保健室の先生 ―顧問―
第11話
短いです。なので連投)ノミ□ ポイッ
美形なサブキャラと主人公の疲れのお話。
1/20 タイトル変更 保健室の先生→保健室の先生 ―顧問―
とか思っていたらやってしまった。
入学してから6日、あと1日で主人公が男子生徒に攫われるっていう日。
その日の3限目、私は体育を受けていた。途中まで。
体育の内容はサッカーで、私はDF…と振り分けられたが、実際はボールにGK以外のチーム全員が群がるという恐ろしい試合ばかりだった。私も目立たないようにその群れの隅で走り回っていた。
体育の授業はまだ2回目だというのに、なんでいきなり試合形式なのかが分からない。
その途中も主人公と生徒会メンバーとB組の男子の方を観察していた。
しばらくして、強烈な眩暈に襲われた。
数人の女子が私を呼ぶ声が聞こえて、それに返事をしようとして、そこからの記憶がない。
気がついたら保健室のベットの上だった。3限目はもう終わっていて、4限目の授業が始まったばかりという時間帯。
ただ今保健室のこれまた美形な先生にお説教され中でございます。どうしてこうなった。
「ただの過労のようだね。まったく、どんな無茶をしたんだか」
「…すみません」
「…時々、君のような生徒がやってくる」
「はぁ。学生で過労で倒れる方が多いなんて、大変な学校ですね」
「いや、そうじゃない。そういう生徒は皆、特能持ちなんだ。自分の限度を弁えずに特能を使って疲労困憊し、ぶっ倒れて運ばれてくる」
「……そうなんですか。ですが、私は特能持ちではないので…」
「あぁ、そうだな」
そう言って黙ったきり私の方をじっと見つめてくる、麗しの保健室の先生。
…これは、疑われているんだろうか。
先生の瞳にじっと見つめられると、思わず何もかもを話してしまいそうなので、やめてほしいのですが。
この先生は、直江明志先生。染めたらしいコーヒーブラウンの髪はそれでも輝いていて、碧ともいえる黒い眼は今にも吸い込まれそうなほど深い。生徒会メンバーに負けず劣らずの若々しい美形でいらっしゃるけど、攻略キャラではなかった。暁学園の卒業生で、顧問とは元同級生だったとか。特能が主人公と同じ癒操のため、主人公の特別訓練の先生役もしている。学生時代と今とで見た目が変わっていないらしいからすごい。どのルートでも出番が多く、人気もすごかった。
攻略キャラにしてくれっていう抗議もとい希望が多かった、と設定集には書かれていた。そんなとこまで曝しちゃっていいんでしょうかね。
というか生徒会メンバーが見付からないのですが。
主人公とB組の様子は見れるけど、生徒会メンバーが見付からない。今倒れたのは確実に特能を使いすぎたのが理由だから使わない方がいいんだろうけど、位置確認だけさせてほしい。
あ、やば。眩暈がしてきた。
仕方ない、回復してからにするか。
「おい、大丈夫か?」
「ノックくらいしろ、ばか」
急に扉が開いたと思ったら、なぜか顧問が息を切らして保健室に入ってきた。
え、マジでなんで?
「かわいい生徒がぶっ倒れたって聞いたら飛んでくるだろ」
「あれ、声に出てましたか?」
「いや、顔に出ていた」
あらら、失敗失敗。
それにしてもこの顧問、ほんといい先生だな。普通は飛んでこないだろ。そんな息切らしてまで。
「で、大丈夫なのか?」
「あ、はい、大丈夫です。ただの過労みたいですから」
「そうか…。入学して一週間たたずに過労でぶっ倒れるって、何やってんだお前は」
「えっと…15科目分の予習やってました」
「はぁ!? ……勉強熱心なのはいいが、やりすぎは感心しねぇなぁ」
「いたっ!なにもデコピンすること」
「なんか言ったか?」
「…なんでもないですぅ」
寮に帰ったら毎日予習復習をしているので、本当のことを言ったら睨まれてデコピンされてしまった。
嘘は言ってない。嘘をつくときのコツは、本当のことを交えて話すことだと知っているから。
だから、デコピンしないで欲しいです。恨みがましく睨みつけるのは許してほしい。地味に痛いんだよこれ。
直江先生はまだこっちを見ているみたいで視線をばしばし感じるけど、スルーの方向で。だってこの人絶対なんか勘付いてるし!怖いんだよ畜生!
「俺はちょっと用事があるから、しばらくここ空けるから。安土は体調戻ったら教室戻れよ。雷はそれまで付いててやれ。どうせ暇なんだろ?」
「はいはい、直江先生様の仰せのままに」
「え、ちょまっ」
「じゃ、あとよろしくなー」
そう言ってさっき雷先生が開けたままだった扉を閉めて行ってしまった。足音もだんだん遠ざかっていく。
横暴だ!何が嬉しくて攻略キャラと2人きりで過ごさなくちゃいけないんだ!
顧問も承諾してんじゃねえよ!畜生二人してムダにキラキラしやがって!
とはいえ直江先生は本当にどこかへ行ってしまった。ここは私も早々に離脱を図ろう。雷先生も私なんかとずっと一緒というのは可哀想だしな。
「え、えっと、私はもう大丈夫なんで、戻りますね」
「いや、ふらふらじゃねえか」
ベッドから降りようと起き上がれば、また眩暈がして、先生に肩を押されてベッドに戻る。
また天井とこんにちはである。
「疲れてんだからこの時間くらい大人しく寝とけ」
「…はーい」
呆れたように言う先生は、本当にいい先生だなと素直に思えた。
眠ると無防備になるし、周りを警戒できないから人前で眠るのは嫌いなんだけどなあ。
あー、でも本当に眠い。体を酷使しすぎたみたいだ。
先生には悪いけど、ここは眠ってしまおう。
お休みなさい。
どうでもいいですが保健室の先生ってなんだかえっちぃですよね。
え?お前だけだって?
…すいません(´・ω・`)