生徒会役員と私の能力
3話目
タイトルェ
ネーミングセンスが欲しい。切実に。
誤字脱字等があればよろしくお願いしますm(_ _)m
生徒会の力関係と、主人公の能力のお話。
生徒会室では、火野生徒会長が副会長に怒られていた。
詳しく言うと、縦長の部屋の扉から手前側にある応接用のソファが一つのテーブルを囲っている所で、扉側の一人掛けのソファの上で正座をした会長が、正面の二人掛けのソファで悠然と足を組んで座っている、微笑んでいるけど目は全く笑っていない副会長にお説教をされていた。その応接用のスペースの奥にある、役員用と思われる机の並んだ場所で、監査と書記と会計がそんな二人(主に会長だと思う)を見て笑っていた。
部屋の最奥にある高そうな机は会長用、その両脇の列の内、左の列が奥から副会長用、監査用、右の列が奥から書記用、会計用だろう。会長の席と副会長の席の間に斜めに置かれた席は恐らく顧問用だな。
どうやら教頭の説教は見逃したようだ、残念。まぁでもあの副会長も怒らせると怖いし、それで我慢するか。
「…自分が何を言ったか自覚しているんですか?受けでも狙っていたんですか?でしたら全く面白くありませんでしたし、外部生に至っては呆れていましたよ?生徒会長として恥ずかしくはないんですか?」
「い、いや、その…」
「あぁ、内部生が笑っていたのは優しさです。けして掠の言葉が面白かったからじゃありませんから、勘違いしてはいけませんよ?」
副会長が反論を与える間もなく会長を攻撃している。
副会長の攻撃! 会長の心に80のダメージ! 会長は瀕死状態だ!
よし、副会長がんばれ!もっと凹ましちゃえ!私が面白いから!
「第一、ああ言っておいて間違いが発覚した場合、どう責任を取るんです?特能持ち同士、一般人同士ならまだしも特能持ちと一般人が発覚したら面倒くさい事態になることぐらい、その中身の詰まっていない脳みそでも理解できるでしょう?え?」
「う、い、いや、でも、ヤるなら発覚しないようにって言ったぜ、ちゃんと!」
そこなんだ問題。ていうか会長、ヘタレが全く隠れてないよ。ヤバい、舞台裏超ウける。
あー、でも、そうか。一般人は退学にできるけど特能持ちは退学にできないから、確かに面倒くさいことになりそうだな。主に保護者からの批判とか教育委員会の介入とか。
歩ちゃんのカップルは大丈夫かな。まだヤってませんように!ヤってても見つかりませんように!ていうかヤってたら彼氏殺す!歩ちゃんは私のもんだ!
「静、そこらへんにしてあげなよ。そんなこと俺たちじゃどうしようもない問題だろ?」
「そーだよー。りょーちゃんの頭軽いのは今に始まったことじゃないし、言っても直らないよー。それに、そろそろらいさんも来るんじゃない?」
「む、それもそうですね。今回はこれくらいにして仕事しますか。あぁ、掠はしっかり反省するように」
「お、おう。知尋、助かった」
「あっれー、りょーちゃーん、ぼくはー?」
「動矢は掠センパイを貶したかっただけでしょー」
「あ、ばれたー?」
「…はぁ。もういい。仕事するぞ」
「ちぇー、りょーかーい」
まだまだ続きそうだった副会長の説教を止めたのは、監査だった。会長を軽く貶したのが会計で、会計に呆れたように突っ込んだのが書記。チッ、説教が止まっちゃったじゃないか。私の娯楽を返せ!
会計は会長のことを“りょーちゃん”と呼んでいるようだ。ゲームでもそうだった気がする。
一年の会計があんなに気安いのは、初等部中等部と同じメンバーで生徒会を経験しているから。それ以外でも家の付き合いとかもあるらしい。ケッ、これだから金持ちは。
あぁ、生徒会のメンバーは全員攻略キャラだし、一応思い出しておくか。
まず副会長。名前は林堂静、高3A。茶髪翠眼。翠眼は祖母からの遺伝だとか。見た目は爽やかだけど腹黒い。将来の夢がパティシエだって。特能はある程度人の行動を操れること、名前は「行操」。
うん、いい感じ。色々テンプレだね。爽やか系腹黒のあたりとか。
お次は監査。名前は江陰知尋、高3A。黒髪碧眼。顔立ちは綺麗と言えると思う。ほんと三次元はよく分からん。片親がイギリス人らしいね。性格は穏やかで優しく、紳士的。実家は華道の家元で、祖母が実権を握っているとか。特能は珍しく2つ持っていて、触れずに物を操ることと風を操ること。名前はそれぞれ「物操」と「風操」。
よしよし、ちゃんと覚えてる。この人のお祖母ちゃんは曲がったことが大嫌いなすごくシャキッとした人で、大好きだった。会ってみたいなぁ。たぶん無理だけど。こっそり見るくらいはできるかな。
続いて書記。名前は水地疾風、高2A。ハツラツとした顔立ちをしていると言われている。個人的には整っていても生意気そうな顔だと思う。金髪に近い茶髪で、茶眼。言葉にすれば薄い感じの色彩だけど、髪は染めているし、元気いっぱいの坊主って感じだったはず。チャラくて男女ともに友人が多いから、生徒会の中では情報源になることも多い。あ、でも生徒会の人は尊敬していて、尊敬している人には似非敬語で話す。あ、似非敬語ってのは、「~ッス」みたいなやつのことね。特能は空気を操ること、名前は「空操」。
この人は一番難易度が高かったんだよなあ。トラウマとかコンプレックスとかがないから、一番楽かと思っていくとすぐバットエンドに直行するっていう。選択肢は迷うものばかりだし、一番落ちるのも遅いし。うん、そういう意味では一番プレイヤー泣かせのキャラだった。でもでも、途中で空を飛ばせてもらえるんだよ!あぁ、羨ましい。
最後に会計。名前は伊山動矢、高1A。主人公と同じクラスだね。髪はダークブラウンで黒眼、ショタ(ここ重要!)。気に入った人をからかうのが大好きで、いつもふざけているように見えるけど内面は冷静で冷徹。あぁ、人をおちょくるのが好きっていう悪癖はもともとか。特能は身体強化、名前は「体操」。
ふぅ、こいつも覚えてたみたいだ。会計のルートだと初めはオモチャにされるんだよなあ。いや、最後までか。けっこう性質が悪くて、でもブチ切れるギリギリ寸前っていう範囲のからかいだったから、ムカついてムカついて、何度電源を切ろうと思ったことか。でも一度懐かれるとすごい可愛いんだよね。見た目ショタだから。
いやぁ、全員覚えててよかった。別に覚えてなくても問題ないとは思うけど、一応念のため、ね。
「ん…?」
副会長が、急にこっちを向いた。
どうしたんだろう。部屋の中にも部屋の周りにも誰もいないっぽいけど。
ほかの役員も不思議そうにこっちを向いて…って、え!?こっち!?やっば、見すぎた!?
