前方不注意 ―(生徒会役員・主人公)―
第27話
昨日は投稿できずすいませんでした!><
毎日投稿できるよう頑張るとか言いながらこの体たらく・・・
頑張ります・・・(´・ω・`)
攻略キャラがほぼ空気ww
とうとう保健室の先生のターン!
「――ありがとうございます!」
私がそう言った後、しばらく時間が止まったみたいだった。もちろん比喩だけど、誰も動かないし言葉を発しない。主人公さえも。
え、あれ、何かやったっけ!?あまりの嬉しさに何かおかしな行動、とったりしちゃってた!?
いや、別にそんな変なことしてないよ、うん。大丈夫、だと思いたい。
なんであんたら全員こっちを凝視するんだ!見世物じゃねんだぞごるぁ!
「えっと…私の顔になにか付いてますか?」
取り敢えずベタな台詞でこの状況からの脱却を図る。そこ、あざといとか言うな!
私の目論み通りになり、ようやく時が進んだ。つまり、今まで止まっていた人たちが動き出した。よかったよかった。あんな空気、他にどうしろって言うんだ。
「い、いや。何でもないから気にしないでー」
「あ、そう。じゃあ気にしない」
しどろもどろに言った伊山君に、あっさりと返す。なんでちょっと残念そうなんだ。
さっきはパターンが知りたいとか言っていたくせに現実逃避するなって?無理無理。これを逃避せずにいられるかってんだ。まさか詳しく聞くことが恐ろしいと思う日が来るなんて。
「話はこれで終了ですか? そろそろ帰りたいのですが」
外を見ると、もう真っ暗だった。時計の針はどちらも丁度真下を指している。
そんなに長く話していたつもりはなかったんだけどなあ。
「えぇ。また明日、ここに来ていただけますね?」
「はぁ…今度は何を話すんでしょうか?」
おぉ、もう平常運転だ。
疑問形なのにちっとも訊ねていない副会長に、聞く。何も聞かずにほいほい行って都合の悪いことになったら堪らない。
「あなたの特能に関する質問の続き、これからのあなたの処遇、特訓についての説明を行うつもりです」
「…分かりました。よろしくお願いします」
そうかそうか。まだ話さなきゃダメか。どこまで話すか、ちゃんと決めないとなあ。帰って作戦を練るのだ。
まだ腰に引っ付いていた上杉志信をべりっと剥がし、立ち上がる。
まだ固まっているし、放っておいてもいいよね。
「では、これで。 失礼します」
お辞儀をしてUターンし、扉に手をかける。
と、
ゴスッ
内開きの扉を開けようとしたら、まだ力を加えていないのに扉が開いた。扉の前に立っていた私は当然、そこにぶつかるわけで。
「いったあ!」
なんとか踏みとどまって尻餅をつくのは回避したものの、扉を額にぶつけました。痛いです。超痛いです。
おでこを抑えて涙目で、ノックをせずに扉を開けた諸悪の根源を睨みつける。
「わ、わりぃな。まさか居るとは思わなかった」
「…部屋に入るときはノックをするのが礼儀なのでは」
恨みがましい目で睨みつけた相手は、麗しの保健室の先生。
なんでここにいるんでしょうねえ。私の帰る邪魔なので、そろそろ扉の前から退いてほしい。
「…悪かった。 大丈夫か?」
「大丈夫です。大丈夫なので帰ります。離してください」
謝った後、心配そうに私の顔を覗き込む。額を抑えていた手を外され、直江先生の手が私の額に置かれた。私の手は先生に掴まれたままで。
近い。非常に近いです。
とっとと離れてほしかったので、早口で言った。いや、だってねぇ。これが二次元だったら喜んだのに。三次元へのときめき方はどっかに落としてきました。
「いや、手当てをしよう。このままだと明日も腫れるぞ」
「……分かりました。 お願いします」
…しょうがないだろ。明日クラスで間抜け面を曝すとか有り得ない。特に今は注目されてるんだ。理由がひどいけど。
どんなに手を抜くために引っ張っても、ちっとも状況が変わらない。それどころか掴まれる力が強くなるばかりで、しかも先生は私の怪我した部分を診ているため、離れるわけにもいかない。
いくら原因が先生とはいえ、そんな失礼なことはしませんよ。主人公以外には。
