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暁学園  作者: surumeica
30/48

説明会 ―(生徒会役員・主人公)―

第30話


遅くなって申し訳ありませんm(_ _)m

リアルが忙しくて……すいません、言い訳です><

次回の投稿は、明後日になるかと思います。


攻略キャラが脇役と化している…。


 さてやって参りました、説明会です。


 あ、クラスの様子は言わずもがな。昨日と同じですよ、ええはい。原因が分かったからまだいいものの、落ち着かないのに変わりはない。こっちも早々に何とかしなければ。


「失礼します」

「し、失礼しまひゅ!」


 あ、噛んだ。


 放課後、昨日と同じく上杉志信は生徒会室の前で待っていた。これまた昨日と同じく彼女を従えて生徒会室に入る。その際に彼女が噛んでいたが――聞かなかったことにしてあげた。うん、私偉い。超偉い。


「よくきたね。適当な所に座って」


 監査ににこやかにそう促される。その後ろでは笑いをこらえている書記が見えた。会計は好感度がマイナスっぽいので笑わない。

 昨日と同じように腰かけ、役員の準備が整うのを待つ。今日も上杉志信が腰にへばりついているのはもう諦めましたよ、ええはい。


 その間に部屋の中を見渡すと、昨日はいなかった人が2人いるのに気が付いた。

 1人は直江先生。今日もキラキラしてる。

 もう1人は…見覚えのある、ナイスバディでボンキュッボン(死語)な女教師サマだった。あー、確か国語の時間に見たことある気がする。名前は確か…船見(ふなみ)先生?だっけ?誰かのルートのライバルキャラだったような気がするんだけど――まぁ普通に考えて雷先生のライバルキャラだろうな。なんかいかにも、って感じで女王様だし。雷先生―直江先生もだけど―を尻に敷いてる感たっぷりだし。


「ぁ、あのぅ…その方は?」


 よし、ナイスだ主人公。もしこれで本当にこの先生が私の国語の担当だったりしたら最悪だから、聞くに聞けなかったんだよ。授業中は、先生の話は聞いてても先生の顔なんて見ないし。それが可能な眼操クオリティがパないっす。嘘だけど。


「上杉さんは初めましてかしら?1年B・C組の国語担当の船見よ。よろしくね」


 よかったあああ。聞いたのが私じゃなくって本っ当によかったああああ。

 やっぱりこの人私のクラスの担当だったよ。

 あんまりよく覚えてないけど、この人絶対ねちっこいもん。授業中とかばんばん指されそうだもん。


「――なんで船見先生がここに?」


 おおかた危険分子である“私”の監視の管理―監視は生徒会だろう―だろうけど、さ。

 ちなみに昨日は結局眼操は使わなかった。今日も使っていない。

 何事もなければ明日からまた使う予定だ。と言っても少しずつ無理のない範囲で、だけれど。


「あら、何か問題でも?」

「いえ、特にありませんが」

「ならいいじゃない」

「…それもそうですね」


 やっぱり女王様だった。うん、まあ容姿が綺麗っていうか美しいから許しちゃうんだけどね!ちなみに男の俺様は見苦しいだけである。そう考えるといい塩梅でヘタレの入っている火野先輩なんかはそこそこ見られる…はずなんだけどなぁ。おかしいなぁ、子供(ガキ)にしか見えないぞ。


「――そろそろ始めましょうか」


 副会長が宣言する。部屋を見渡せば、いつの間にか役員はそれぞれ手を止めて聞く体勢は万端だった。昨日の続きというか補足を促される。

 仕方がない、話せること話せないこと含めて昨日まとめた話せる内容を話すか。あ、話すっていうフレーズが多くなってなんか眩暈がしてきた。嘘だけど。


「昨日、特能に目覚めた時の話はしました…ね。

 その時私が理解したのは、どういう特能なのか、どう扱えばいいのか、でした。後々調べた文献には後天的な特能持ちは皆そうだと載っていたので――あなたもそうだったよね?」


 私の問いかけに、腰に引っ付いたまま首肯する主人公。

 やっぱりか。ぶっちゃけ文献に載ってたとか大嘘だけど、ゲームでの記憶がそこは残っているのだからしょうがない。

 いかにもあぁよかった、やっぱりそうだったといった表情を作りつつもさらっと流して続ける。


「私の特能は、周囲の景色と同一化したように見えるものと、目に見える範囲に瞬間移動できるものでした。まあ紆余曲折あって自分である程度香りをコントロールできるようになったところで、昔友人の兄に聞いた話を思い出しました」


 嘘だけど。

 眼操は結局話さないことに決めた。私の香りの量はよく分からないけど、特能を2つ持っているというだけで既に化け物じみているのだから話さなくても納得してくれるだろう。

 最後のも、違う。小学校の友達の兄が暁学園出身というのは本当だし、その人とも仲は良かった。今はもう連絡も取ってないけど。あの人、元気かなあ…。

 あ、なんか今フラグが立った音が聞こえた気が…。うん、気のせいだな。再会フラグとかありえないし。

 閑話休題。


 私が自分の特能をコントロールできるようになった時に思い出したのは、前世の記憶の中で唯一プレイしたクソゲと言われるゲームのこと。5歳くらいの時から前世の記憶はあったけど、この世界は前の世界の並行世界なんだと思っていた。あまりにも前の世界と似通っているから。ちなみに5歳くらいの時に好きだった子は、前世の記憶を思い出して一気に醒めた。子供(ガキ)は駄目だね、やっぱ。