急いで生徒会室に向けていた意識を断ち切った。私は別にそこにいたわけではないのだ。たぶん、意識さえ切れば証拠は残らない、はず。
んー、なんでばれたんだろうか。ちょっと気ぃ抜きすぎたかな。コントロールが甘すぎたのかもしれない。それに、特能をコントロールできるようになると他人の特能にも鋭くなるってホントみたいだし。
あぁ、今ので分かったと思うけど、私は、特能持ちなんだ。それも、主人公と同じ後天性の。もっとも、主人公は特能持ちだってばれているけど、私はばれていない。誰にも知らせていないし、知らせるつもりもない。
自分で訓練して精度を上げて、上手く隠せるようにした。誰にもばれないように訓練するのは大変だったけど、上手に扱えるようになってからはすごく便利になった。
私の特能は、半径10kmの範囲内ならどこでも見れること。それも複数個。限界を試したことはないが、15個くらいなら集中することが可能だった。たぶん実際はまだいけると思う。ちなみに、これと同じような特能の名前は「眼操」というらしい。一般に公開されている資料に載っていた。
こんなことできたら普通気が狂いそうなもんだが、特能だしきっと大丈夫な風になってるんだろう。うん、そうだと信じたい。他のこの特能持ちに会ったことは無いし、誰にも知らせていないから分からないけれど。今度図書室にでも行って調べてみようっと。
まぁ今だって生徒会室内を覗きながら主人公の様子も観察していたし、自分の部屋で漫画も読んでいたし、大丈夫だろう。これで九教科十五科目一気に勉強したこともあるし、うん、きっと大丈夫!
ついでに授業の予習でもしようかと思ったけど、既に済ませていたことを思い出してやめた。無駄なことはしない主義なのです。きりっ。
プライベート?何それ美味しいの?私の安全(と娯楽)のためならそんなこと気にしない!いぇーい!
ん?娯楽の方が本音だろって?気のせいだよ!
…ふぅ。なんか落ち着いた。急にテンション上がって急に下がることってあるよね、うん。
あぁ、主人公の方は特に面白いことは無かった。白波寮の食堂で寮の人から説明を受けた後、友人その1と喋ってから部屋に帰っていった。
ちなみに、説明会に出なかったのは出なくても聞けるから、っていうのもあったりする。
どうやら友人その1の名前は矢野続というらしい。一人称はウチだった。主人公にはつづちゃんと呼ばれていて、主人公の事はしのっちって呼んでいた。なんだかやたらとテンションの高い子で、見ているこっちが疲れた。
そのつづちゃんは、弱い特能を持っているそうな。彼女が育てると植物がよく育つっていうグリーンサム的なあれらしい。名前は「草操」だってさ。
部屋に帰った後、主人公は漫画を読んでいた。これから1時間くらいしたら主人公が移動して、さっそく攻略キャラかつづちゃんとの絡みがあるはずだから、その時にまた見ようと思う。
早速選択肢の登場なのだ。たいていのルートはここで選んだ人になる。つづちゃんのルートだと分類的には友情エンドなんだけど、百合ギリギリの描写が出てくる。つづちゃんを選んだ多くのプレイヤーは始め泣き、プレイしていくうちに百合のよさに目覚めたそうな。私は残念ながら何度見てもええ話やなあ、でも怖いわあ、としか思えなかったけど。
それは置いといて、主人公が移動するまでは見ててもムダかな、と思ったからそこでいったん見るのをやめた。
いくら特能だからっていくつもの景色を同時に見ていると疲れる。3つくらいじゃまだ疲れないけど、ねえ?
でも、この特能のお陰で勉強も全科目一気にできるし、ラッキーなんだと思う。実際これのお陰でこの学園に受かったようなものだ。
もっとも成績を上げすぎるのはよくないから、テストの時とかは勉強しすぎないようにしなくてはいけないけど。手を抜くのも面倒くさいなあ。
どうか私に被害なく面白い感じで学園生活が終わりますように!
主人公はゲーム主人公が嫌いです。
理由はたぶん生理的嫌悪。