友達ができました
2話目
誤字脱字などがありましたらお願いしますm(_ _)m
1/21 HR部分改稿
今私がいるのは、暁学園高等部の一年B組だ。
そして、今日は入学初日だったりする。入学式に行く前のHR的なあれだ。ちなみにこれの前は学校案内だった。個人的にはほとんどの場所を覚えているので、特に必死になる必要もなく暇だった。
教壇では我らが学級担任様によるありがたーいお話がかれこれ30分ほど続いている。
…正直ヒマなんで、寝ていいですかね?
「…最後に、初等部からいる者は手をあげてくれ。」
長かった担任の話の最後に何人かの生徒が手をあげる。
この暁学園高等部では、一学年にA~C組まで存在する。クラス分けは成績順で、A からどんどん下がっていく。とりあえずA には主人公がいるはずなので、同じクラスにならなくてよかった。手を抜いて試験を受けたのがよかったのかね。
また、成績順なので、特能持ちも一般人も同じクラスにいることになる。外部生の数はかなり少ないのが、特能持ちの数もそれほど多くないので、全体的な人数比はあまり変わらない。
ほとんどの外部生は初等部からいる内部生が特能を持っていることを知らないらしい。当然私は知っているが。
「高校から入学したものは知らないと思うが、今手を挙げた奴らはみんな特能を持っている。ないと信じているが、何か問題が起こった場合はすぐに言うように。生徒会顧問の俺がじきじきに指導してやるからな。それと、最初のLHR は特能の説明になる。一般に公開されているモノより少し詳しい程度だが、知っていて損はない内容のはずだ。その時に詳しく言われると思うが、コントロールのヘタな特能持ちは色香を発している。一応気をつけておくように!」
扱いの下手くそな特能持ちが媚薬的な匂いを発してるって…え、マジで?
この説明のせいで外部生は少し不安そうになってしまった。いやいや、そもそもそんなもん発してるヤツらと同じクラスにするなよ。
それにしたって初等部から関わってきた奴らに対して問題児扱いですか。内部生は慣れているのか苦笑いだけど、特能持ちに対してちょっとひどくないかね。この人も特能持ってるはずなのになあ。
ていうかこの人、こんなキャラだったっけ?攻略キャラの中で真っ先にヒロインに惚れるロリコンダメ教師だったはずなのに。なんとなくまともそうな人に見えるのはなんでだろう。
「おい、」
と、そこまで考えてはっきりと思い出した。そういえばこの人も攻略キャラだったな。
名前は確か雷霆鋒。厳つい名前の割に茶髪茶眼で、見た目ホストなのに生徒思いのいい先生、生徒(特に女子)には慕われているって設定だった。担当は化学…っていうのは30分ほど前に自己紹介で本人が言っていたな。特能は人の大まかな感情を読み取る、だったか。名前は「思操」。うん、恥ずかしい名前。ぷぷっ。
茶色い髪は自然に見えるよう整えられているし、高そうなスーツも似合っているが…その顔じゃあホストにも見えるよなあ。見た目のせいでずいぶん誤解されることもあったらしい。ご愁傷様です。
「おい!」
どうやらさっきから煩かったのは私を呼んでいたようだ。初日から目立ちたくなかったが、考え事をしていて気が付かなかったみたいだ。一応聞いていたんだけどなあ。失敗失敗。
「はい、なんでしょう」
「はい、なんでしょう、じゃねえよ。俺が話をしてるんだ。もちろん聞いてなかった、なんて言わないよな?」
「はぁ、まぁ」
「なら俺が言った内容を答えてみろ」
「えっと、この後入学式があるので講堂に移動すること、その際寮について説明があるので寝ずに聞くこと、特能持ちに何かされたら先生に言うこと、一学期のLHRは特能についての説明をすること、です」
「なんだ、ちゃんと聞いてるじゃないか。つまらん」
「先生、それはひどいです。ちょっとぼーっとしていただけです」
「ん、そうか?ならいいが、俺に惚れるなよ」
「それは有り得ないので安心してください」
とりあえずさっきまでこの人がうだうだ話していた内容を言ってみたら、つまらないと言われてしまった。別にお前を楽しませるためにいるわけじゃないし。にっこり笑ってごまかせば調子に乗られて、つい本音が出てしまった。
なんか先生が落ち込んでいる。クラスのみんなも笑っているし面倒くさいので放っておいていいですよね。
***
「ねえ、安土さんって面白いね」
講堂に向かう途中で同じクラスの子に話しかけられた。
艶やかな黒髪をポニーテールにしている可愛い子だ。でも……名前が思い浮かばない。こんな可愛い子の名前を忘れるなんて私何様だ。いやマジで。
「へ、そうかな?」
「そうだよ!講堂まで、一緒に行ってもいい?」
