくるのは多くてもせいぜい5,6回。少ないと1,2回しか出てこない。つまりはモブ中のモブ。

 そんなおばちゃんだから私も入寮するまで忘れていたわけで。出会ってビックリ。こんなに気さくで親しみやすい癒し系の萌えキャラだったとは。

 名前も、まさかこんな名前(キラキラネーム)が付いてるとは思いもしなかった。設定集にも載っていなかったような気がする。でもおばちゃんだからいいの。


 なんか、話すごとに、会うごとにおばちゃんが可愛く見えてくる気がする。もし主人公が私に感じている感情がこれと同じだとしたら、私は少し控えようかと思う。主人公に辛く当たるのを、ではなくおばちゃんに接するのを、だが。

 だってこの理由で主人公に辛く当たるのを止めても、私がウザくなるだけでおばちゃんに好印象を与えられるわけでもないし。


「…やっぱりさっきからおかしいねぇ。そろそろ戻って、今日は早めに寝た方がいいんじゃないかい?」


 おばちゃんの可愛さ、萌えについて延々と考えていたらそんなことを言われてしまった。おばちゃんから見たらぼーっとしているようにしか見えないので、仕方がないと言えば仕方がない。

 そんな、殺生な!と思わなくもなかったが、ウザいとは思われたくはないのでそうすることにした。


「そうでしょうか…。自覚はないんですけどね。 でも、今日は早めに寝ることにしますね」

「あぁ、そうしな。お休みんさい」

「はい、ありがとうございます。お休みなさい」



 私の心の内がバレたら絶対嫌われるんだろうなーとか思いつつ、食器を片づけて自室に帰った。

 いやあ、今日も楽しい夕食時を過ごせたね!




し、主人公……(残念なものを見る目

どうしてこうなったorz


おばちゃんには色々と裏設定があったり。

その内出していきたいと思います。

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