 またもや閑話休題。


 思い出したとき、驚きはしたが、その事実はストンと私の中に収まった。なんで今まで気が付かなかったのかというくらい、ヒントは転がっていた。デジャブが一切なかったわけではないが、この世界はあまりに前の世界と似すぎていた。あぁ、前世で見たんだとずっと勘違いできているくらいには。


「思い出す前から私の特能が強いことは分かっていたので、暁学園には行きたくありませんでした。誰にも話さず一般人と同じように、平穏に暮らしたかった。暁学園へ入るのは、伯父から逃げるための最終手段としてとっておこう、と」


 一般人と同じように、ではなくて死亡フラグが立たないように、なんだけどね。

 でもまあ嘘とは言い切れないし、別にいいでしょう。


「けれど、伯父は私を彼の家から追い出してもなお目障りだったんでしょうね。全寮制で大学まで顔を合わせる必要がないから、と私にここを受けるよう言いました。もちろんその時はもっとオブラートに包んで言われましたが」


 苦笑しながら、話す。

 その時は「いつまでも一人で不便な生活を続けるよりは、同じ年ごろの子たちと一緒に暮らせばいい。君が嫌いな私たちの顔もあまり見ずに済むしね」的な感じで言われた。受けようとしていた学校の願書はいつの間にか全て消えており、願書一枚にかかるお金も馬鹿にならなかったので、仕方なく暁学園に入学することにした。幸い入れるだけの学力はその頃既にあったから。

 その時の私は、たぶん自分の状況を楽観視していたんだと思う。学園崩壊が起こっても自分だけは逃げ切れる、と。(前世で)憧れていた特能を自分が使えるようになっていて、それも結構強めの特能で、有頂天になっていたんだと思う。そんなことが出来るはずがないのに。


 私は伯父から金銭的援助をうけてはいるが、自分の趣味のために常に金欠だ。人に言えるような趣味ではないので、恐らくバレてはいるだろうが直接伯父に話したことはない。

 足りないお金は年齢を誤魔化してアルバイトしたお金をつぎ込み、美味しい美味しいコーヒー店に通って趣味にお金を使い果たして、共通の趣味の友達と語って。実はないけれど、すごく楽しかった日々。キラキラと輝いて見えた日々。箸が転がっても可笑しい年頃、とはよく言ったものだ。あんなに笑いの絶えない日常は、きっと二度と訪れない。中学入学当初は中学生をもう一度か、などと気取っていたにもかかわらず、あの思い出のなんと眩しいことか。あぁ懐かしい。



「結局ここ以外受けさせてもらえなさそうだったので、高校に進学できるよう猛勉強しました。大学卒業はしたかったので。幸いここは、特能持ちの集まる学園、という以外はかなりいい条件の学校ですし」


 今思ってもあの時の私は異常だった。毎日9教科15科目同時に、とか頭いかれてるだろ。今やろうとしても絶対にできない気がする。その時既にここには入れただろうに。きっと不安だったんだな、と今になって分析してみたり。

 あの時は、バレないよう気を張っていたのと、夢のためにも高校だけは出たいという思いで必死に勉強していたからなあ…。思わず遠い目をしてしまったような気がする。


「ここに合格したことを伯父に報告した時―電話で報告したのですが―伯父は本当に喜んでいたようでした。私自身、大学まで進めるというのと寮生活というのと、黙っておけばバレないだろうと楽観視していたのとでとても嬉しかったです。結果バレてしまったんですけどね」


 苦笑して、零す。

 伯父には電話で報告したが、あの時の伯父のテンションの上がり具合は凄かった。そんなに私が嫌いか、と思わずやさぐれそうになるくらいに喜んでいた。とっくに諦めていた筈なのに。

 でもあの時の私も嬉しくて嬉しくてかなりテンションが上がっていたので、そんな伯父の態度も気にしなかった。夢のために大学まで進みたかったけど、あの伯父家族が私のために進学費用を出してくれるとは思わなかったから。いや、恐らく出してはくれるんだろうけど、後々までネチネチ言われ続けて恩を売られるようなことになりそうだったので、嫌だったのだ。


「私から話すことは以上です。 何か…ありますよね」


 溜息をつきながら、言う。きっとまた質問攻めにあうんだろうな。

 生徒会のメンバーだけならましだが、いかにも口の軽そうな主人公が横にいる以上ヘタなことは言えない。いくら彼女が私に異常なくらい懐いているうえに副会長のことをトラウマレベルで恐れていようとも。ゲームでも親友にぽんぽんと秘密を話しては(親友の)死亡フラグを立てていたし。

 ゲームと現実は一緒じゃない、とか昨日思ったばかりな気もするが、彼女はゲームの時との違いが私への懐き具合しか見られないんだもの。仕方ない。


「もちろんです。しっかり説明していただきますよ」


 まぁなんて麗しい微笑み。なんて思うわけねぇだろ。

 いや、麗しいけど!確かに麗しいけど!でも目が私を品定めしている感じだし!うっとりなんてできるか。目も微笑んでいても多分うっとりなんてしないけど。


 頷いて部屋を見回し、質問を促す。


「そうだね、まずは―――…」




質問、主人公の処遇は次回です。

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