「うん、もちろん」
よかった、知り合いができた。実は、知らない人ばかりでぼっちかー、ってちょっと寂しくなってたとこなんだよね。まぁ高等部からの外部生はほとんどがぼっちみたいだけど、それとこれとは話が別でしょう。
講堂まで行く間に彼女の事を色々と知ることができた。名前は日比野歩、中学からいる内部生だということ、彼女自身は特能を持っていないけど彼氏は特能持ちだということなどなど。
同じクラスに友達がいなくて心細かった、よかったら友達になってくれと言われて舞い上がりそうになったのは秘密だ。
仕方ないだろう。こんなに可愛い子が頬を染めてはにかんでいるのだ。喜ばない奴の目は腐っている。まったく、歩ちゃん(名前を呼びあう仲になった!)の彼氏は見る目があるなあ。
「…続いて、生徒会長の挨拶です。火野生徒会長、お願いします」
理事長とか校長とか政府の偉そうな人とかの長い話が終わり、綺麗な司会の女性がそう言った後気怠そうに壇上に登った人物に、女生徒の間(一部の男子生徒もか?)でざわめきが起こった。隣に座った歩ちゃんまでほぅ、とため息をついている。彼氏はどうした。
ん?ああ、そうか。生徒会長は攻略キャラか。えっと、名前は火野掠、今年で高3。クラスはA 組。黒髪黒眼で華やかな顔立ちをしている、んだろうな。三次元はよくわからん。性格は俺様、でも隠れヘタレってプレイヤーの間では呼ばれていたな。特能は火を操ることで、「炎操」っていう恥ずかしい名前が付いているとか。
ふむ、意外と思い出せるな。今後直接関わることは無いだろうけど知っていて損はなさそうだし、覚えていてよかった。一時期は忘れようと頑張ったのだけど、結局この学校には無理やり入れさせられたし。うん、過去の私まじナイス。
生徒会は特能の中でも強い能力を持っていて、なおかつそれをある程度コントロールできる人しか入れない、らしい。
あぁ、あと発見された特能には名前が付けられる。基本的に個々特有の能力だけど、たまに重なることもあるかららしい。政府の偉い人とかが付けるんだってさ。たいていは漢字2文字で、後ろは「操」の字が来る。付けてる人は廚二病なのかと疑うような名前ばかりだ。
「…次に白波寮の説明をさせてもらう。担任から程度説明を受けたと思うが、暁学園は全寮制だ。もちろん男女は分かれているが、建物は併設している。間違いは別にあってもいいが、ばれないようにな!俺の手を煩わせるなよ!」
おいこら俺様生徒会長。先生方苦笑じゃねえか。神経質そうな教頭は顔真っ赤にしてプルプル震えてるし。あれ絶対怒ってるって。後で説教されるんじゃないのかなー、わくわく。
その後消灯時間やら寮の食堂の利用時間やらがこれまた爽やか美形の副会長より知らされて、解散となった。
って言っても寮の食堂でまたなんか説明会的なのがあるらしいけど、さぼってもいいですかね?
だってほら、参加義務があるのは外部生だけだし、私も外部生だけど寮の規則とかも一応覚えてるし、何か分からないことがあったら歩ちゃんに聞けばいいし。よし、内部生に紛れて寮の自室に帰っちゃえ!
寮の自室に帰る途中で、主人公と友人その1を見つけた。もう既に仲の良さそうなことで。
その1の方の名前は覚えていないけど、主人公のデフォルトネームは上杉志信だったはず。後天性の特能は色々と癒すこと、名前は「癒操」。色々っていうのは、心の傷(笑)とか怪我とか病気とか。その能力のお陰で彼女の近くにいると心が安らぐ、らしいね。コントロールができていないだけだろと言いたい。声を大にして言いたい。性格は彼女に好意的な人たち曰く優しくて天然、好奇心旺盛。あと方向音痴。だけど、私に言わせたらただのお子様だ。
あのゲームは好きだったけど主人公は嫌いだった。落ち込んでいる攻略キャラを励ます選択肢が「変顔をする」か「頭をなでる」で、「変顔をする」の方が好感度が上がるとかありえない。
ん?これって駄目なの攻略キャラの方じゃないかって?いやいや、そもそもそんな選択肢が出てくる方がおかしいのだ。うん、やっぱ主人公嫌い。
***
寮の自室に入ってようやく落ち着けた気がする。荷物は事前に荷解きしておいたし、一人部屋だから誰かに気を使う必要もないし。
そうそう、白波寮は一人部屋なのだ。申請すれば翌月から複数人部屋になれるらしいけど、私はなろうとは思わない。一人って最高。
校舎からは適度に離れているし、寮内に教師はいないし。私の自室があるフロアは一般人用だからここでは死亡フラグは立ちにくいし。
ちなみに歩ちゃんは隣の隣のお部屋だった。近い!神様GJ!
「さて、と」
一息着いたことだし、さっそく生徒会とか主人公とかの様子を見てみますかね。
主人公はさびしがり屋ですw