「応。…もしかしなくても、今帰るとこだったか」
「はい。もう少し遅くなりそうですが」
「ちょっと待ったー! 直江先生、美穂ちゃんから離れてください!」
近い体勢のまま話していた私たちを引き離したのは、衝撃から立ち直ったらしい上杉志信だった。引き離した後、また私に後ろから抱き着いてきた。
ようやく石化が解けたのか。解けた途端に鬱陶しくてうるさかったが、離してもらえたのはありがたい。感謝しておこう。心の中だけで。もっともそこでお前が私に引っ付いたら意味ないんだけどな。
私を診ていたにもかかわらず理不尽な言い分で離された先生は少し唖然とした後、噴き出した。
大人ですねえ。私がそんなことされたら怒らずにはいられない気がするのですが。
「悪かったな。 ほれ、行くぞ」
「はい。 上杉さんは付いてこないでくれる?」
「なんで!? 美穂ちゃんを先生と二人きりにするわけにはいないんだよ!」
「あなたがいると鬱陶しいし、邪魔。 第一先生とはそんなんじゃないし」
「はは…随分な勘違いだな」
しばらく笑ってようやく収まった頃、先生は私に生徒会室を出るよう促した。上杉志信に邪魔されたけど。
しかもかなりひどい勘違いをされているような気がする。この先生はまともな先生なんだぞ。ゲームでは。現実ではどうかは知らないが。
もう一人の被害者である直江先生は、苦笑いで上杉志信を宥めている。流石は師弟。随分と仲いいな。
「先生は、生徒会室に用があったのでは?」
そろそろ話を進めたかったので、未だに続いていた言い争いを遮って尋ねる。
そういえばなんでこの人ここにいるんだろう。
「あぁ、お前の容体を聞きに来たんだ。昨日は大分疲れていたようだったしな」
なるほどね。
この物言いから、先生も私が特能持ちであることに気が付いていたとみえる。まぁ私が保健室に着いた時は気絶していたわけだし、先生ほどの実力の持ち主が気が付かないとは思えない。
今の発言をそれをふまえた上で聞くと、どうやら先生は私が気が狂ってないかを見に来たようだと察せられた。
この1週間で2回も保健室に行ったしな。しかもどちらも特能の使い過ぎで。いや、2回目はそう言うには少し語弊があるけれど、ふらふらだったのはそれが原因だし。
ごまかしたとはいえ、先生が気に懸けるのは当然のことだ。
「あぁ。それならもう大丈夫です。一晩寝ればすっかり元通りです。 ご心配をお掛けしました」
「直江センセに報告しとくことがあるんス」
私が頭を少しだけ下げると同時に発言したのは、書記だった。
このタイミングで言っていいのか?仕事の内容なら関係者以外に聞かせるのは不味いんじゃないか?
「美穂ちゃん、特能持ちって認めたッスよー」
あ、なるほど。そういうことね。それなら私たちがいても問題ないな。
やはり直江先生は気付いていたみたいだ。少し目を見開いた後、ニヤリと笑って此方を見てきた。
こ っ ち 見 ん な 。
「そうか。もう認めたのか。 それじゃあ、治療がてら一昨日倒れた原因を聞くとするか」
うわ、それ、今聞きますか。明日でいいじゃないですか。面倒くさい。
「それ、明日説明する予定ですので、気になるなら明日の放課後ここに来てください」
「なんだ、俺だけに教えてくれる気はないのか」
「二回も同じ説明を繰り返すのは面倒くさいです」
先生は少し驚いたように目を見開いた後、誘惑するように口の端を吊り上げ、からかいの言葉を口にした。私の目にはにやにやと笑っているようにしか見えないので止めて頂きたいです。それをやるなら反応が返ってくる人にやればいいと思う。私にやられても流すだけなので、正直つまらないと思うんだが。
反応のない私をつまらなそうに見た先生は、私に扉の外に出るよう促した。
室内のメンバーに退室の言葉を言い、付いて来ようとする主人公を説き伏せて先に帰す。
ここまでくるのに大分労力を割いたような気がするが。主に主人公のせいで。
さて、保健室で治療してもらいますかね。
会計はじっと見つめられて照れる主人公を期待してました(((
先生がなぜ驚いたようにしていたのかは、次の回で(´ω`)




